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【政治学講座1】政治とは何か【体系的知識】

【政治学講座1】政治とは何か【体系的知識】

政治学講座(後で装飾を追加)参考文献 中村菊男著「政治学」改訂第3版,2010

第一回 政治とは何かはじめに

アリストテレスは著書の『政治学(Τα Πολιτικά)』で「都市国家は自然の所産であり、人間は本質的に政治的動物である」と述べた。

人間の存在は国家乃至それに類する社会集団の存在と、そこで振るわれる政治的権力の存在をも意味しているのである。

何を「政治」とするか

「政治」とは何

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保守主義から見る現代の正義

保守主義から見る現代の正義

保守主義の見地において、無知のヴェールには欠陥を認めることが出来る。
無知のヴェールとはジョン・ロールズが「正義論」にて唱えた”誰もが自分を含めた個々人の背景を全く無視した場合に、どのような選択が最良と考えられるか”という思考実験である。

この実験の結論として、自分のステータス、社会的地位や財産・人種・年齢・性別・職業他を知らない人間が自らの幸福を願う場合には、結果的に社会を構成する全成員に対し

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飯塚幸三氏と「名誉」による社会の正常化機構

飯塚幸三氏と「名誉」による社会の正常化機構

エドマンド・バークは「名誉」を「公共精神に適う行いに対する報酬」、とくに公職者に対する金銭的私益と切り離された報酬であるとした。

この場合の「名誉」の源泉は国民にあり、公共精神に適う行い、即ち国民の意見に寄り添い国民の幸福を増進する行いをする者には名誉が与えられ、反対に国民の意見に反発し国民の幸福を減退する行いをする者には不名誉が与えられるという具合である。

これによって、名誉を得、不名誉を避

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正しさ・善という価値の相対性について

正しさ・善という価値の相対性について

正も善も本質的に一個人の物たりえない。

何故なら人間は常に自分を取り巻く社会の影響を受けて生き、自分の価値観を構築し続けているからである。

つまり、「自分が正しいと思っている事」を自分が何故正しいと思っているかといえば、その「正しさ」は、それまでの人生で触れた森羅万象、自らが所属した、あるいは触れた事のある共同体から影響を受け、自らも考えた結果として得心したものだからである。これは善も同じであ

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