【小説】未来から来た図書館 -1-
ボクの知らない間に、夏がきていた。
たしかに太陽は光線銃のように白い光をボクにむけているし、着ているシャツは汗ではりついて、ボクから離れようとしない。
空に入道雲が浮かんでいることも、蝉の声が聞えていることも、カレンダーが八月になっていることも、ボクは知っていた。
でも、誰もボクに「夏がきたよ」とは言ってくれなかった。
そして、いつの間にかボクの通う小学校も夏休みになっていた。
ボクは小学校に通いはじめて五年目になる。
つまり、小学五年生だ。飽きもせず、真面目に通っている。