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【秋葉原アンダーグラウンド】 第9章 9話
レンは目の前の状況に固まっているしかなかった。一体トガは何を言っているのだ。
「ここじゃ狭いな。レン、場所を移そう。」
「ちょっと待ってくれよ、トガっさん。なんでそうなるんだよ!?」
「お前はオレの一番弟子だ。先にも言ったが弟子の過ちは師が正してやらんといかん。」
「正すって・・・明らかにおかしいのはロンのほうだろ!?」
「レン、お前はまだ若い。若いが故に何も知らない。世の中は不条理に溢
【秋葉原アンダーグラウンド】 第9章 8話
「君は私が何をしたいか考えたことはあるかね?」
「自分にとって不都合な人間を排除し自らが王となり世界を支配する・・・違いますか?」
「なるほど、悪くない答えだ。一時期はそう思っていた。終わらない戦争、無くならない格差。人は生まれたときから人生が決められ、それに抗おうものなら非難される。なんてつまらない社会だ。」
「人生は自らの手で切り拓くものです。」
「詭弁だね。だが私も今同じように人生を
【秋葉原アンダーグラウンド】 第9章 7話
アンダーグラウンドに風は流れないはずなのに、その時ばかりは冷たい風が頬を撫でた気がした。レンは一瞬言葉を失ったが、再びアキモトに声をかける。
「それってどういう意味ですか・・・」
「闇に葬り去る。つまりなかったことにするということだ。いつかの備えのためにこのアンダーグラウンドを爆破できるようにしていた。」
「地下には関係のない人々がいるにもかかわらずですか・・・?」
「この研究の被験者だ。
【秋葉原アンダーグラウンド】 第9章 6話
トガはゼロワンの残骸を放りミカサに話しかける。
「ミカサ、抹消剤をもってロンのところへ向かえ。こいつはオレが片付ける。」
「わ、わかりました・・・」
ミカサは抹消剤の入った鞄を手に取り急いでその場を後にした。辺り一面をヴァンパイアの咆哮が覆っている。
「ははっ、大した出力だな。並の一級じゃ話にならん。どれ、貴様の実力を見せてみろ。」
ワンの目はすでに人間のものではなくなっていた。口から牙
【秋葉原アンダーグラウンド】 第9章 5話
ワンはミカサの雷の防御壁に突っ込むも感電せずにいた。いや、実際は感電はしているものの、それを感じさせない様子だった。ワンはそのままミカサの両腕を掴んだまま離さない。ワンの腕は電気により焦げていたが、同時に修復もしていた。
「なんですか、その能力は!?」
「ヴァンパイアって聞いたことあるよね?オレは能力でその体質を再現できる。」
ヴァンパイア。不死の生命体。攻撃力もさることながらその生命力の高
【秋葉原アンダーグラウンド】 第9章 4話
シンはロンの待つ研究施設に来ていた。入り口、それに中にも警備がいる様子はなく、シンは難なくロンの待つ部屋まで辿り着くことができた。そこには椅子に座らされ、無数の管が繋がれた機器を被せられているマリの姿もあった。
「マリ!」
「おっと、動くなよ。それにオレの殺意を斬ろうとしても無駄だ。」
「わかっている。お前に既に殺意はないのだからね。だが手元のコンピューターを操作する動きを斬るとなれば話は別
【秋葉原アンダーグラウンド】 第9章 3話
レンたちも地下公社まで来ていた。リツやシュンはすぐに手当てを受けることになった。レンはエンとともにワンから話を聞いていた。そこにはサラの姿もあった。
「それで、シンは一人でロンのところに向かったというわけか。」
「そうだ。だがこれは明らかにシンをはめるための罠だ。無事に帰ってくる保証はない。」
「でも、シンさんの立場を考えたらこうするしかなかったと思います。」
「私もそう思います。だから、
【秋葉原アンダーグラウンド】 第9章 2話
シンとワンは地下公社へと戻ってきていた。二人は傷の手当を受けた後、地上での事の顛末をモズやソウたちへと伝えていた。裏切り者のトガのことを含めて。
「お前たちが地上にいる間、ゼロサンにも手伝ってもらい地下を隈なく探したが、ロンは見つけられなかった。」
「そうか、ありがとう。地下は広いからね。私たちの知らない場所があるのかもしれない。」
「それより、トガのアニキが裏切り者だって本当なのか?」
【秋葉原アンダーグラウンド】 第9章 1話
「遅かったな。」
「オレだって地下の治安を守る一人だ。ふらふらする訳にもいかんだろう。」
ロンたちのいる研究所にトガが現れたのだった。アキモトは驚きを隠しきれないでいた。
「トガくん・・・君は一体・・・」
「ご無沙汰しています、先生。」
「まさか、裏切ったというのか・・・」
「それは違います。私は地下、それに地上をも良くしたいと思っています。今のシンではそれができそうにない。ただそれだ
【秋葉原アンダーグラウンド】 第8章 15話
四神同士の激しい衝突により、人々は吹き飛ばされ、辺りの建物は破壊されていく。大地が割れ、空が割れ、その衝撃は止まることを知らない。エンは玄武・剛によりリツとシュンを守っていたが、しだいに甲の防御に亀裂が入っていく。
「こんなもの、見たことない・・・」
エンはその気迫により意識が飛びそうだった。ふとレンとタクのほうを見る。すると互いに歯を食いしばりながらその衝撃に耐えていることがわかった。決着が
【秋葉原アンダーグラウンド】 第8章 14話
タクの攻撃の合図とともに、タクの四方から白虎、朱雀、青龍、玄武の幻影が飛び出す。そして四神はレンの四方から同時に攻撃をしかける。さすがにマズイと思ったレンは玄武・剛で身を守るもすぐに破壊されてしまい、今度こそ直撃を受けてしまった。レンはその場に倒れ今度こそ動けないでいる。
「はぁ、はぁ・・・なんて出力量だ・・・だがこれはさすがに効いたろ。」
「・・・」
「レン!」
タクは能力を使い果たした
【秋葉原アンダーグラウンド】 第8章 13話
男は俯いたまま動かない。レンも刀を構えてはいるが、男の挙動を待っているかのごとく、一歩も動かないでいた。すると男は笑いながら顔をあげてみせる。
「そうだよ。オレだよ、タクだよ。久しぶりだな、レン。元気にしてたか?」
「くっ・・・タク、なんでこんなことするんだ?」
「なんでって・・・それはこっちのセリフだ。お前こそいい加減目を覚ませ。」
「なんだと?」
「オレはな、ロンから全て聞かされた。
【秋葉原アンダーグラウンド】 第8章 12話
シュンはリツに言われた通り高速移動を開始し男に攻撃を仕掛ける。男はそれを高速移動し避ける。今度は反対に男が仕掛ける。しかしシュンはそれを回避する。このやり取りが何度も続いた。リツはタイミングを図るように動かない。まさか体力や能力切れを狙っている?そんなことをしても無駄だ。男は体力も能力の総量にも自信があった。だがこのままでは埒があかない。男はシュンの攻撃を受けることにし、組手のような態勢に入った。
もっとみる【秋葉原アンダーグラウンド】 第8章 11話
シンは攻撃するのを止め、刀を鞘に収めた。リツやシュンもその場から動くことができなかったが、男も動くことをしなかった。
「模倣か。だいぶ強力な能力だね。でもそれだと何か縛りみたいなものがきっとあるよね。例えば・・・相手からの攻撃を起点にしないと模倣を発動できないとか?」
「さすがだね。その通りだよ。オレは相手の攻撃を正確にトレースすることができる。ということは相手ありきだということだ。」
「も
【秋葉原アンダーグラウンド】 第8章 10話
シンは地上に残る者と地下に向かう者とを選別し始めた。あれからアキモトに何度も電話をしたが一向に繋がる気配がなかったため、自分たちだけでも動こうと考えての判断をしていた。カイとゼロヨンも皆と合流していた。
「トガやエンなど優秀な者が地下にいるが、それでも人数は多いに越したことはない。ただ入れ違いでロンは地上に出てくる可能性もある。とりあえず私は地下に向かう。あとはオウとリツ、それとシュンも来てくれ