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【140字小説】テーマ:アイス

今この会社は、倒産のピンチを迎えている。このままだともってあと半年だそうだ。俺は商品開発の部長をしており、一発逆転を狙い、2カ月かけて新しいアイスを開発した。見た目がフルーツ、食べるとアイスという新感覚。これがテレビやSNSで話題を呼んで大ヒットとなり、会社が倒産しないで済んだ。

『キーパーソン』


僕が大きな器に入るとそこに待ってたのは卵黄達だった。彼にくっついた途端、妙に温かさを感じたのか、彼らが僕に理由を聞くと、「熱で温められた」と答えた。その後僕達は、温められたり冷やされたりかき混ぜられたりして一体何が目的なんだと神妙な面持ちで人間の顔を見上げる。時折笑顔をみせてた。

『逆レシピ実況』


今日の気温は37℃になるという中、炎天下の中で仕事していた。後輩に「アイス買ってきてくれないか」と頼んだところ、「わかりました」と素直に応じて目の前のコンビニに入った。10分後でてきてアイスをもらったが、「おい、アイスってこれじゃないぞ。アイス”クリーム”が食べたいんだ」
「あっ」

『アイス違い』


小さい頃毎日行ってたアイス屋があった。そのおかげか女性店員に顔を覚えられていたのだった。行く度に、「サービスだよ」と言っておまけでアイスをくれていた。気づいたら僕もそのサービスが嬉しくてそのアイス屋にいくのが楽しみだった時期があった。あれからしばらく経ち、店も変わり彼女もいない。

『懐かしきファンサービス』


昨日、物凄く好きだった彼女と別れた。理由は彼女の浮気だ。彼女曰く、「高収入でイケメンな彼と結婚したい」とのことで、僕は収入はそこそこあるが容姿は普通だった。初めて自分自身の容姿を心底憎んだ。それほど好きだったんだろう。彼女と食べるアイスは美味しかったが、今日は何故か酸味を感じる。

『浮気からの酸い追討ち』


近所にトルコアイスのキッチンカーがやってきていた。トルコアイス屋はアイスが出来てもすぐには渡さないことでよく知られているが、案の定ここでも同じだった。さらには泣いてしまう子供もいる始末。そこで私は「はやくよこせ。」とナイフを見せると、顔が真っ青になり急いで子供にアイスを手渡した。

『パフォーマンスよりおやつタイム』


ハワイにアイスを送り届ける予定が知らぬ島に上陸してしまったようだ。あたりを散策するとこの島に住んでると思しき部族と鉢合わせしてしまう。彼らに鞄の中身を見せろと指示があったので、見せたら全員がアイスに興味深々だった。食べてもらうと、全員から笑顔がこぼれ、彼らと友達となっていたのだ。

『お金よりも友情』


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