スーパーサイヤ人化した「冬彦さん」
大昔のトレンディドラマで、俳優佐野史郎さんが「冬彦さん」というマザコンを演じたドラマがありました。
中でも佐野史郎さん演じる冬彦が下唇を噛みしめて
「んんんんんんんんん~っ!」と赤ちゃん化する姿が名物でもありました。
何でもかんでも母親の言いなりになる「冬彦さん」を大学生当時、「マザコンて気持ち悪いね~」なんて言っていましたが、香港に嫁いでみると香港の男性の母親ベッタリ度たるや日本の「冬彦さん」どころの話ではありませんでした(勿論人によりますが平均的に)
その中でもうちは!
「冬彦さん」連中のリーダーシップが採れる程ダントツでした。
①まず依存度の高さ。
旦那Kは一つ上の兄と二人兄弟で、公団に入っているお姑とは別のマンションにフロア違いで家があります。
Kの結婚前、中国内陸の人と結婚離婚したお義兄さん(←結婚中も奥さん&娘は内陸で別居生活)
二人とも家に洗濯機がありませんでした。
(お姑が回収に来て家で洗濯する為。洗濯のみならず、部屋に来て掃除なども全部お姑任せ。)
ご飯もお姑宅。
そこらへんは以前、こちらの記事やこちらの記事にも書きました。
当時40過ぎの独立してバラバラに住む息子の世話を70過ぎの母親が一手に引き受けていました。
ま、このくらいは珍しくないかもしれません。
②三人の間で全ての情報が共有される点。
(注:三人=旦那家族三人。お姑、義兄、旦那K)
ある時、私はちょっと口では言えない場所に大きな膿の球(吹き出物でもなくてアーモンド大のもの)ができました。
私は皮膚科に行きました。
皮膚科から出て来て、その足で迎えに来たKのバイクでお姑の家にご飯に行くと、お義兄さんはもう食卓についてご飯を一人で先に食べていて、お姑が私の顔を見るなり「皮膚科に行って診てもらってきたのかいココ」と言って、股間の前で手をヒラヒラさせました。
「私が今日皮膚科に行く事」
「あの部分に出来物が出来た事」
こんなタイムリーにお姑に筒抜けで、お義兄さんもいるところで、しかもお姑が手を股間の前で魚の尾びれのようにヒラヒラ振って見せた恥じらいの欠片もない仕草が気持ち悪くて、こんなちっちゃい事までお姑にイチイチ報告するKに腹が立ちました。
後で「なんでこんな事までお義母さんに言うの💢」と言ったら
「え、だって母さんなら何かいい方法知ってるかもしれないし、炎症を抑える漢方スープとか作ってくれるから」(←作ってもらってませんが)
と、素~で言われました。
そんな物知りのお義母さんのお陰で私の腕はヤバかったけど。
③お姑の家=自分の家。お姑のベッド=自分のベッド
ご飯を食べに帰る度、Kにとっては自分が貧民街から移り住んで20歳まで過ごした家だから、もちろん自分の家らしくそこでは全くリラックスできない私と違い、かなり自由自在にリラックスしています。
お姑は私達に「ご飯に帰って来る時は、家を出る時に連絡しろ」と言う割りに、私達が着いてから作り始めます。なので待っている間ヒマなのですが(台所は一人立つのでホントに精一杯。すれ違いも無理。二人並んで入れる程の奥行もありません。)
Kはお姑の家につくと、すぐに下着とパンツ一丁になって、お姑のベッドに潜り込んでひと眠りするのです。
お姑の家に行くと、そこに置きっぱなしにしているボロボロのシャツに着替えてパンツ一丁になる人達の様子↓↓
もしかしたら、日本でも普通なのかもしれませんが、私の家では自分の寝床は各自あり、自分以外の家族の寝床に潜り込むなんて有り得なかったので、私にとってはかなり気持ち悪い行為でした。
でも彼らは全然平気で、たまに私達よりも早くお義兄さんが着くと、お義兄さんがお姑のベッドで寝ています。
(注:大体夕方の夕飯前に寝る必要があるのか。どうでもいいけど。)
④三人でリビング用品を共有
当初ずっと不思議だった事。
二人分の枕を揃えた後、何故か枕カバーが一枚だけになってしまう事が多かったのです。あと、私が買ったバスマットも見当たらなくなって、代わりにかなり年季が入って黄変して穴があいてるバスマットが洗濯物に混じって返って来たり。
「お義母さん間違ったのかな」と思っていたのですが
ある時ハッと思い当たるのです。
お姑は全員分まとめて洗濯して、親子三人、タオルやバスマット、ベッドカバー、枕カバーは共有物として扱っているのだという事に。
そもそも「間違い」自体存在しないのだという事に。
お姑は、そこに「分ける必要性」自体感じていないという事に。
(結婚後数か月で合鍵回収。でも最初の頃は私が日本に帰る度に、私が認識する「うちのもの」でないものが混じっていました)
そして、家で使うタオルなど私は自分で買いそろえていますが、結婚してみると二年に一回お姑が市場などで大量購入した薄いペラペラのタオルや布巾が兄弟に支給される事を知るのです。
そう、④は突き詰めて見れば
⑤身の回りのバストイレ以外の事、全てのリビング用品、下着に至るまで全てがお姑一括手配&配給制。
お義兄さんも「学の無いヤツぁやっぱりどうしようもないな」と、何かある毎にヒドい暴言を吐きますが、実はそれに黙々耐えてきたお姑に「いい年こいて自分がいないと何もできない中年」に育て上げられているのです。
⑥さかまつげ抜き
お姑は睫毛が目の中に向かって生えるヒドい「逆まつげ」ですが、それをKが子供の頃から抜いています。お姑の家にご飯を食べに行くと「後で逆まつげ抜いて」とKに言うのです。
そして煌々とハンドライトで照らされながら、まぶたをひっくり返されて白目を向いて上を向くお姑の姿が私的にはちょっとホラー。
ところが最近Kが老眼で「お前抜いてやってくれ」と言われたのですが、毛抜きを手にお姑の前に立つと、動かれたりして目に刺さったり、睫毛じゃなくて肉を挟んだりしたらという恐怖で、これはさすがに肉親じゃないとと拒否。
っていうかレーザー手術で焼ききってしまえと思うのに、前に政府の病院でレーザーするのに麻酔なしで(多分高齢だから)「まばたきするな」と言われても、どうしてもまばたきしてしまい(これは私もそりゃそうだと思います)手術できなかったと。
もう!やっぱり政府の病院は・・・。
そんなに大切なお母さまなのに、何故プライベート病院で局部麻酔アリの手術をしてさしあげないのかと甚だ疑問な私です。
⑦永遠に揺らがない お姑>嫁
全ての事がお姑優先です。
例えば祝日も何して過ごそうか、どこに行こうか、たまには奮発して美味しい物を食べに行こうか、・・・と考えていても、まずは「母さんに聞いてみる」。
(祝日は「做節(祭りごとを祝う)」と言って家族ディナーをしたりします)
医者や家の修理関係(注:Kは内装業ですが、公団は自分で勝手に手を加える事はできませんので公団が修理や改装をアレンジ)などは100%Kが予約。どこかに行くときは必ず付き添い。
何なら私には「自分で行ってこい」、お姑だと、自分が仕事で行けない場合は私に「母さんに付き添ってやってくれ」
香港の病院に行くのに、香港人のお姑に外国人の私が付き添い。
私「え?お義母さん広東語しゃべれるじゃん。」(←私不安ポイントはココ。専門用語とか難しい病名とかわかるのか。)
K「母さんは字が読めないし、高齢者だろ」(←Kのポイントはココ)
そうしてKが全力厳戒態勢でお姑が「一人じゃなにもできない」と心配する割には、お姑はいつも「昨日の晩ちょっと動悸がして救急に行ってきた。医者には何ともないと言われた」と事後報告。
欲しい食材を買い求めて海を渡り香港島まで買い物に行くこともしばしば。(普通にたくましく生きてらっしゃいます)
クレカのポイントが貯まってクーポンや商品券が当たると、まずは「母さんに要らないか聞いてみて」(←要らないと言われた試しはありませんが)
ある時、テレビドラマで女が男に「どちらかが海で溺れかけたらどちらを助けるか」という事を問いただす場面で、Kが突然テレビに向かって言ったのです。
「そんなもん、自分の母親が大事に決まってるだろ💢」と。
それを聞いて私が「アレ?私は助けてくれないの?」と聞くと
「は?お前泳げるじゃん。若いんだから自分で何とかしろ」と。
チーン(おりんの音)いやいや、海は単なる喩えでしょうが・・。
元々お姑と自分を比べるとか張り合うとか言う気持ちはさらさらありません。嫁と母を同じ天秤にかける事自体間違ってると思っていました。
が、私は悟ったのです。
ああ、この人はお母さんと結婚できないから私と結婚したんだなと。
お陰様で。