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『ノミの法則』自分の限界を決めているのは自分自身

今年初め、1月1日の午後、ある家族がわが家の玄関先を訪ねてきた。
旦那さんには会ったことがあったが、奥さんに会うのは初めてだった。もちろん、私はその出会いが、私に大きな影響を与えることになるとは、その時、まったく思ってもいなかった。

『ノミの法則』というのをご存知だろうか?
あの小さな、小さなノミのお話し。
数ミリの小さな体を持つノミは、30㎝ほどのジャンプ力があるといわれている。体長の100から150倍の高さを跳べるということになる。
身長154cmの私が、231メートルの高さまで跳ぶのと同じこと。
2019年秋開業の「渋谷スクランブルスクエア」が地上47階、渋谷エリアで最高の高さ、230メートルになるという。
ノミにとっての30㎝は、私にとって、47階建ての超高層ビルくらい高いものである。そのジャンプ力の凄さはいうまでもない。

さて、このノミ。
そのノミをコップに入れて、蓋をする。
ノミはコップから出ようと必死にジャンプをするが、蓋にあたってなかなか出れない。
何度も何度も蓋にぶつかる経験を繰り返すことで、蓋にぶつからないように、ジャンプする力を弱めてしまう。
ぶつかることで得る痛い体験が跳ぶことを諦めさせてしまうのだろうか。
その後、コップにかぶせてある蓋を取ったとしても、ノミは蓋があったときの高さしか跳べなくなってしまうのだ。

私たち、人間も少なくとも一度は同じような経験をしたことがあるのではないだろうか?
何かに挑戦をし、自分の思っていたような成果が出せなかった。うまくいかなかった、失敗したという不安、恐怖、ネガティブな要素が、自分の限界をどんどん狭めていく。
そして最終的には、狭まった限界の存在にすら気づくことすらなく、自らの歩みを止めてしまうなんてこともあるんだろう。

では一体、どうすればノミは以前のように高く跳ぶことができるようになるのか?
それは、跳べるノミと一緒にすること。
自分の横でピョンピョン飛び跳ねるノミ仲間を見ることで、

「あれ?昔、あんな高さ跳べてたよな」
「一緒に跳んでみようかな」
「わ~、跳べる、跳べる!!」

と意識に変化が出てきて、最終的には自分の姿、自信を取り戻し、再度高く跳べるようになる。

なぜノミの話をしたかというと、今年元旦に知り合った彼女。
彼女は、私に昔の私の姿を思い出させてくれているからだ。
あの日以来、彼女は私のまわりでピョンピョンと飛び跳ねている。軽やかに飛び跳ねる彼女を見ることで、私も再度挑戦することができるような気がしてきている。

ドイツに来てから、自分が思い描いていたほどドイツ語の習得が進まなかった。
そのことから、言葉ができないし…と悲観的になることが多くなったような気がする。
できないという気持ちが、私のコップに蓋をし、徐々に自己肯定感を下げ、跳ぶことを諦めていった。
挑戦することが大好きだった人間が、チャレンジすることを怖れるようになっていたのだ。しかも自分の限界を自分自身で作ってしまったことで、怖れて前に進むことを拒んでいることにさえ気づかなくなってしまっていた。


日本から海外に出た当初、英語が話せたかというと、そうではなかった。
しかしながら、自分の覚えたフレーズが通じた喜びや人とのコミュニケーションの楽しさが、小さな成功体験となり、その積み重ねにより、英語もゆっくり習得することができた。
そしてなにより楽しかったのだ。

今、彼女は私に思い出させてくれている。あの時の、ドキドキ感、ワクワク感を。
私の周りで高く跳びながら、「ほら、ここまでおいで!」と言ってくれている。トランポリンの上で一緒に跳んでいるような感覚。
手をそっと差し出してくれ、「見てごらん、こんなに跳べたよ!」と、忘れさっていた跳ぶリズムを思い出させてくれる。
そして、失敗なんて気にせず、どんどんチャレンジしていた昔の自分を鏡のように映し出してくれている。


ビジネスなどではよく出てくる話のようだが、どの人にも当てはまることだと思う。
自分より少し高くジャンプしている人の傍に身を置くことにより、自分も一緒に高く跳べるようになっていく。
無理に頑張ったり、辛い思いをしながら努力を重ねるというよりは、本来の自分に気づくことが大切なのかもしれないと感じる。
私たちもノミのように、本来は挑戦し、チャレンジをし続けるために生まれてきたのだから。

社会のしがらみ、他人からの些細なひと言、置かれている環境の中で、まずは自分が作ってしまった『限界』という蓋の存在に気づくことが重要なのではないだろうか。
「もしかしたら、自分自身でリミットを決めてしまっていないだろうか」と見直してみる。
そして、自分の気になる人、「あんな人になりたいな!」と思う人に勇気を出して近づいてみるのもひとつの手かもしれない。
最初はなかなか上手く跳べないかもしれないが、しばらくすると自分のジャンプ力の凄さに気がつくはずだ。

「ここまでしか跳べない」っと決めたのは誰だろう?
まわりの誰でもない、自分の限界を決めたのは自分自身
人間、挫けそうなときもある、諦めたくなるときもある、「もう限界だ~!」と叫びたくなることもある。
そんな時は、小さな小さなノミの話を思い出し、自分の持って生まれてきた可能性を思い出し、ぜひチャレンジし続けていってもらいたいと思う。

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