声なき声を聞いて、、、。読書記録 52ヘルツのクジラたち
読書記録 52ヘルツのクジラたち
図書館に行きたいのに改修工事中で、買い物のついでに寄った本屋さん。
いつもは好きな作家さんの棚しかみたいのですが、ちょっと本屋大賞の帯が気になって、買ってみました。
著者の町田その子さんは、初めましての作家さんです。
◎あらすじ
主人公は20代の女性、貴湖(たかこ)。今は祖母が住んでいた九州の小さな海辺の町の古い家に引っ越して来たばかり。
そんな時、町のスーパーでヨレヨレの下着をきた痩せた少年を見かけた貴湖は、なんだか放って置けなくて、
何かあったら、私の家においで。
と、声をかけてしまう。
この町にある時、クジラがやってきた、ことがあると言う。
クジラは人が聞き取れない52ヘルツの音を出して交信していると言う。
そうだ、あの少年にも普通の人には聞き取れない声で何かを発信しているのでは、ないだろうか、と貴湖は思い、かつての自分を思い出すのだった。
ここまで。
◎感想
✴︎貴湖は幼少期に安心した環境で育ってきたとは、言えない。
何か不都合があると貴湖のせいではないのに責められたり、否定されたりした。
それが繰り返していたら、自分の存在そのものに疑念を抱くだろう。
そして自分が立っているだけで、いっぱいで学校とかで他者と関わるとかとできないだろうと、思う。
✴︎✴︎でも、貴湖は母の再婚の家庭で育つ同じ境遇の美晴(みはる)と出会い、高校の夏休みに一緒にバイトしたりして少しだけ、自分の境遇を話せていた。
たった1人でもいい、「大丈夫?」と、自分の存在を気にかけて大切に思ってくれる人がいたら、人は少しだけ強くなれるのかもしれない。
✴︎✴︎✴︎
そんな人に出会えるだろうか、人はみな他者の心の痛みまで思いやることができる、とは思えないけれど、
そんな人に出会えただけでも、
「自分は生きていてよかった」のかもしれない。
✴︎✴︎✴︎✴︎
そして、今度は自分が守りたい、守らなくては、と思える人、たとえば、自分の家族や友人がいると思いの外強くなれるような気がする。
たとえ寝不足でも、
たとえお腹が空いても、
たとえ腕力がなくても、、、。
けれど、
誰かのために懸命に生きている自分を見つめ大切にすることも時には必要かもしれない。
そんな時は、まず愛おしんであげよう。
そんな物語でした。
◎今日も最後まで読んでいただきありがとうございました😊
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