電力業界の『溜めるとつらい、宿題』
昨年から日本の(原子力を含めた電力など)エネルギー政策についていくつか投稿をしてきましたが、去る年末年始の10年に一度程度の寒気(大雪)が来たことで、電力がかなりひっ迫しました。その現象を見て、長い間手を付けないでいた、電力問題に纏わる宿題にそろそろ解決へもっていく必要があるのでは、と感じました。
過去投稿は下記リンクをご確認ください。
-石油業界シリーズ(石油先物、逆張り、業界シフト、今後の展開、原油と金)
-日本のエネルギーミックス(電力小売り、意味とは、再考、今後の展開、消エネから省エネ、難題の解決方法、カーボンニュートラルの未来、EV移行へのスピード感、時間軸と判断軸、現場はつらいよ)
ベースロード電源としての原子力や石炭火力は、3.11や脱炭素の動きに加えて、事前から発電に関する計画性が求められる。LNGはすぐ海外輸入で持ってこれるわけでもなく、一時貯蔵する施設が必要。石油はコストもCO2排出も多く、好まれない。加えて寒波は、太陽光発電の発電も大きく低下させ、大手電力会社の発電に加えて、自家発電をしている工場からの電力融通もしてもらわないと、というとても綱渡り状態であるわけです。
LNG火力はフル出力に達するまでの時間が短く、急激な需要変動を補う調整電源としての役割も大きい。加えて化石燃料の中で最も二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない。脱炭素へ向かう過渡期の発電燃料として存在感を高めてきた。しかし、LNGは海外から輸入し、専用の受け入れ基地で貯蔵する。国内の在庫は2週間分しかなく、新規に調達して手元に届くまでには2カ月が必要とされる。
この寒波によるLNG価格急騰は、昨年の世界中の需要急落によるLNG価格逆さや問題(生産後に輸送すればするほど損する)とはあまりにも対照的であった。
LNGのスポット価格の高騰に驚きを隠さない。「新型コロナウイルスの感染拡大で需要が減っていた2020年4月当時の100万BTU(英国熱量単位)当たり4ドル弱だったものが、最近では約28ドルをつけている。これまで20ドルを大きく超えることはなかった」。電力会社の輸入代理業務を担う三井物産も「新型コロナの影響でLNGの需要見通しが不透明だった中で、寒波によって電力需要が急増し、在庫繰りが難しくなった」(広報担当者)と説明している。
寒波が終わっても、LNG価格が正常化するまではまだ時間がかかるようだが、何れは正常化すると思われる。そして、天候・気候に関わらず、原子力やLNG、再エネも含めて、日本としてエネルギー政策をとっていくか、脱炭素政策と合わせて、今年発表予定の『第6次エネルギー基本計画』の詳細が注目されると思います。
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