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アルバムレビュー

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漫然とアルバムを聴いていると印象を忘れてしまうので、アルバムを聴きながら1曲づつ感想を書き留めてみることにしました。特にジャンルレス。その日選んだアルバムを聴いてレビューしていき…
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#北欧メタル

Wintersun/Time II

Wintersun/Time II

フィンランドのメロディックデスメタルバンド、Wintersun(ウィンターサン)の新譜。7年ぶり4作目のアルバムです。2004年デビューと20年選手でありながらかなり寡作なバンド。

もともと本作はデビュー作の後、セカンドアルバムとして制作されたTimeというアルバムが元。06年に制作を開始し2枚の連作になる予定がリリースが遅れ、第一弾のTime1がリリースされたのはデビューアルバムから8年経った

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Babymetal 4thアルバム『The Other One』レビュー

Babymetal 4thアルバム『The Other One』レビュー

2010年代を代表するメタルアクト、Babymetalの5年ぶりのニューアルバム「The Other One」がリリースされました。アルバムレビューを書きつつ、このアルバムを現代メタルシーンの中に位置づけていきたいと思います。

Babymetalのメタル史における位置づけについて考察したことがあります(→関連記事)。結論としては「2010年代を代表するメタルアクト」でした。2010年代に出てきた

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THY ROW / Unchained(フィンランド、2021)

THY ROW / Unchained(フィンランド、2021)

ワイルドR'n'R Meets NWOBHM度 ★★★★★

先日、宇多田ヒカルの新譜の記事を書いたんですよ。そうしたら「あなたへのおススメ」で宇多田ヒカル関連がたくさん出てくるようになって、「もうわかったねん」と。いや、好きだしいいアルバムだと思ったから書いたんですけどね、これだけたくさん出てくると食傷気味に。凄い話題になっているんだなぁということとトレンドの凄さというものを感じるわけです。ふだ

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Battle Beast / Circus Of Doom(2022、フィンランド)

Battle Beast / Circus Of Doom(2022、フィンランド)

北欧パワーメタルおススメ度 ★★★★★

今やフィンランド国内ではナイトウィッシュに次ぐ地位まで上り詰めたフィンランド・メタルシーンの大物、バトルビースト(BB)待望の新譜。もともとメインソングライターであったアントンカバネン(Gt)は脱退しビーストインブラック(BIB)を結成しています。BBはメタリカ、BIBはメガデス、みたいな立ち位置かも。双方に影響を与え合いながら作品群をリリースている印象。

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Power Paladin / With The Magic Of Windfyre Steel(2021、アイスランド)

Power Paladin / With The Magic Of Windfyre Steel(2021、アイスランド)

メロスピ王道度 ★★★★★

馬鹿だ! こいつらは馬鹿だ!(熱狂)。

メロスピっていいですね。1曲目、2曲目と疾走曲が続いたので嬉しくなってしまいました。底抜けなメロスピバカ一代感。爽快。今年メタルアルバムのレビュー1発目。ストリーミング解禁は1月だったのですがリリースは2021年の11月だった様子。2021年の「メロスピこの1枚」はこのアルバムですね。枯れたジャンルかと思っていたけれどなんだか

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Eclipse / Wired

Eclipse / Wired

総合評価 ★★★★★

スウェーデン、北欧メタルの中堅、エクリプス。「北欧のメタル」というと人によってイメージするものが違うが(世代によって最初に想起するのが透明感のあるハードロックなのか、あるいは激烈なブラックメタルやメロデスなのかが違うだろう)、こちらは80年代的な、元来の意味での「北欧メタル」を奏でているバンド。完成度がとにかく高い。80年代スタイルのメタルを頑なに演奏しているけれど十分今の

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Lordi / Spooky Sextravaganza Spectacular(1995)

Lordi / Spooky Sextravaganza Spectacular(1995)

総合評価 ★★★★☆

95年、インダストリアルメタル。ホワイトゾンビやナインインチネイルズなどを彷彿させる音。ただ、ところどころ70年代のディスコ的な音が入ってくるのが面白く、バンドの歴史を感じさせる。基本的にインダストリアルメタルは機械的なビートと重なる音圧でテンションを高めていく、熱狂していくような構造だけれどそこにしっかりメロディというか、シンガロングなコーラスを入れてくるのはさすが北欧、

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Lordi / Abracadaver(1991)

Lordi / Abracadaver(1991)

総合評価 ★★★★☆

見事にグランジ、スラッシュメタルに変化。91年に相応しい音に変化している。80年代から活躍していたバンドは91年の大変化についていくのが難しく、だいたい93年以降に音像を変化させたアルバムをリリースしていったが変化が早い。流石モンスターバンド。トレンドを知る力がある。音楽的には初期メタリカの影響を感じるスラッシーなメタルだがブリッジのコード進行など、曲の中に北欧的なメロディ

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Lordi /  Humanimals(1989)

Lordi / Humanimals(1989)

総合評価 ★★★★★

まだ華やかな、80年代の終わりに向かう時期。最後に咲き乱れるメインストリームだった時代のメタル。アルバム全体がどうこうというより単曲の集まったようなアルバムで、B面が少し息切れ気味だがどの曲もしっかりとしたメロディはある。まさに89年という時代を映すアルバム。レーベルからシングルヒットを求められる、MTV全盛期の煌びやかな時代。その中でしっかり時代に適応して活動していたんだ

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Lordi / Abusement Park(1984)

Lordi / Abusement Park(1984)

総合評価 ★★★★★

USにおける第一次メタル黄金期である1984年ににリリースされた音源。いやぁ、やはりこの頃のメタルが好きなんだなぁと再確認。他の時代にももちろんそれぞれ良さはあるけれど、なんというか心が揺さぶられるものがある。だいたい名盤とされていたアルバムはこの頃のものが多いしね。しかしこのアルバムはなぜリアルタイムで大ヒットしなかったのだろう。1984年ならアメリカでミリオン行っていて

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Lordi / The Masterbeast from The Moon(1981)

Lordi / The Masterbeast from The Moon(1981)

総合評価 ★★★★☆

1981年作、当時流行っていたプログレハード、エレクトリックライトオーケストラやアランパーソンズプロジェクト、ジャーニーやトト的な雰囲気もありつつちょっとエルトンジョン感もある。まだメタルが市場を席巻する前、キーボードやシンセによるオーケストレーションの再現、映画音楽的なきちんと作曲された楽曲とハードロックの融合を果たしている感じが当時の時代を思わせる。メロディラインこそ共

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Lordi / Superflytrap(1979)

Lordi / Superflytrap(1979)

総合評価 ★★★★☆

1979年、ディスコ真っただ中。同じく北欧のABBAの大成功に触発されたのか、かなり本格的なディスコサウンドアルバム。もともとちょっとディスコ的な雰囲気を内包していたバンドだったが、それはこのあたりのアルバムが基盤になっていたのだろう。アルバムを通して79年の空気がたっぷり味わえる。曲のタイトルもイカしている。「マッチョフリーク」だぜ。ギターも一生懸命ファンキーさを出してい

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Lordi / SKELECTRIC DINOSAUR(1975)

Lordi / SKELECTRIC DINOSAUR(1975)

総合評価 ★★★★

1975年リリース、Lordiの1stになるのだろうか。この頃はまだあまり「北欧らしさ」は前面に出ていない。6,8に片鱗が見られるぐらいか。70年代に一世を風靡したハードロックサウンドであり、KISSやAlice Cooperバンドのようなオカルティックな装いがある。音的にはUSっぽく、意外とカラッとしている。あまりUK的な、楽器隊のせめぎあう感じや情念的なものはない。もっと

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Volbeat ‎/ Servant Of The Mind

Volbeat ‎/ Servant Of The Mind

総合評価 ★★★★★

50年代~90年代までのロックミュージックのさまざまなスタイルを取り入れた硬派なメタル。このバンドのトレードマークであるロカビリー感はもちろん、サーフミュージックや70年代的なハードロック、80年代ヘアメタル(およびヨーロッパに代表される美メロの北欧メタル)、90年代のグルーヴメタル(というかメタリカ)、そして90年代中盤以降のメロコアを取り入れたかなりミクスチャーなサウン

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