灰染よみち
自分の投稿作品の中で、特に読んでほしいなってものをピックアップしています。自分のことを知ってくれたばかりの人、まずはここの作品を読んでみてほしいです!
投稿した作品を時期別に分けた記事となっています。こちらからも作品を探してみてください!
つまらないことを、つたない文で呟く。 そんな「戯れ言」。
どうも初めまして、灰染よみちと申します。このアカウントではプロフィールにもある通り、短めの小説を中心に投稿していきます。 ……とまあ、そんな型にはまったような始まり方をしてもつまらないですよね。というわけで改めまして、灰染よみちです! 初めましての方が多いとは思います。一応私は中高大学校にて「文芸部」に所属してはいるのですが、「それならきっと文章書くの上手いんでしょ」という期待には、今は悔しくも応えられないと思います。また、投稿頻度も恐らくまちまちになるでしょう。申し訳
特別順調、ということはないけれど、それでもメンバーとは上手くやれているし、ファンもそれなりにいる。そんな現状は、私にとって充分幸福なことだった。 私は、とある事務所の駆け出しアイドルグループのメンバーの1人だ。如何にも王道アイドルグループって感じで、敢えて悪く言えば何番煎じだよって思ってしまうようなところなんだけど、いい雰囲気で活動出来ているし、……何より"本物"のアイドルがいない。私にとって凄く好都合なグループだった。それは別に「このグループだったら楽にセンターが取れそ
どうも、灰染よみちです。早速ですが、またシリーズ物っぽいものを始めました。「色彩染まる物語」です。ハッシュタグもつけて、トプ画もおんなじ様なものにして投稿していきますが、1個1個別物の短編小説となります。特に繋がりとかもないので、順番とかも気にせず読んでいただければと思います。 とまあ簡単に言うとこういう立ち位置のものになるのですが、もう少し詳細の方もお話しさせていただきますね。「色彩染まる物語」は私が「この色をテーマに作品を書くっていうのを何色にも渡ってやっていこう!
あなたの代わりなんていない、そんな言葉をふいに思い出す。数年前……、そうだ、僕が高校生だった頃に部活の顧問にかけられた言葉だ。安っぽい励ましとかではなくて、期待の押しつけ。色んな人が協力していったとしても、あなた1人がもたらすことは起こし得ない。だから頑張ってほしいって、多分そういう意味だった。字面だけ見れば褒め言葉ではあるのだけど、その裏に「都合のいい奴」という思考が隠れていることくらい、ちゃんと気がついている。あなたに頼めば、いつでも手を抜かずに奮闘してくれるから。面倒
間もなく、春がやって来る。花が咲いて、風は暖かくて。そんな春がやって来る。だからあなたとは、きっともう会うこともなくなってしまう。いつも通りの部室で、いつもの席に座りながら、そんなことを考える。気の早い鳥の鳴く声が私の孤独を丁寧に演出して、傍からはドラマのワンシーンみたいに見えるんだろうな、なんて。先輩なら分かってくれるかな。 たった2人の写真部も、先輩の卒業によっていよいよ廃部になる。この居場所が好きだった先輩はとても悲しそうにしていた。最後までここを残すことが出来なか
「えっと、今日はホントに、その、ありがとうございました……」 学生証の交付とかが諸々終わり、早々に迷子になってしまった僕を助けてくれた人にお礼を言う。この人のおかげで助かったと思うと同時に、不甲斐ない自分が嫌になってしまうけど、取り敢えずこうして優しい人に声をかけてもらえたのは幸運だった。 「いえいえ、気にしないでください。と言うか、まさか同じ学科の同じクラスだとは。驚きましたよ」 今日は日本文学科だけではなく文学部の他の学科も学生証の交付がある日。会場が違うことも
「ごめん。今言えることは、何もない」 そっか。彼は寂しそうな声をなんとか吐き出す。ガッカリさせてしまっていることは、こんな僕でも良く分かった。空になった食器を意味もなく見つめる。彼の家に大量にある、無地の白いお皿。それが、逃げ場を探す僕の視線をしっかりと受け止めている。 ただ彼から告白されただけなのに。 でも、こんなに悩んでしまうなら、きっとそれは「だけ」とは言えない。自分の気持ちが分からなくて悩んでいるのか、それとも自分の気持ちを表す言葉が見つからないから悩んで
目を覚ました時には、すでに正午を過ぎてしまっていた。昨夜、何とか悪夢の6連勤を終え、久々の休日である今日。どうやらその半日を寝て過ごしてしまったらしい。と言いつつも、予定はなかった上に昨日まで寝る暇もなく働いていた為、これまた久々に纏まった時間寝ることが出来て寧ろ幸福であった。何ならもう少し寝ていても良かったが、耳を澄まさずとも聞こえる程大きな音が家中に響いていて、恐らく私はこの音に目を覚ましてしまったのだろう。……音の正体は、強く吹きつける暴風と、それに付随して打ちつけて
自慢に聞こえてしまったら申し訳ないなとは思うが、俺はまだ、やや短い人生の中で一度も負けた事がない。習い事のサッカー、運動会や合唱祭などの学校行事、遊びに過ぎないテレビゲーム、そのどれにおいても俺は負けた事がなかった。勿論それら全て俺のおかげだなんて思っていなくて、なんなら特に役に立たなかった事もあったけれど、奇跡的にも俺は「負け」を経験した事がない。ならば全ての事で勝ったのかと言われるとそうではなくて、勝つ事の出来なかった出来事、いや相手が存在する。それが他でもない、月波光
私が不老不死になったきっかけは、おそらくあの薬だったろう、と思う。入ったサークルが悪かった。大学生になって、そこで仲良くなった人の誘いを断らずに踏み入れた場所で、悲しくも人生が狂わされた。とはいえ別に薬を飲んでその瞬間に、「貴方はこれで不老不死になりました」と言われた訳ではない。薬を飲まされた2ヶ月くらい後、私は交通事故に遭った。信号を無視したトラックに衝突された形だ。けれど私は何ともなかったらしい。トラックがぶつかった瞬間激しい激痛が走って、それによって数日意識を失ってい
こちらから2023年7月〜12月の投稿作品が見られます。是非ご利用ください! 自身。(7/8投稿) 本当の自分。視えても、視えないことに気付いても、きっとどっちも苦しいから。 「戯れ言」④(7/17投稿) 「たこの入ってないたこ焼きを、たこ焼きと呼んでいいんだろうか」、そんな戯れ言をひとつ。 ドーナツ(8/8投稿) 未確認飛行物体の存在が、各地で話題になった。「まあ、どうだっていいことだけど」 アメトリン(9/23投稿) 夢の中で出会ったのは、正反対な自分で……。
あなたはもう覚えていない。私とあなたが過ごした日々のことを、何も。赤信号の精神攻撃に対して普段通り動けないまま、その少しの間ハンドルから手を離す。そこに嫌悪感も諦観もない。ただ、待つだけ。そうだ、待つことでまた今まで通りの日常を進むことができるのなら、どれだけ良かったか。あなたと初めて会った補講の授業も、行きたかったお店が臨時休業だった初デートも、全部、全部彼は忘れている。それでも彼がなんとか生きていることは、私にとって幸か不幸か。 赤信号はまだ変わらない。もし私がそう
明日世界が終わるとして、あなたは何をするか。 クラスメイトたちが口々にその問いに答えを出す。でも「〇〇を死ぬほど食べる!」とか「死ぬ前に行きたいと思ってた国があるんだー」とか、出てくる答えはそんなことばっか。いざそんな状況になったらなんて、ろくに考えていないみたい。ここは、私たちの生きるこの世界は、そんな「理想郷」じゃない。前の席の人が考えを言い終える。次は私の番。明日世界が終わってしまう状況で、絶望して、どうでもよくなって、そして……。 「私は、そんな状態になったら
もしもし、わたしメリーさん。今、あなたのすぐ後ろにいるの…… えっ? 違う違う。メリーさんの羊ではなくて。怪談の方 あっ、かいだんって階段(そっち)じゃなくて、怪談話だよ。ほら、子どもの頃とか、そういう話しなかった? へぇ、そうなんだ。近くのお寺で、ねえ。いいじゃん、いいじゃん。今の子どもたちはテレビ番組で見て満足しちゃうから、つまらないよね うんうん。そうそう。わたしとしても驚かせ甲斐がないっていうか。……お嬢ちゃんって。わたしは恐ろしいメリーさんよ! もっ
11/11(土)開催の文学フリマ東京37にて、自分の小説が載った作品集を出させていただきます。よろしくお願いします サークル:國文學研究会 出店場所:L07〜08
人のまばらな電車が揺れる。揺られたまま、私は顔面に貼りついたマスクを外した。いよいよ西武秩父の駅に着く。立ち上がってドアの前に向かう人もちらほらと出てくる。すぐに、電車は止まった。昨日と恐らくおんなじな曇り空を睨みながら、電車を降りる。澄んだ春の空気だって鬱陶しい。そんなことを感じてしまいながら、私は改札を抜けて深く考えもせずに歩いた。 だからいつの間にか、という表現があまりに正しいと思う。気が着いたらまた違う駅に着いていた。目的もなくただ彷徨う心積もりだったので、一切