見出し画像

原油と金-Commodity内の対照的な動き

Commodity(商品)の中には様々な現物商品があるわけですが、前回の景気後退期(リーマンショック直前)で価格が大きく上がった原油と、この度の景気後退期(コロナショック時)で価格上昇が大きい金の動向は対照的だな、と思い、自分の自慢も含めて、書いてみます。

上記記事のように、2020年7月31日にGAFAMの一銘柄であるアップル社の2020年4-6月期の好決算が好感され、同社株価が10%程度上昇、時価総額が1兆8400億ドル(約193兆円)になりました。一方で世界一の原油産油国で原油埋蔵量を誇るサウジアラビアの国営会社サウジアラムコは足元1兆7600億ドル程度(約185兆円)であり、アップルが世界一の時価総額の高い会社、になったわけです。

石油業界ですが、以前のエネルギー関連投稿(原油先物業界動向)にもあるように、元々の需給悪化に加えて、コロナショックによる急激な需要減退もあり、米国のWTI原油先物相場は4月20日前後に一時マイナスをつけました。その後も原油価格自体は回復していますが、ここ数週間はWTIやブレント原油ともに1バレル30-40ドル台で横ばい状態であります。ちなみにWTI最高値(終値)は2008年7月3日につけた145.3ドルです。

一方で金相場ですが今年年初に(1600ドル台へ)大きく上昇し、下記投稿のように書いていました。その際に抜粋したモビアス氏のコメントが下記の通りです。

金の価格は今後10年で2倍になりうる。25年後には3~4倍になる可能性もあるだろう。安全資産としての需要が飛躍的に伸びるためだ。

アップルがサウジアラムコを時価総額で抜いた同じ日に、金価格は1トロイオンス2,005ドルの過去最高値を付けました。国の信用力に依存しない「無国籍通貨」である金が、コロナショックへの経済対策とした、世界中の中央銀行の量的緩和に加えて、米国の実質金利(名目金利ーインフレ率)がマイナスになっていること、そして米国政府による更なる財政支出も目されており、世界中の金余りが「金」価格の急上昇へつながったとのこと。

原油と金、両方とも実物資産ではありますが、一方(原油)は過去10年でアメリカでのシェール革命を含めた業態転換が図られ、世界中での需給悪化へとつながりました。もう一方(金)は過去10年で金好きな新興国(インドや中国など)に支えられ更に需給良好であり、金余りのドル安や資産保全、ゴールドETF(上場投資信託)による購入のしやすさ(2020年内の資金流入は7月27日現在で478億ドル(5兆円)、年間最高の2016年の230億ドルを上回る)といったニーズから価格も更に上昇、みたいです。今後は金価格の調整もあるかなと思う一方で、無国籍通貨で行くと仮想通貨(これは実物資産ではないですが)、かなと思っていますが。静かに上がってますよ!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?