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オーガニック と 政策推進 の違和感【八百屋から見た“食”no.51】

前号のつづきです。ぜひ先にお読みください。 

オーガニック(農法/農産物)は、他との優劣を比較する・賞賛や非難をするものではありません。環境負荷・特定物質・慣行農法との優劣善悪を比較/糾弾したとて解決しませんし(溜飲下げ案件でしかない)。オーガニックを選びたいかどうかは、好み(単純な好き嫌い)・生き方(ライフスタイル)の問題。要は個人の選択の範疇でしかありません。

よって、オーガニックを政策推進するという団体芸が私は大嫌いです。

“声を聞く政治”というフレーズを近年よく耳にしますが、(我こそが世間の声と主張する)少数の大声を反映させ推進したとして、政治本来の目的(公平な分配/社会全体の幸福度上昇)とかけ離れていくだけ。政策がギャップを助長し後戻りできない後押しをするとか悪手でしかありません。

声(という勝手な意見の数々)を聞くだけでは未熟。判断してこそ人間であり、判断してこその政治行政でしょう。ニーズを聞く前に、国として行政農政としてやるべきことを先に示し、優先順位をつけ、国内外に恥ずかしくない明確な根拠を示し発信してください。

国や自治体行政がファクトフルネスを忘れたら大惨事です。

国の政策においては、食料の安定供給&確保が最優先。世界情勢・為替・異常気象・農業経営継続・船舶・物流も密接にかかわります。国の違いは気候風土の違いであり、栽培条件の違い。はっきり言います。農業政策としてのオーガニックは優先順位が限りなく低い枝葉末梢です。栽培/流通/表示ルールでしかない。ルールを制定する国(政治)側が、しょーもないプロモートに乗っかって政治本来の目的(食の安定供給という根幹)ぐらつかせてどーすんのと。

給食についても、製造現場の設備&待遇改善が第一。地産地消や地元産農畜産物/海産物の利活用も、すでに全国津々浦々で実践されています。いわゆるオーガニック給食推進派の主張は、給食本来の目的(栄養の充足/食事を楽しむ/地域特産を学ぶetc.)から随分とかけ離れたオーバースペックな要求に見えます。給食でオーガニックを普及させたい方々は、まず各々ご家庭で徹底的に実践してみてはいかがでしょう。

実取引においても「作り手と買い手が繋がり、意識した交流を続ける」だけでいいです。オーガニック表現があってもなくても。直接でも間接でも。

個々の生産者/事業者⇔消費者が、本気の交流&経営継続/購買継続をしてきた中で醸成された“信頼・信任”。ごくごく一部の狂信と拙速な政策推進で地域や人間関係が台無しにならないよう願ってます。


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