予備校講師のひとりごと

チバラキ県民の予備校講師。地理系(地球科学系)院卒アラサー。 仕事をしていて日々考える…

予備校講師のひとりごと

チバラキ県民の予備校講師。地理系(地球科学系)院卒アラサー。 仕事をしていて日々考えることの一部を書いていきたいと思っています。 趣味で地理・地学 https://syumichiri.hatenablog.com/

最近の記事

これからの人生を捻じ曲げてくれるような大人に出会ってほしい

 唐突なお気持ち表明をしました。久しぶりのひとりごとです。国公立大学前期入試まであと2日。当該受験生がこんな記事読むわけありませんが,とはいえあと1ヶ月足らずで新生活を迎える,あるいは新たなライフステージへと歩み出す学生の方も多いと思われるので,近頃よく考えることを雑にまとめてみようと思います。(雑なまとめなので,いつもよりも客観性を欠き,論の整理があまりできていませんし,ある程度脚色が入っています,悪しからず…)  この前,生徒と話をしているときに,ふとこんなことを言われ

    • 受験を“乗り越えるべき試練”のように描写する世の中の風潮について思うこと

       どうもこんにちは,本日もひとりごとです。今回は少々,日本における受験観に一歩踏み込んだ話をしようと思います。なお,私が今回の記事で触れる「受験」とは,主として大学受験を指し,中学受験や高校受験と比較して保護者よりも受験者本人に重心が置かれたものであることを念頭においてお読みいただければ幸いです。 カロメやinゼリーのCMにみる日本の受験観 秋ももうすぐ終わり,冬が始まる頃になると,テレビでもネットでも受験を意識したCMが流れ始めます。例えばカロリーメイトとか,inゼリーの

      • 「うちの子はすぐ怠けるので,厳しく言ってやってください」とか予備校スタッフに言ってくる親に欠けている視点

         こんにちは。今日もひとりごとです。11月に入り,大学受験生はこれまでの頑張りの総決算の如く返ってきた模試結果を見ながら,受験する大学を本格的に選定する時期になっています。 進路相談は楽しくもあり,暖簾に腕押しになることもある  大学選びは,やはり人それぞれ(あるいは家庭それぞれ)の価値観があるもので,私もそういう相談に乗っていると楽しくなります。将来の夢とかキャリアプランを具体的に考えている生徒であれば尚更,その気持ちが強くなります。それが現実的な進路であるか否かにかか

        • IQが低い生徒に対して予備校ができること

           久しぶりの記事になりました。私の執筆意欲は,その時に抱えている不満や疑問の多寡に左右されるようで,俄には腑に落ちないような事象に遭遇すると記事を書きながら整理しようと思うようです。(半年以上放置されていたということは,それだけなんの不満もない,順風満帆かつ退屈な仕事生活を送っていたということです…)  私教育業界に身を置いて10年以上経ってくると,見える景色も変わってくるものです。塾講師としてアルバイトをしていた学生時代は,自分の大学の過去問もろくに解けない(そして同時に

        これからの人生を捻じ曲げてくれるような大人に出会ってほしい

          「応援されて当たり前」の大学受験教育の違和感

           大学入学共通テストまで,あと3日。受験生の方々は,直前演習とか直前点検みたいな時期で追い込まれている頃かと思います。この時期になると,受験業界は皆,揃って「合格祈願!」とか「必勝!」とか謳って,受験生を鼓舞してきます。「最後まで諦めるな!」とか「自分を信じて進め!」とか,今までにn万回聞いてきたようなセリフでもって鼓舞された受験生は,ラストスパートをかけて勉強に臨み,本番に臨み,ある者は喜び浮かれ,そしてある者は絶望するのです。  受験業界にいる大人は,毎年のようにこの光

          「応援されて当たり前」の大学受験教育の違和感

          バイトしてる生徒と予備校講師の間に滲み出るキャバみ(ホストみ)がつらい

           どうもこんにちは,今日もひとりごとです。  大学入試の本格スタートとなる大学入学共通テストまで残り3週間を切り,冬期講習も佳境です。受験直前の生徒たちの冬の過ごし方はさまざまで,「もう秋までに学習内容は完璧になってるからあとは過去問・類題演習だけ,先生には答案添削とか質問対応だけしてほしい」という生徒もいれば,「まだ基礎問題で苦手箇所があるので集中特訓したい」と授業をとりまくる生徒もいます。当然ですが,前者のような生徒は計画的に学習ができており,いつまでに何をやって自分が

          バイトしてる生徒と予備校講師の間に滲み出るキャバみ(ホストみ)がつらい

          管理されることに慣れすぎた子どもたちと管理することに慣れすぎた親たちは学びの本質を見失い,ただひたすらに管理され続ける

           どうもこんにちは,ひとりごとです。久しぶりの投稿です。6月に記事を書きかけて,さながら冷凍庫のジップロックごはんのようにそのまま放置されていた記事を見直すと,やはり今考えることと繋がるようなことがあったので,これからちょっと解凍してみようと思います。 クラウド管理ソフトの“管理”の違和感テレワークやリモートワークが世に広まってから,いわゆるクラウド業務・運用管理ソフトの広告を目にする頻度が以前よりも倍増していますよね。社員のやる気を見える化する(藤○竜也でお馴染みの スカ

          管理されることに慣れすぎた子どもたちと管理することに慣れすぎた親たちは学びの本質を見失い,ただひたすらに管理され続ける

          休校期間に比例して予備校が儲かり,教育格差が広がっていくんじゃないかという話

           久しぶりの記事投稿です,ひとりごとです。巷では小中高の夏休みが延びる(休校措置が取られる)とか云々が言われていますが,当方複雑な心境です。そういうわけで投稿です。  投稿が久しぶり…となったのも,実は今期は想定以上に忙しく,こういう思考をする余裕がなかったことが背景にあります。2年前,入試改革直前(センター試験ラストイヤー)には,駆け込み需要だかなんだかわかりませんが単純に生徒数が多く,フツーに忙しかったのですが,なんだか“生徒一人当たりの熱量”がそれほど大きくなかった気

          休校期間に比例して予備校が儲かり,教育格差が広がっていくんじゃないかという話

          共通テスト会場では「防護服をつけてはいけない」「体温を測らない」の施策方針の背後に見える目的意識のズレと過保護性

           どうもこんにちは,今日もひとりごとです。先日,Twitterである話題を見かけ,ふと一言ふれておきたくなったので,記事にします。(仕事が繁忙期のため,話題が出てからこの記事になるまでに10日以上経ってしまいましたが…)  タイトルの通り,共通テスト実施における会場運営の方針で,「防護服をつけてはいけない」とか「体温を測らない」という施策がとられそう?であるということなのです。 共通テスト会場における感染対策の矛盾 私が見かけたのは以下。  いずれの会場でも試験監督は、

          共通テスト会場では「防護服をつけてはいけない」「体温を測らない」の施策方針の背後に見える目的意識のズレと過保護性

          予備校や塾って,結局「教科書読めない人生産マシーン」になってないか?

           どうもこんにちは,今日もひとりごとです。毎回記事を書くと,最初は「お,今回は3,000字くらいでコンパクトにまとまりそうだぞ♪」と思うのですが,あれこれ論点を整理しているうちに(整理しきれていないゆえのことなのですが)気づいたら7,000字を超えて,時に1万字…みたいな感じになってしまい,なかなかうまくコントロールできません。初心者です。  さて今回は,生徒の質問対応をしていて思うことをとりあげます。生徒は予備校の授業テキストをはじめ,その他各種参考書で学習を進める中で,

          予備校や塾って,結局「教科書読めない人生産マシーン」になってないか?

          「高校時代の先生には全部暗記しろって言われて辛かったんですけど,先生の授業で本質がわかりました〜!」と言う生徒に欠けていること

           こんにちは,ひとりごとです。塾講師とか予備校講師をしていると,往々にして「わかりやすかったです,高校時代は全部覚えろって言われてたんですけど,全然覚える必要ないっすね〜,マジありがとうございます」みたいなことを言われるものです。私もこういうことを生徒に言われて,悪い気はしません。むしろ,「ああそうか,キミは今まで暗記地獄に陥っていてかわいそうだったけど,そこから解放されて自力で考えられる身になったのだね」みたいに嬉しい気すらします(思いあがってんじゃねえぞ)。自分自身,誰か

          「高校時代の先生には全部暗記しろって言われて辛かったんですけど,先生の授業で本質がわかりました〜!」と言う生徒に欠けていること

          あたかも簡単に大学に受かるようなコンテンツの飽和によって,富士登山が高尾登山のように演出されているのでは?という話

           どうもこんにちは。ひとりごとです。実質的に大学入試スタートとなる大学入学共通テストまで,残り2ヶ月を切りました。  そんな中,例年の傾向ではあるのですが,予備校では10月頃からだんだん来なくなる生徒が出てきます。“来なくなる”というのは,特定の授業に出席しなくなるというよりも,予備校そのものに登校しなくなるということを(ここでは)指します。春先から(あるいはそれ以前から)ずっと根詰めて頑張ってきた生徒は,この時期に伸び悩んですっかりくたびれてしまって来なくなるケースもある

          あたかも簡単に大学に受かるようなコンテンツの飽和によって,富士登山が高尾登山のように演出されているのでは?という話

          “役に立つモノゴト至上主義”を考える 【後編】

           どうもこんにちは。今日もひとりごとです。前回は,いまは役に立たなくても,将来どこかで役に立つ可能性があるから,役に立たない(役に立つ見込みがない)ものでも幅広くやることが重要っぽい,というお話をしました。(下記リンク) 今回の【後編】では,私の仕事(塾・予備校と大学受験)の界隈や学問的興味の領域の周辺で感じることをベースに,いまは役に立ちそうだが,それが将来的にずっと役に立つとは限らないから,役に立つことを意識するだけでは片手落ちになるよね,というようなお話をします。

          “役に立つモノゴト至上主義”を考える 【後編】

          “役に立つモノゴト至上主義”を考える 【前編】

           ノーベル賞発表の季節がやってくると,毎年のように「基礎研究の重要性」に関する議論が巻き起こります。私自身も,大学院在籍時から,そういうのを毎年目の当たりにしてきて,「ああ今年も相変わらず同じこと言ってんな〜」くらいに思っていました。今年は日本人受賞者がいないからか,そもそも大々的に取材を受ける研究者が(まだ?)おらず,大衆紙やTVメディアでもそこまで露出がありません。(もしかしたら新型コロナウイルス関連の報道の比重が大きいため,それ以外の報道が単純に軽薄化しているだけなのか

          “役に立つモノゴト至上主義”を考える 【前編】

          とはいえやっぱり“共通テストに出る”と言ってしまう私…

           どうもこんにちは。ひとりごとです。  共通テストの出願期間も本日まで(消印有効)ですね。大学受験生の多くは受験されると思われますが,漏れなく出願お済みでしょうか?(ひとりごとなのに問いを投げかけてしまって恐縮です…)  さて,先日の記事(下記リンク参照)を書いて,私自身「わりと本質的なことが言えたな」と思っていました。いつも心にあった,予備校と生徒との間にある違和感の一欠片を,この手で詳らかにできたな,と思っていました。  しかし,その後,自分で授業をしていて,やっぱ

          とはいえやっぱり“共通テストに出る”と言ってしまう私…

          共通テスト対策のために予備校に通う人の明暗

           こんにちは,予備校講師のひとりごとです。  今週から,大学入学共通テスト(以下「共通テスト」)の出願が始まりました。ご存知のように,昨年度までの「大学入試センター試験」に相当するテストです。国公立大学を一般選抜(一般入試)で受験する生徒は受験必須だし,国公立大学で総合型選抜(AO入試)や学校推薦型選抜(推薦入試)で受験する場合も大学によっては共通テストの一定水準以上の成績を選抜基準として課してきます。私立大学志望の生徒も数ある入試方式の一つとして共通テストの得点を選抜に利

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