【秋葉原アンダーグラウンド】 第8章 11話
シンは攻撃するのを止め、刀を鞘に収めた。リツやシュンもその場から動くことができなかったが、男も動くことをしなかった。
「模倣か。だいぶ強力な能力だね。でもそれだと何か縛りみたいなものがきっとあるよね。例えば・・・相手からの攻撃を起点にしないと模倣を発動できないとか?」
「さすがだね。その通りだよ。オレは相手の攻撃を正確にトレースすることができる。ということは相手ありきだということだ。」
「もう一個教えてくれないかな?同時に別の能力で襲いかかった場合、どちらの能力をコピーすることができるのかな?」
「実際にやってみたらどうだ?」
シンはシュンとリツに合図を出し、2人同時に攻撃をさせてみる。男に攻撃が当たる直前、やはり2人の攻撃は止められた。2人には重力がかかっていた。
「わかったかな?より強力なほうをトレースしている。」
「だってよ、シュン。お前はまだまだということだな。」
「うっせ。」
シンは遠くから男の意志を切り取り、2人を動けるようにした。2人は思わず男から距離を取る。
「私たちもよく理解した。シン、お前はワンを連れて地下へ行け。お前がいると全滅する可能性が高い。」
「そのようだね。よし、ワン。我々は一足先に地下に向かうぞ。リツ、シュン、頼むから死なないでおくれよ。」
「へっ、死ぬもんかよ。ほら、さっさと行け!」
シンは会釈をし、ワンと共に改札をくぐり地下を目指した。
「さてと、相手は私か。せっかくのシュンのスピードも私の前では無意味に等しい。」
「なに?オレがいつあんたに劣ったっていうんだ?」
「あくまで二人同時に攻撃をしたときの話だ。別々でやれば止まることはないさ。」
「そしたらオレの場合、やつを捕まえることができない問題も起きてしまうってことか。」
「ほら、いつまでそうやって話し込んでるの?別にこっちから始めることだってできるんだぜ?」
そういうと男は一瞬でリツとの間合いを詰め攻撃を仕掛ける。リツは咄嗟に防御するも男の蹴りにより弾かれてしまう。
「こんの・・・」
リツは思わず重力で男の動きを抑えつけようとする。しかしその直後、リツの胸元に重力をまとった男の拳が入っていた。リツは吐血する。
「ぐふっ・・・」
「ほらほら、能力に依存しているからこうなるんだよ。」
「こいつ、体術もいける口か。」
シュンは能力を使わずに縮地法で男との間合いをつめる。しかし男の重力波によって地面へと叩き付けられてしまう。シュンはたまらず能力を使いその場を離れる。だが男も呼応するかのごとくシュンの能力を使いシュンを追いかける。手負だったシュンはすぐに捕まり、再度地面に叩きつけられた。
「がはっ・・・」
「無駄だよ。」
「何が無駄だって?」
男の背後にリツが立つ。男の肩を掴み重力をかける。ミシッ。男の肩の骨が一瞬軋んだのがわかる。しかしその力を相殺するかのごとく重力で打ち消す。さらにリツはみぞおちにカウンターをもらう。
「チィッ・・・一瞬かよ。」
「あぶないあぶない。だてにここまで生き残ってはいないね。」
「その割には随分と余裕だな・・・」
リツは腹部を押さえているものの立ち上がり男と睨み合う形となった。シュンもなんとか立ち上がる。
「だが、こちらとしても貴様の攻略法は見えてきたところだ。相手が悪かったな。」
「へぇ。力の差は歴然だけど、一体何をしようとしているのかな?」
「シュン、こっちに来い。」
シュンはそう言われるとリツの元へ戻る。リツに耳打ちされ作戦を伝えられる。りょーかいとだけ言い、攻撃の態勢をとる。
「さぁ、反撃開始だ!」
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