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これぞ荒療治の真骨頂①~絶望の中の光明~

 これは私が初めてカッサ(刮痧)、そして火療というものに出会った時のお話です。カッサに興味のある方はこちらをご覧ください↓↓

今でこそ、自分の浴室にもカッサ板を置いて、お手軽にゴリゴリやっておりますが、初めて体験した時は、それはそれは、もう想像を絶する耐え難い激痛と衝撃でした。

(注:以前ミクシイに公開した記事を元に再編集し直しました。)

 昔の話ですが、私は膝をすごく悪くしていた時期がありました。    その頃、複数の医者に「変形性関節症で骨の変形が始まっている」、と言われ、普段の歩行にも支障をきたすほどになっておりました。両膝とも痛くて、一時は松葉杖をついておりました。

膝を壊す経緯は、当時習っていた合気道で受け身に失敗して首がむち打ちになり、腰に負担がかかり、膝に負担がかかり、と連鎖的に傷めてしまったのが一つ。

その時、私は友人の誘いなどで、合気道の他にも、ヨガ、サッカー、ダンスなど週に5日運動するという、仕事と合わせれば肉体的に完全オーバーワークだったというのが一つ。

後は、普通に仕事のストレスとか、海外で日々異文化の中での心もとなさみたいなものとか、色々あったのかもしれません。

 とにかく、まだ30そこそこで、こんな歩行困難になるほど膝を悪くしていまった事実に、今でさえ松葉杖なら、もっと年を取れば車椅子生活になるのではないか、という絶望的な気持ちを抱えていました。

 そんな時に香港人の友達(以降Y)が「神様みたいなすんごい医者がいる」と連れてってくれたのが、秋先生というお医者さんの所でした。

「医者」と聞いてたので、初診の日、今までに
撮ったレントゲンの写真など一切合切を持参で行きました。


バスの車中、Yは自分と秋先生が如何に長い付き合いか、如何に素晴らしい
医者かを、目をキラキラさせながら語ってくれました。

「ま、でも、もぐりだから、治療じゃなくて、『健康を保つ』お手伝いって感じかな~。」

!?
・・・なぬ!もぐりとな! しかも、治療じゃないってどゆ事?

・・・もぐりで神のような医者・・・

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そして、地下鉄とバスを乗り継いでバス停に降り立つと、
360度見渡しても、うっそうと茂ったソテツが見える以外はバス停以外に建物らしいものが全く見えないド田舎。そもそも付近の明かりと言えば街頭しかない様子。

バス停の目の前が橋で、というか、バス停のある大きなロータリー自体も高架橋の一部で、十数メートル下には大きな河が流れています。

(?!何だ、ここ?・・・こっから一体どのくらい歩くんだ??)
と思った時、Yが
「ほらアレ!」
と指差した先には、数十メートル下の河べりに、白くて四角い公衆ト〇レみたいな建物が見えました。ま、言ってみればバス停のすぐ下。駅近ってヤツです。

「へ!アレ?!」
まっ、まさかこの公衆トイレみたいな建物に人が?!

そしてYに導かれて、街灯の光も届かない、橋の脇にある急な石段をビッコを引きながら下りていきました。

バス停から見下ろした時には、公衆トイレ並の小ささにしか見えませんでしたが、それは遠近法マジックで、近づいていくと、ちゃんとした二階建ての、いかにも「手作り」って感じの掘っ立て小屋。

 小屋に入ると、黒いテカテカした通気性の悪そうな化繊のズボンをはいている、痩せこけたミイラのようなお爺ちゃんが一人、ベット代わりにしているらしい、ビーチチェアに座って、タバコをふかしておりました。

そこに着いた途端、Yが「トイレ貸してよ」と言うと、その家に居たジャージ姿のおばちゃんが「ハイ」と言って、Yに懐中電灯を手渡しました。

 Yは「勝手知ったる」と言った手慣れた感じで、バッグをそこらへんのテーブルに無造作にポンと放り出したかと思うと、ドアの横に備え付けてあるトイレットペーパーを必要な分だけ手に巻き取って、裏のドアから懐中電灯を片手に闇の中に吸い込まれて行きました。

つづく

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