2024年3月の記事一覧
<書評>『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』
『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ Rosencrantz and Guildenstern are dead』 トム・ストッパードTom Stoppard 著 松岡和子訳 原著は1967年 翻訳は1985年 劇書房
20世紀を代表する不条理を描いた劇作家の一人、チェコ人ながら英語圏で成長した英語作家のトム・ストッパードによる、シェイクスピアの『ハムレット』に名前だけ登場する人物二人
<閑話休題・芸術>美食と芸術の関係
ある人が、「安いラーメンを食べた後の演奏より、高級な寿司を食べた後の演奏の方が、より素晴らしく演奏できたと、多くの音楽関係者がいっている」と述べるのを読んだ。「ふーん、そんなものか・・・」と思ったが、しばらくすると、なにか違うような気がしてきた。
例えば、おそらく安いラーメンには見向きもせず、普段から高級な寿司を食べているその人にとっては、良い演奏をするためには高級な寿司などを食べなければだ
<映画評>「タンポポ」と伊丹十三の映画文法
伊丹十三の作品を全て観たわけではないが、最上のものは「タンポポ」だと思っている。なぜなら、映画の基本文法であるモンタージュ(簡単に言えば、「場面と場面のつなぎ」)を屈指した映像と、さらに映画自体に対するオマージュが込められているからだ。
つまり、「シェーン」を換骨奪胎した内容や、当時は安い庶民の食べ物としてあまり注目されていなかった(高級レストランや老舗飲食店でのグルメが、大衆やメディアにも