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Artist つくること、踊ること、思考すること、生きること、いろいろ模索中。https://yokokoike.com

マガジン

  • mind scape

    中川運河助成ARToC10 採択事業 『mind scape』article 風景は離れた物事を結び、 ときに矛盾が共存している現実を見せる。 中川運河周辺にひっそりと息づいているものに 心をよせる。 ◉オンライン上映:9/15~ ◉インスタレーション展示:9/17-9/19 @ PHOTO GALLERY FLOW NAGOYA (愛知県名古屋市中村区名駅4丁目16-24 名駅前東海ビル2F 207A) https://www.photo260nagoya.com

  • 勉強ノート

    Research activities リサーチ、雑記、メモ、読書感想 など。

  • 創作の視線録

    ダンスと創作についてのアレコレ

最近の記事

運河の風景から

中川運河ガイドブックなるものを入手。 「もっと知りたい中川運河」2014年に名古屋市住宅都市局臨海開発推進室・名古屋港管理組合企画調整室によって、企画・発行されたものだ。 このガイドブックには「中川運河の見どころ」として、私も足を運んだ場所が多く掲載されていて、その案内文から現地では気づかなかったこ情報を得た。自分が見た風景に情報が肉付けされ、また新しい経験をもたらされたような感じがする。 せっかくなので、ガイドブックに沿って、ざっと訪れた場を振り返ってみることにする。

    • モノの心

      "石にも心がある”をもう少し考えてみたくて、図書館をうろうろ。
 あったー!
 森山徹 著
 『モノに心はあるのか ー 動物行動学から考える「世界の仕組み」』 ダンゴムシ研究者って… ダンゴムシにも石にも「心はある」って… おもしろそうだーーーー!!! 予感的中! 「私は一生覚めない夢を見ていて、私の外側に世界はないのではないか」という、森山さんが幼い頃に抱いた疑問話の展開にシンパシー!他人とは思えないような自問自答から始まる話に、ぐいぐい引き込まれていった。

      • 石とはなんだろう?_vol.2

        18世紀では、生命と物質の概念の区分けは現代人と異なっていて、鉱物も自然界の一連の生命の階梯の一番下に位置づけられていた。たとえば、18世紀の博物学における分類体系においては大抵、「動物界」「植物界」「鉱物界」が並置されていたのである。分類学の父とされるリンネの著書『自然の体系』(1735年)はその典型で、冒頭で次のように定義してみせた。 「自然物は鉱物界、植物界、動物界の三界に区分される。鉱物は成長する。植物は成長し、生きる。動物は成長し、生き、感覚を持つ。」 (wikip

        • 石とはなんだろう?_vol.1

          むくむくと石に興味がわいてしまったので、ちょっと寄り道。 「石とは何か?」なんて、考えたことなかった・・・ つまり、石は鉱物ということだな。 岩石、鉱物というと、『ファウスト』を思い出す。ファウストは、言わずと知れたドイツの文豪ゲーテの作品だが、この作品を題材とした5幕のオペラで、バレエが踊られるシーンがある。バレエでは「ワルプルギスの夜」という名での方が馴染みがあるのではないかな。 このバレエは、20分ほどの華やかな踊りで構成され、軽快な音楽と独特な振付に特徴があり、

        運河の風景から

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        • mind scape
          8本
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          5本
        • 創作の視線録
          7本

        記事

          もの言わぬ石が語ること

          昨年末から半端ない仕事量を抱え、修士論文ラストスパートが重なり、なかなか執筆まで手が回らず・・・。やっと落ち着いてきたので、溜まってしまったフィールドワークの資料整理を開始! 名古屋市中川区にある熊野神社から自転車で5分ぐらい走ると、八剱社に到着した。 入り口で待ち受けていたのは、またもや「石」!!! 横に並んだ3つの石は、説明の札によると『力石』と呼ばれる力比べに用いられた石なのだそうだ。 『力石』について調べてみると、その由来は神霊の依坐である石を持ち上げることで豊凶

          もの言わぬ石が語ること

          氏子が育む繋がり

          金刀比羅社から小栗橋を渡り、自転車でびゅ~んと対岸の小さな工場エリアへ。工場の佇まい、味わいがあって、かっこいいな〜。 柳島神社 残念ながら、ここは検索しても神社名しか分からず・・・ なぜかここに石が! これも残石なのかな・・・ 二女子町にある秋葉神社へ。 二女子の町名は江戸時代の二女子村からきているそうだ。昔、大領主が7人の娘を7つの村に嫁がせ、それぞれ一女子村から七女子村と名付けたなどという説は、面白い。江戸時代には二、四、五、七女子村しか残っていなかったようで、

          氏子が育む繋がり

          運河のイボ神様

          今回のフィールドワークについて書く前に、まずは中川運河についての概要を紹介! 中川運河はささしま地区の堀止船だまり及び、堀川と連絡する松重閘門から中川口閘門を結ぶ運河です。幹線並びに北支線・東支線と4つの横堀運河(小碓、南郊、荒子川、港北)によって形成されていて、運河は港湾施設として位置づけられています。[名古屋市HPより] いろいろなことがあやふやだったのに、職場になるはずだったところの近くに家を借りたのが三年前。知り合いも全くいない見知らぬ土地、それでもここでやってや

          運河のイボ神様

          かつての子供たち

          コロナ禍でなかなか作品制作のためのフィールドワークが進められなかったが、ワクチン接種も終え、緊急事態宣言も解除されるとのことなので、運河周辺散策に出かけた。 どこかで見たような情景 どこか温かく懐かしい景色 中川運河はデジャブを抱かせる 自分が生まれる以前の時代に懐かしさを感じることもあるように、ノスタルジアはDNAに刻まれた記憶のように個人の記憶を越えた場にも存在する。 中川運河の前身は、上流が笈瀬川、下流が中川という自然の河川だった。名古屋城築城のときには、加藤清正

          かつての子供たち

          あいだのもの

          ティム・インゴルド著『ライフ・オブ・ラインズ ー線の生態人類学』を読了。 最近、なぜか人類学の本にときめくことが多く、そこになにかダンスの根源的なものを感じるのだが、この本にも同様の印象を持った。自由奔放な事物の結びつけと躍動感溢れる展開がとてもおもしろく、「そうそう!この感覚、わかるな〜」と、作品制作中や踊っているときにグルグル渦巻く思考や感覚が言語化されているような感じだったので、とても親しみを感じた。 この本は、「結び目を作ること」から始まり、「天候にさらされること

          あいだのもの

          パフォーマンスと不在の目

          メディア・テクノロジーがもたらす多様なコミュニケーション空間の拡大のなかで、パフォーマンスにおける観客の視線は拡張・拡散している。その結果、現在パフォーマンスは、「不在の目」を介して評価される、映える虚構に主軸をおいた目線によって支えられているといった構造になっているように思えてならず、私は戸惑いと違和感を感じている。 「作品はそれ自体では完結せず、つくり手がつくった後に、鑑賞者が鑑賞することによって初めて成立する」ということは、一般的な自明の理になっている。哲学者のジャッ

          パフォーマンスと不在の目

          ENIGMAーHole_vol.2

          リサーチの参考資料として、マルグリット・デュラスの『モデラート・カンタービレ』 を読了。 美しい言葉たちが作り上げた、詩的で不思議な世界の穏やかで緩慢な時間のなかで、徐々に現実と幻想の間で浮遊する存在となっていくブルジョワ階級の女性アンヌの物語。 港町のある酒場で情痴殺人事件が起こる。その酒場の近くで息子のピアノのレッスンに来ていた主人公アンヌが事件直後の現場を目撃、それ以降毎日繰り返し酒場を訪れ、酒場にいる男と毎日繰り返し事件について語る。彼らはほとんど事件の実体も真相

          ENIGMAーHole_vol.2

          ENIGMAーHole_vol.1

          「E N I G M A」という作品を、現在アーティスト・コレクティブで再構築している。「謎」や「不可解なこと」を意味するENIGMA=エニグマから、「境界」というキーワードを抽出し、2020年11月にワーク・イン・プログレス公演を行った。 境界から穴へ 私は、皮膚という身体の境界面から時間や空間、世界との関係を考察していたのだが、その過程で脳裏に浮かんできたのが「穴」だった。

 皮膚というものが自分と外界を隔てる「境界」のような存在だと意識すると、例えば、気やオーラ

          ENIGMAーHole_vol.1

          不可視のマテリアル_vol.5

          このプロジェクトは既に次の段階、つまりクリエーションに突入しているので、ここからの振り返りは、一気にいきたいと思う。 素数とフラクタル テキストとしてとりあげた村上春樹著『ねむり』から17という数字に着目し、作品の時間軸を考察しようと試みた。 17という数字は、『ねむり』の主人公が17日間寝ていなかったということからピックアップした数字だ。 まずは、17日目のことをイメージし、そうすると1日目はどんな感じになるのか、2日目、3日目・・・を考えたり、目覚めてから寝るまでを

          不可視のマテリアル_vol.5

          見ること

          昨夜、殆ど街灯がない道をひたすら歩いた。経験から目的地までの距離感を分かっていたつもりだったが、すっぽりと闇に包まれた時、空間の奥行きだけが迫ってきて、出口のない穴の中にいるような感じになった。 私たちは闇のない生活に慣れている。なんとなくぼんやり見えるガードレールや目の端を流れ去る木々や草の僅かな陰影、足元から感じる砂利やアスファルトの凸凹だけが、私が確実に目的地に向かっていることへの拠所になっていた。視覚や触覚が闇に慣れるのはわりと早い。慣れるのが遅いのは、おそらく時間感

          見ること

          不可視のマテリアル_vol.4

          ねむり作品の素材を紡ぐために、村上春樹著『ねむり』をテキストとして取り上げることにした。 ここではテキストが共創的なメディアとなる。私は翻訳者のように『ねむり』という物語に向き合い、物語の背後に隠されたコンテクストを探り、自身の出来事や記憶を重ね合わせながら新たなナラティブを紡ぐことを課せられた。その作業は誤読に満ちていた。ある意味を強化し、消失させながら共感や豊かなイメージを生む源泉としての派生的な「ナラティブ」を引き出していく。 『ねむり』は、『眠り』として1989年

          不可視のマテリアル_vol.4

          感じとること

          「考える皮膚 触覚文化論(増補新版)」港千尋 著を読了。 要約視覚から皮膚感覚への9つの考察からなり、前半は『現実の棘』、『皮膚の政治化』、『身体シェーマの変容』という、主に外部世界と触覚との関係を考察した内容で、釘を全身に打ち込まれた〈ザイールの人形ンコンデ〉からカネッティの〈命令とは永久不変の棘〉に、思いをいたらせている。 これに続く『痛みのイコノグラフィー』では、刺青の話からカフカの短篇「流刑地にて」の刺青機械へとつなげていく。 『色素政治学』では、皮膚の色が持つメッ

          感じとること