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長期的な見通しや世界が抱える課題をどのように自分のポートフォリオに組み入れるか①


*①は投資経験者向けですが、②の後半は投資初心者の方にもぜひ読んでいただければと思います(前半が難しいなと思ったら飛ばしてくださって大丈夫です)😊

資産形成を行っていると、長く続けている経験者はもちろんのこと、資産形成がようやく軌道に乗り始めた方々も、相場展開が自分の予想と異なったり、自分の見立てがなかなか実現しなかったり、もどかしさを感じる場面があると思います。

長期投資における短期の変動はその1つで、10年単位では株価が上がっていても、短期的な相場は大きく下落することがあります。典型的な例はS&P500の2007年以降の動きです。長期的には株価が上昇という予想だったり、株を取り巻く環境は良好という見立てだったりしても、2008年のリーマンショックの前後で、2007年10月から2009年3月にかけて株価はマイナス56.2%と劇的な落ち込みを見せました。しかし、その後株価は大きく回復し、2007年10月の高値から見てプラス239.7%と大幅上昇しています(グラフご参照)。

また、長期的な課題や問題に警鐘を鳴らしてくれる人もいます。そのうちの1人が大手ヘッジファンドのブリッジウォーターの創業者であるレイ・ダリオ氏です。日経新聞は比較的頻繁に彼のこと、あるいは彼が率いていたブリッジウォーターのことを記事にしています(彼は現在、第一線から退いています)。

例えば、5/25の日経新聞では、レイ・ダリオ氏へのインタビュー記事が掲載されていました。(有料版を読める方は、https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN310240R30C24A3000000/ )

興味深かった部分をいくつか挙げると、
・米国は6つの国家サイクルのステージにおいて、貧富の差、価値観の相違の拡大、ポピュリズムなどを特徴とする衰退期に属する。
・米国は大混乱に陥る瀬戸際にいる。
・米国、日本、ユーロ圏と世界の3大基軸通貨すべてで債務が過剰な状態にあり、これが通貨の価値低下につながり、インフレ圧力や金(ゴールド)の価格上昇が起こっている。
・国債発行の多さとインフレ圧力によって債券利回りは上昇しやすく、債券市場は魅力がない。
・中国は100年続く嵐に突入しつつある。

私は、彼の視点が自分の考えや見方をインスパイアしてくれることから、彼のニュースレターを定期的に読んでいるのですが、4/19のレターでは「十分なnon-debt money(債務に裏付けられていないマネー)を持っているか?」が論じられていました。
・ドル、ユーロ、円、人民元などの主要通貨は国の債務に裏付けられている。
・歴史や理論では債務に、①返済されない、あるいは②減価されたマネーによって返済される、といったリスクが高まると、その国の債券や通貨は魅力を失う。債務が過剰になると中央銀行が紙幣を大量に刷るためマネーの価値が下落する。
・他方、金は債務に裏付けられていない。
・金融システムが良く機能していれば、金融資産は良質な資産となるが、そうでない場合は金が持つのに良い資産となる。
(ちなみに、5/17のレターでは「How is the US doing?」という題名で米国国内の分裂(dichotomy:二分法)について論じています。これも興味深いですが、話が広がり過ぎてしまうのでここでは触れずにおきます)

どれも長期的な観点からは大事な話ですし、経験のある個人投資家はこういったことを頭にインプットしています。しかし、こういった課題や問題は、短期間で顕在化するとは限りませんし、顕在化するかどうかさえも分かりません。

実際、ブリッジウォーターの投資スタイルは、2008年のリーマンショックのあとに脚光を浴びましたが、ここ数年は他のヘッジファンドに後れを取っています。報道によれば、昨年はライバルのリターンが2桁のプラスを記録した一方で、ブリッジウォーターはマイナス7.6%でした(ただし、同社は10年という長期的な視野では優れた方法であることに変わりはないと主張しています)。

では、私たちはこういった長期の見通しや、世界が抱えている課題や問題を、どのように自分のポートフォリオに組み込んでいったら良いのでしょうか。②ではその点について触れたいと思います。

(②へ続く)

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役職定年を割り切れず、学び直してメガバンクの肩書を捨てた:日経ビジネス電子版 (nikkei.com)

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