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エッセイ

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4000円の半袖Tシャツ

4000円の半袖Tシャツ

もうすぐしぬんや、言うてた人が生きてるの見て
綺麗やなとも思ったし汚いわとも思った。

ストレートパーマでさらさらになった髪を、綺麗やなこのままでいてな、って
ヘアオイルつけたり温風冷風使い分けたりして丁寧に乾かして、鏡前で笑うみたいに、
ほんで、同じように丁寧に丁寧に触っても、この前までうねってはねて散らかってた髪の毛思い出して、鬱陶しいし不平等や、って
いらいらしてしまうみたいに、そんな気持ち

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Blue

Blue

私の青春時代は、少し暗くて誰よりも青かった、と思う。人は皆そんなふうに思っている。

小さな頃から募らせた他人とのズレ、その輪郭がはっきりとしてきて、全身に渦巻くエネルギーが感情を、ぐちゃぐちゃにする。楽しい、辛い、嬉しい、悲しい。目の前で起きたことに対する正しい感情を、当てはめられない。

凡人とは違う、私はまわりとは違う。若干のイライラが駆ける中で書く文章には、いつも納得がいかない。

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その猫でさえ、秋。

その猫でさえ、秋。

阿呆、と言いたくなるような冷たい風が建付けの悪い網戸をカタカタと揺らした。

8月の木曜、連日の雨のせいでじめじめとした外。「雨、上がったし少し歩くか。」とはならないのが私だ。マイブームといえば、短編小説を壁にもたれて読むことだ。

下旬に差し掛かり、寒暖差の激しい日が続く。
なぜか、いつまでもカラカラと乾いた空気が循環する部屋に、じめじめを取り入れたくて窓を開けたところだ。

不意に流れ込

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ちょっと、、ちょっと、ちょっと。

ちょっと、、ちょっと、ちょっと。

「アレ、してみよ〜。」という肉体的にも精神的にも自分をアップデートさせてくれそうな自発的な思いつきを、不履行のまま記憶の箱に放り投げて入れてしまう。

私にありがちなものでいうと「note書こ~」とか「あした古着屋さん行こ~」とか。

noteのアプリを開いて、誰かの記事を読んで、閉じて、ゲーム開いて、閉じる頃には目の奥から頭痛を生み出してたり。

顔を洗って、歯を磨いて、髪を整えて、その過程に満

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私はこれを“ひと夏”と呼びます

私はこれを“ひと夏”と呼びます

押し入れから引っ張り出した扇風機はこの夏乗り越えたらもうサヨナラかもな、なんてユチャンに思わせました。

羽根はホコリを被って、弱・中・強のボタンは陥没。「使えんのこれ?」とか思いながら、唯一生き残ってる入のボタンを押すとユチャンの顔にホコリを勢いよく飛ばしてきやがりました。これ絶対あれだよ、強だよこれ。

「くそ!首振りも使えちゃうのね!!来年の夏もまたヨロシクだわ!」

強の風はまだ涼しすぎ

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