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前代未聞の一大プロジェクト。「ワクチンの大学拠点接種」では学生・大学関係者だけでなく多数の地域住民に接種や申込みサポートなど地域社会に大きく貢献。

学生も、教員も、にっちもさっちも行かず、まさに苦境のどん底にあった
コロナ下の大学。

しかし、全国各地の大学は、ただ手をこまねいているわけでは
なかったのです。

こうした難局を打開するために、ワクチン接種という、いわば前代未聞の
一大プロジェクトに乗り出したのです。

それが、2021年6月から始まったワクチンの「大学拠点接種」です。

 

当時の萩生田光一文部科学大臣は、大学拠点接種について、
その趣旨と意義をこのように説明しています。

「民間企業等における一般的な「職域接種」とは趣旨や役割が異なる」ということを強調し、「コロナ禍で対面授業の機会が大きく失われ、通常の大学での生活を送ることに制限をかけることを余儀なくされたり、海外留学の夢を実現することが難しくなってしまった学生の皆さん、さらには、課外活動やアルバイトなどもできなくなり、様々な社会経験を積む機会を失ってしまった学生の皆さんに、一日も早く本来の日常を取り戻していただき、学生だからチャレンジできることを実現させてあげたいという社会からのエールがこめられている」

文部科学省ホームページ「大学拠点接種」に関する文部科学大臣メッセージより

文部科学省の音頭ではじまった大学拠点接種ではありましたが、
多くの大学が手を挙げ、全国各地で実施されました。

2021年10月1日現在、拠点となった大学は364、参加大学も含めると760の大学が実施しました。

そして、総接種人数は、大学・教職員や関係者だけでなく、
地域住民も含め、なんと200万人を超えました。

[文部科学省]大学拠点接種等による新型コロナウイルスワクチン接種状況について

令和3年10月1日 文部科学省

ここで忘れてはいけないのは、その目的は、自らの大学の運営を再開するためだけではなかったことです。

拠点にはなれなかった周辺の大学や教育機関にも接種の対象を広げ、
さらには、近隣の地域社会の人たちも可能な限り対象とした
のです。

まさに、大学は地域社会があってこそ成り立っていることへの恩返し、
とも言えます。

結果として、こうした努力の甲斐もあって、皆さまもご存知の通り、
2回目接種では、日本は世界でもトップクラスのワクチン接種率に
達したわけです。

大学とは、まさに人と人が集い、交わる場所であることを
逆手に取ったともいえる一大プロジェクト。

大学の果たした役割は決して小さくなかった、と敢えて申し上げましょう。

 

ネット予約の手助けにも

大学生たちが、ワクチン接種のサポート活動に取り組んだ事例もあります。

拓殖大学(東京都)では、八王子キャンパスにある国際学部の藍澤淑雄教授のゼミ生たちが、近隣にある団地の高齢者を対象に、ワクチン接種のインターネット予約を手助けしました。

スマホを所持していない高齢者に代わって、学生達がスマートフォンを使って予約の手伝いをするもので、支援を行った学生は、「電話を使用した予約では100回かけても受付に繋がらず、スマートフォンのちょっとした操作も高齢者には難しい」という現実に当初は驚いたが、無事予約の完了を住民に伝えた時にいただいたお礼の言葉は嬉しかったと語っています。

拓殖大学ホームページ 2021年5月21日


大学生と高齢者との交流がこれからの地域社会を支えていく。
大学の新たなポテンシャルが感じられるエピソードです。

考えてみれば、これも、大学は“人と人”が交わる場所であることの現れ
ですね。

次回は、コロナ下でも様々な形で活動を続けるサークルに
注目してみたいと思います。

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