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回石進

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詩、俳句、小説などはこちらに貯めていこうと思います。Twitterでも呟いてます。
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記事一覧

泣かずに飛べた日の朝に

夢で見たあの大地

僕は怖くて泣いていた

何度も何度も飛び出そうとして

脚の震えを拭っていたんだ

雲が象を描いた空で

僕は空想を輝かせていた

何度も何度も繰り返してみて

胸の震えを感じていたんだ

踏み締めた道が描いた地図を

眺めて僕は空を見上げた

虚しく咲いた心の花に

今日もジョウロを傾けている

虚な瞳で眺めた空は

どこかの夢と似通っていた

何度も何度も思い返して

"ホ

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無題

放浪の身を 落ち着けてみて
落ち着かず

落ち着かぬ身を なんとか落ち着けようと
型をつくり

窮屈な姿勢で落ち着いて
満足げに一息つく

鳶が舞う空がより高くなったな

アネモネ

荒廃した街の片隅で

赤いアネモネを見つけた

土埃にそよがれながら 色鮮やかに揺れる

今まで守り抜けたものなど無い私だが

ただそのあどけない輝きに

心が奮えた

いつも争いの元など勝手なものだ

当人達ですらその目的を忘れていく

そんなことなど知るべくもなく

花はいつもただそこに咲いてるだけだ

私は立ちあがり立ち去る

アネモネが踏み荒らされないことを願って

歯抜けの唄

熟れた果実を齧ったときに
私の歯は折れたんだとさ

可笑しいじゃないか
笑っちゃうよな

あの紅く熟れたぐじゅぐじゅの実より
私の身の方が脆いんだとさ

長らく生きてみたけど何だか可笑しいじゃないか

笑っちゃうよ

笑い疲れて腹が減ってきたな
林檎があったな

ああ、歯がねぇんだった

神のご加護ってか?

柿の実

柿の実

柿の実が落ちている
秋の空が橙々色に広がっている

先っぽが枯れた広葉樹が石垣から溢れている

猫がふぁーっと欠伸をした
黄色い帽子の集団が指を指す

飛行機雲がスゥーっと空に吸い込まれていく
電線のカラスがバサバサしだす

夕日が落ちてゆく
子供たちの笑い声が家に帰っていく

柿の実が落ちている

なんちゃって漢文

天 既 与 答

人 常 与 迷

以 人 迷 惑

天 仰 見 也

(天既に答えを与え 人常に迷いを与える
以って人は迷い惑い 天を仰ぎ見るなり)

歩み

薄曇り、桜並木を行く君の
慣れない、黒い靴の音

駄 文

駄 文

掻きむしった傷跡は今はただ赤く熟れている

通り過ぎる風はそよそよとその傷口をくすぐる

揺れる産毛の感触に今は只その生を感じている

目の前で煌々と照る あの地平の向こうにある陽の光は眩しく

薄ら寒さの中にうっすらと温もりを覚える

ただこの空間に立ち尽くす我が姿をどこからともなく見ている私は孤独を観測していた

そして、そこには何の感情もない

たった数十年生きただけの私の時間は今、一瞬のよ

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花に問うて眺る

咲くよりも 蕾でいれば

哀しからんや

なぜ咲く君は

なぜ美しい

北風に吹かれて

北風に吹かれて

鳩ポッポ 首をすくめて 鳩ポッポ
お腹は減って ないんかい?

帰郷

帰郷

昔ながらの情景に

涙が出るかと思ったが

お腹の音が空に響いた

とある愚か者の述懐

茹ったお湯に手を入れて
熱いと思うのが普通だというのに

熱くないだろ 
それが出来なきゃ始まらないと
急き立てられ

よく出来たじゃないか
と時には煽てられ

脂汗が引いて
笑みが張り付きました

これでいい気もするんですが

たまに胸の奥から沸々と湧いてくるのです

お医者様はいらっしゃいますか?

鴨何処

鴨何処

鴨は行く 僕らの知らぬ 良いところ