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自由化の先は、更なる寡占?

今年はラニーニャ現象から寒波の強い冬になっており、それを背景に電力や燃料消費の急増が見られ、LNG価格が急激に上昇、というのは前回の投稿通り。

過去のシリーズ投稿は下記リンクをご確認ください。
-石油業界シリーズ(石油先物逆張り業界シフト今後の展開原油と金
-日本のエネルギーミックス(電力小売り意味とは再考今後の展開消エネから省エネ難題の解決方法カーボンニュートラルの未来EV移行へのスピード感時間軸と判断軸現場はつらいよ溜めた宿題

日本では地域の大規模電力・ガス会社の寡占(所謂○○電力や△△ガス)を解消するため、2011年の福島原発事故も大きな契機となり、個人宅への電気小売自由化など、様々な市場自由化が、新電力と呼ばれる発電所を持たなくても、電力を調達し、販売できる会社として参入が可能となった。大抵の場合、大規模電気やガス会社が提供する公共料金より数パーセントの値下げに留まるものの、その他のポイントなどが付与されることで経済性が高い、と謳っていた。

しかし上記記事にあるように、この度の寒波が到来し、卸市場から電力を安価に調達することを強みとしていた新電力の多くは、突然の電力仕入れ価格の上昇に対得きれなくなり、一部は既に撤退を決断したとのこと。

新電力では楽天モバイルのほか、秋田県鹿角市などが出資する地域新電力「かづのパワー」が2月中旬に全事業を休止する。歯愛メディカル(石川県白山市)は傘下で北陸地方で電力小売りを手掛けるワンレクトホールディングス(HD)の保有する全株式を売却した。1月下旬になり各地で市場高騰による新電力の苦境が顕在化してきた。26日受渡分の卸市場価格は昨年同時期と同じ水準になった。一服感も出てきたが、電力逼迫の最大の要因である燃料不足は解消されていない。厳冬期で電力需要が急増すれば、再び高騰に転じさらなる事業停止の動きが広がる可能性もある。

電力に続きもう一つ。市場メカニズムを活用して3社の寡占状態をどうにか崩そうとしたのが、携帯キャリア。今までMVNO(所謂格安スマホ)や楽天モバイルの進出で3大キャリアの提供価格が下がると思いきや、そこまで効果はなく、元総務省大臣であった菅総理が就任するや、携帯料金値下げは優先順位1番のアジェンダになってしまい。結局NTTがドコモ買収を通じて、一体経営になったことでahamoという新ブランドと低価格(20GBで2980円/月)を発表。他の2大キャリアもそれに続いて、似たような戦略を発表。

上記記事にあるように、MVNOはネットワークを3大キャリアから借りて運営しているので、これからの値下げ幅もほぼなく、楽天モバイルは安さをうたいながら、まだ自社の通信インフラも上手くは整っていない様子。

市場の寡占状況解消のために、政府が規制変更を行い、それにより参加された新電力やMVNO/楽天モバイルなどの新規参入者。でも市場のメカニズムにより、必要な利潤も安定的に稼げないうちに、撤退を迫られるようになった新規参入者の事例を数例見ると、また寡占に向かっているだけの体力消耗戦なんだな、と感じます。

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