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石とはなんだろう?_vol.2
18世紀では、生命と物質の概念の区分けは現代人と異なっていて、鉱物も自然界の一連の生命の階梯の一番下に位置づけられていた。たとえば、18世紀の博物学における分類体系においては大抵、「動物界」「植物界」「鉱物界」が並置されていたのである。分類学の父とされるリンネの著書『自然の体系』(1735年)はその典型で、冒頭で次のように定義してみせた。
「自然物は鉱物界、植物界、動物界の三界に区分される。鉱物は
石とはなんだろう?_vol.1
むくむくと石に興味がわいてしまったので、ちょっと寄り道。
「石とは何か?」なんて、考えたことなかった・・・
つまり、石は鉱物ということだな。
岩石、鉱物というと、『ファウスト』を思い出す。ファウストは、言わずと知れたドイツの文豪ゲーテの作品だが、この作品を題材とした5幕のオペラで、バレエが踊られるシーンがある。バレエでは「ワルプルギスの夜」という名での方が馴染みがあるのではないかな。
このバ
もの言わぬ石が語ること
昨年末から半端ない仕事量を抱え、修士論文ラストスパートが重なり、なかなか執筆まで手が回らず・・・。やっと落ち着いてきたので、溜まってしまったフィールドワークの資料整理を開始!
名古屋市中川区にある熊野神社から自転車で5分ぐらい走ると、八剱社に到着した。
入り口で待ち受けていたのは、またもや「石」!!!
横に並んだ3つの石は、説明の札によると『力石』と呼ばれる力比べに用いられた石なのだそうだ。
パフォーマンスと不在の目
メディア・テクノロジーがもたらす多様なコミュニケーション空間の拡大のなかで、パフォーマンスにおける観客の視線は拡張・拡散している。その結果、現在パフォーマンスは、「不在の目」を介して評価される、映える虚構に主軸をおいた目線によって支えられているといった構造になっているように思えてならず、私は戸惑いと違和感を感じている。
「作品はそれ自体では完結せず、つくり手がつくった後に、鑑賞者が鑑賞することに
ENIGMAーHole_vol.2
リサーチの参考資料として、マルグリット・デュラスの『モデラート・カンタービレ』 を読了。
美しい言葉たちが作り上げた、詩的で不思議な世界の穏やかで緩慢な時間のなかで、徐々に現実と幻想の間で浮遊する存在となっていくブルジョワ階級の女性アンヌの物語。
港町のある酒場で情痴殺人事件が起こる。その酒場の近くで息子のピアノのレッスンに来ていた主人公アンヌが事件直後の現場を目撃、それ以降毎日繰り返し酒場を
ENIGMAーHole_vol.1
「E N I G M A」という作品を、現在アーティスト・コレクティブで再構築している。「謎」や「不可解なこと」を意味するENIGMA=エニグマから、「境界」というキーワードを抽出し、2020年11月にワーク・イン・プログレス公演を行った。
境界から穴へ
私は、皮膚という身体の境界面から時間や空間、世界との関係を考察していたのだが、その過程で脳裏に浮かんできたのが「穴」だった。
皮膚とい
不可視のマテリアル_vol.5
このプロジェクトは既に次の段階、つまりクリエーションに突入しているので、ここからの振り返りは、一気にいきたいと思う。
素数とフラクタル
テキストとしてとりあげた村上春樹著『ねむり』から17という数字に着目し、作品の時間軸を考察しようと試みた。
17という数字は、『ねむり』の主人公が17日間寝ていなかったということからピックアップした数字だ。
まずは、17日目のことをイメージし、そうすると1日
不可視のマテリアル_vol.4
ねむり作品の素材を紡ぐために、村上春樹著『ねむり』をテキストとして取り上げることにした。
ここではテキストが共創的なメディアとなる。私は翻訳者のように『ねむり』という物語に向き合い、物語の背後に隠されたコンテクストを探り、自身の出来事や記憶を重ね合わせながら新たなナラティブを紡ぐことを課せられた。その作業は誤読に満ちていた。ある意味を強化し、消失させながら共感や豊かなイメージを生む源泉としての派