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とはいえやっぱり“共通テストに出る”と言ってしまう私…

 どうもこんにちは。ひとりごとです。

 共通テストの出願期間も本日まで(消印有効)ですね。大学受験生の多くは受験されると思われますが,漏れなく出願お済みでしょうか?(ひとりごとなのに問いを投げかけてしまって恐縮です…)

 さて,先日の記事(下記リンク参照)を書いて,私自身「わりと本質的なことが言えたな」と思っていました。いつも心にあった,予備校と生徒との間にある違和感の一欠片を,この手で詳らかにできたな,と思っていました。

 しかし,その後,自分で授業をしていて,やっぱり一つ反省しなければならないことがあることに気づきました。
 そう,タイトルの通り,「共通テストに出そう」というキーワードを言ってしまうのです。

本質的な生徒の利益にならない,とわかっているものの…

 前回の記事でお話ししたように,共通テストはそれのための対策をしてもあまり意味のあるものではありません。そういう対策をされないようにするために(あるいはしても意味がないようにするために)考案された内容である(と考えられる)ことは,一講師としての所見を述べました。もちろん,試験時間や出題・解答形式,問題の分量など,事前に類似傾向の問題に触れて,慣れておくことには大いに価値があると思います。故に,各予備校の叡智の結集(?)である「共通テスト模試」は,一通りの基礎が身についた受験生であれば確実に受けておくべきもので,そこで体得するものは年明けの入試本番においても大いに役立つと思います。

 ただ,日頃の学習から,“共通テストに寄せて”授業をするというのは,結局解釈や応用に寄っていってしまうだけで,相対的に本筋の理論がおざなりになってしまい,望ましいことではありません。しかも,自分で読解し,試験のその場で考える力が試されるはずなのに,それを予め「こういう内容が出そうだから事前に準備しておこう」という趣旨の発言をすることは,結果的に本人の力が育たず本人のためにならないので,慎まれるべきことだと思うのです。大事なのは“最小限の本質理解”と,その“多方面への適用能力”であるはずです。

 某T進の講師(物理だったか数学だったか…)も,「試験本番は公式を全て忘れて臨め,公式なんか要らない」という旨の発言をしていたと思います。(極論ではありますが)それはまさにそういうことです。公式や解法をcase by caseで暗記し,重装甲車の如く武装して入試に臨んでも,それらをどういう局面で使ったらいいのか,引き出し方を思い出せなければ結局無用の長物なわけです。試験問題を読んで自分の頭でどういう知識を引き出して考えればいいのか,そのトレーニングを積んでいなければ,本番で自らの望むような得点は期待できないわけです。だから,「こういう問題が出やすいからこれを勉強しとけ」とか「この問題文を見たらこう考えれば良い」のような,条件反射的で受験生本人の思考を阻害しかねないようなことは,本来は言うべきではないな,と思っているのです。

 でも…やっぱり言ってしまうのです。これには自分も焦りました。とくに基礎レベル(頑張って偏差値50程度を目指すレベル)の生徒を対象にしていると,自分の頭で考える習慣がないし,そもそも何が重要なのかを取捨選択する能力が備わっていないことが多いから,いわゆる「はい,ここテストに出まーす」の要領で,無意識に言ってしまうのです。生徒の関心を惹いて,なんとしてでも身につけてほしいな,と思うばかりに,という感じです。(上級レベルの生徒であれば,自分の頭で結びつけたり考えたりする習慣があるから,常に本質的なことを話せるように心がけているので,結果的に無意識でもそういう発言は飛び出ていません)。

自問自答は続く…予備校講師としての本質的な貢献とは何か?

 基礎クラスの生徒なら,やっぱり手法はどうあれ,得点を少しでももぎ取りにいけるような指導が必要であって,少なくとも予備校で仕事をしている限りはそれが最大の使命なので,結局は仕方のないことか…と諦観しているフシもあります。でもやっぱり自問自答は続きます。

 こういう指導を受け続けて(“共通テスト対策講座”をたくさん受講して)その後に受験本番を迎えて,もしそういう生徒が仮に高得点が取れてしまったら,自分の“考えない”勉強の仕方が合っていたとばかりに自信を持って,自分の力で人生を切り拓けない人間を世に送り出してしまうことになる。もちろん,そういう生徒は大抵,高得点は取れずにつまずいてしまうと思うのだけれど。本番でつまずかないようにトレーニングを今まさにしているはずで,でもやっぱり模試でも点数が伸びない基礎クラスの生徒たちには,やっぱり考える習慣の指導よりも「こういうの共通テストに出るよ」型の指導が必要なのか…。

 これからも,生徒と対話しながら,生徒にとっての本質的な貢献ができるように,邁進してまいります。またひとりごと,聞いてください。

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