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今、僕が想うこと。40代トランスジェンダー

僕は、女から男に戸籍を変えて生きるFTMトランスジェンダー。鈴木優希 1980年生まれ。

仕事は同じlgbtq当事者を主に雇用したオナベバーVenusビーナスとレズビアンバーWダブルを経営している。

僕が生きてきた時代。

まだまだ若いつもりでいるけれど、今年44歳になる。
20代のスタッフ達と現場に立っていると、ジェネレーションギャップを感じることもしばしば。笑

それは、LGBTを取り囲む状況も同じ。

今は、性別の違和感も「個性」と呼ばれる時代になった。
僕の時代は、性同一性「障害」だった。

それでも、僕らの時代でもまだ「理解」が進んでいたよと当事者の先輩達はおっしゃる。

性別の違和感を感じていても、誰にも言えず生涯を終えた方がたくさんいた。
ずっと言えずに生きてきて90歳を過ぎて、ゲイであることをカミングアウトされた方がいるニュースもこの何年かで見かけた。

今、「個性」として自分らしく生きている若者達からしたら信じられない話かもしれないけど、それが現実であり、その頃の社会全体の受け入れ方だった。

その頃からしたら、あっという間に理解と認知が進んだと思うかもしれないけど、当事者の人生の中でのここに辿り着くまでの何十年間はとても遅く感じる。

1番悩む思春期、生まれたときからLGBTに理解のある時代であったら...

悩むことももう少し少なかったのかなぁと思ってしまう。

ただ、それが「時代」というものであって僕たちの先輩、そして僕たちの生きづらさが意見となり、今に至るのだからそれはそれで役目を果たしたのかもしれない。

今後を生きる当事者に求めるもの

それは、あれもこれも、もっともっとをやめること。

僕たちは保護されたいわけではなく、自然な存在になることを求めてきた。
性同一性障害だからLGBTQだから、差別、阻害されてはならない。ただ、性同一性障害だからLGBTQだから何でも許される。それは違うと僕は思っている。

全てを認めろー!
認められなければ、差別だ!人権侵害だと訴えてはいけない。

世の中にはルールがある。それが違っているならば、ひとつひとつを解決、改善していくこと。流れが来ている時はもちろん、意見を訴える絶好のチャンスでありそれを逃す手はないが、その要求を全てすぐに認めて欲しいと期待してはいけない。順序がある。

まずは、僕たちLGBTQの存在が理解され、あたり前になること。
この世の中の中で、特殊な存在ではなく1人の人間として、自然に受け入れられることを望む。

世の中もLGBTQだからトランスジェンダーだからの大きな括りではなく、個人の能力、常識、行動によって精査して欲しい。

そうして初めて、僕らはこの性別違和というものをひとつの「個性」として受け止められると思う。

望みすぎないことを目指すというのは、とても難しいことなのかもしれないけど、
LGBTQという大きな看板に甘え過ぎず、自分自身を磨き、社会に認められる人材になること。

それが、結果、自分の人生を豊かにすることに繋がる。

今より理解が少なかった僕たち昭和世代は、LGBTQという看板がなかったからこそ、「何クソ根性」でなんとか社会から排除されず通用するものになるべく、とにかくひたすらにがむしゃらだった。

それはそれで、とても険しかったけれどその経験のおかげで今の40代を穏やかに生きることが出来ていると感じる。

50代、60代...そしていつかこの人生が最期を迎える時、僕は性同一性障害を抱えて生まれ、治療を経てトランスジェンダーとして生きた人生を振り返ってどう思うのだろう。

考えもつかないけれど、「この人生も悪くなかった。」と思えたら幸せだなと思っている!

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