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時間軸と判断軸

今回は、カーボンニュートラルに関する2つの事象について、書いてみようと思います。

過去投稿は下記リンクをご確認ください。
-石油業界シリーズ(石油先物逆張り業界シフト今後の展開原油と金
-日本のエネルギーミックス(電力小売り意味とは再考今後の展開消エネから省エネ難題の解決方法カーボンニュートラルの未来EV移行へのスピード感

まず最初は、菅首相の2050年へのカーボンニュートラルを目指す、という宣言の中、政府与党が再生可能エネルギーの普及や省エネ投資に対して法人税控除を、という話。取り組み自体を前進させるインセンティブ、ということですが、2050年までのカーボンニュートラルを見据えて、逆にこの程度の税控除で足りるのでしょうか(全然間に合わないのでは、と思っています)?同時に今までやれていなかった理由?もよくわからないような、気もします。

加えて、家庭部門のエネルギー消費で省エネ強化が可能なのですが、戸建てなどの住宅において1980年代までの建物は断熱がないものも多く、またリフォームがやろうとしても、その理由に『省エネ』と挙げる方はごくごく少数、とのこと。要するに、省エネなりカーボンニュートラル、という概念がもっと一般的に消費者に向けて、必要な要素として浸透する必要があるのでは。そしてZEH(ゼロエミッションハウス、CO2の実質排出をゼロにする家)へのリフォームや投資に控除や減税をもっとした方が、法人税減税よりも波及効果が広く、また時間も早く進められるような、気がするのですが。

2つ目は『経済産業省が2030年代半ばに、国内でガソリンエンジンのみで動く車の新車販売をなくす目標を掲げる見通し』とのこと。これ自体は以前の投稿でも紹介した、米カリフォルニア州や中国、欧州の流れと同じであります。一方で日本では、自動車大手による要請もあり、欧州では電動車と認定されなかったHV(ハイブリッド)を含めた形、となる模様で自動車メーカーにとっては一安心、とのこと。

しかし2030年代に、という同じ時間軸で各国でのEV開発や世界中でのマーケティングも広く行われ、スマートシティやIoT、また自動運転技術の更なる開発などに繋がるわけで、その流れの中で『HVを含めた』といった決断が日本の自動車産業全体を守る策となるのでしょうか?

エンジンに組み込む部品を手がける中堅メーカー幹部は「日本勢が強いHVが対象に入るのはありがたい」と話す一方、「(エンジンが要らなくなる)EVがどこまで普及するのか心配している」と身構える。自動車は約3万点の部品で構成されるが、EVになると部品数はエンジン関連を中心に半減するとされる。新車販売に占めるEV比率が高まれば、EVに不要な部品のメーカーは業態転換や廃業の危機にさらされる。

この2つのカーボンニュートラルに向けた取り組みは、確かに10-30年後と短期的ではないものの、今まで十数年で変わってこなかったことを中期的に実現するため、今までより強力な政策や指導も必要、と感じます。一方で判断される内容は現行政策の延長線上を超えない、という判断でいいのか、という問いもあまり見られないのかな、と感じたまでです。


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