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不可視のマテリアル _vol.1
シンガポールのダンスカンパニーのディレクターから、彼らが企画するオンラインでの新たな試みにアーティストとして参加しないか?という連絡があった。このところ大学院の課題をこなすだけで精一杯の日々が続いていたが、なんとか必修課題を提出し終えたので、以前からやってみようと思っていたことに着手することにした。
音楽家の山中透氏に音楽を担当していただき、アップデートを繰り返してきた『ENIGMA』というダン
ENIGMAーHole_vol.2
リサーチの参考資料として、マルグリット・デュラスの『モデラート・カンタービレ』 を読了。
美しい言葉たちが作り上げた、詩的で不思議な世界の穏やかで緩慢な時間のなかで、徐々に現実と幻想の間で浮遊する存在となっていくブルジョワ階級の女性アンヌの物語。
港町のある酒場で情痴殺人事件が起こる。その酒場の近くで息子のピアノのレッスンに来ていた主人公アンヌが事件直後の現場を目撃、それ以降毎日繰り返し酒場を
ENIGMAーHole_vol.1
「E N I G M A」という作品を、現在アーティスト・コレクティブで再構築している。「謎」や「不可解なこと」を意味するENIGMA=エニグマから、「境界」というキーワードを抽出し、2020年11月にワーク・イン・プログレス公演を行った。
境界から穴へ
私は、皮膚という身体の境界面から時間や空間、世界との関係を考察していたのだが、その過程で脳裏に浮かんできたのが「穴」だった。
皮膚とい
不可視のマテリアル_vol.5
このプロジェクトは既に次の段階、つまりクリエーションに突入しているので、ここからの振り返りは、一気にいきたいと思う。
素数とフラクタル
テキストとしてとりあげた村上春樹著『ねむり』から17という数字に着目し、作品の時間軸を考察しようと試みた。
17という数字は、『ねむり』の主人公が17日間寝ていなかったということからピックアップした数字だ。
まずは、17日目のことをイメージし、そうすると1日
不可視のマテリアル_vol.4
ねむり作品の素材を紡ぐために、村上春樹著『ねむり』をテキストとして取り上げることにした。
ここではテキストが共創的なメディアとなる。私は翻訳者のように『ねむり』という物語に向き合い、物語の背後に隠されたコンテクストを探り、自身の出来事や記憶を重ね合わせながら新たなナラティブを紡ぐことを課せられた。その作業は誤読に満ちていた。ある意味を強化し、消失させながら共感や豊かなイメージを生む源泉としての派
不可視のマテリアル_vol.3
ムーブメント素材の創出
「眠り」というイメージと、「7日間の夢」をコラージュで表現したものをもとに踊った8つの即興は、映像に記録された。
この映像からランダムに動きやポーズを切り出したものが、ドラマトゥルクから提示された。これらの動きやポーズを最短距離で繋げた短いフレーズ(振付)を8つ創るように、というのが次のタスクだった。
コラージュを作る際も自分の趣向を排除するために、手元にあった映画情