厄草屋

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所謂セルフ受肉のVtuber個人勢。ハンドメイド作品も作ってます。発達障害とセクマイの二足のわらじ。 ぶっちゃけバーチャルのガワを持つバンギャでオタク。最近モルモット飼いになりました。フォロー、いいね、ありがとうございます。

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厄草屋を支援してみようかな、という酔狂な方へ。 文章の更新が主です。 (日常的なブログ、様々な作業進捗や裏話、思考メモまとめなどなど)

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昔の話をしよう。

これは私の、厄草屋の、過去のような、物語のような記憶。 現実だと思えば現実で良く、夢か創作だと思えばそれでいい。 そういう話だ。 とりとめのない、まとまりのない、今となっては断片的な記憶。 ただただ、そういう話だ。 行き場の無さを抱えていた。 それは物心ついた時からそうだった。 拠り所があると自覚している人の方が少ないのかもしれない。無いからこそ、無いと自覚するようなものでもあるし。 少なくとも私は「無い」と自覚していた側であり、それは成長しようが変わらなかった。 与えよう

    • 名前を決めよう【交流企画:ガーデン・ドール】

      ある日の昼下がり。 ヤクノジは教育実習生であるグロウの部屋のドアをノックしていた。 「グロウ先生、ちょっと時間ありますか?」 「はい、ヤクノジさん。大丈夫ですよ。どうしましたか?」 此方がいきなり訪ねたとしても、やはりグロウは穏やかに出迎えてくれる。 それが教育実習生という役割故なのか、それともグロウの性格なのかは定かではないが、ヤクノジにとってはどちらでも良かった。役割だとしてもそれをブレずに遂行しているのだから、彼の性格や適性が関わっていないというのは考えにくい。 役

      • 冬の約束、春の約束。【交流企画:ガーデン・ドール】

        さあ、約束の続きをしよう。 ガーデンの季節が目茶苦茶になり、校舎や寮が寒さと雪に閉ざされていた頃。 「リラ、こっちだ」 夜の校舎、プールサイド。 ヤクノジはリラを連れ出していた。 「此処でなら、冬エリアに行かなくてもスケート出来るからな」 「わ、すっかり冬模様ですね…!」 降った雪も解けない寒さは、校舎にあるプールをスケートリンクにしてしまう程だった。 それならば、とでもいうように貸し出された二人分のスケート靴を片手に、ヤクノジは手招きする。 昼間ならばまだ雪遊び

        • 悔しさと哀しみを、叩きつける。【交流企画:ガーデン・ドール】

          修復され、誰かしらが不定期に訪れては整えている「神殿」の前にヤクノジは立っていた。 特に理由はない。 今のヤクノジには、ここに関する記録はあっても記憶というようなものはない。 知っていることと、体験したことは違う。 あの子の声や表情も、今の自分が簡単に覗いていいものではないのだ。 3月17日。 ガーデンがまだ雪に覆われていた頃。 その異変は突如として起きた。 外からの轟音に驚いたのも束の間、マギアビーストの出現とグラウンドへの立ち入り禁止が通達される。 そして、そのマ

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          セボンスターを買いに。

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          開けていなかった実績 先日、とある漫画を読んでいて「人生でまだ開けたことのない実績があった!」と気が付いた。 読んでいたのは、さかなこうじ先生の作品「今日、駅で見た可愛い女の子。」だ。 人生での実績というとやれ仕事だ結婚だ恋愛だ失業だ失恋だ子供がどうだ離婚がどうだとあれこれ挙げるとキリがないが、そういう大きな規模の話ではない。 ゲームでいうならおまけの実績枠、遊び心で設定された部分の方である。 私の場合、子熊を抱っこしたり、石を削って弥生時代などで使われたような簡易ナイフ

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          セボンスターを買いに。

          メンバーシップのお話。

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          データ残滓の万華鏡【交流企画:ガーデン・ドール】

          さてどうしたものかな、というのがその時のヤクノジが抱えた率直な感想だった。 本来ならば、驚くなり、嘆くなり、憎むなり、とにかく何かしらの感情を持つべき物事に対して、どこか突き放したような感情しか芽生えない己がおかしいのかと思う程には、ぼんやりとしていた。 「欠けたもの」を思い出した、なんて事態。 もう少しドラマチックであるべきなんじゃないか。 思わず声に出てしまいそうな感想を飲み込んで、自室のベッドから身を起こす。 とりあえず、自分の感想との答え合わせをするべきだ。 そ

          データ残滓の万華鏡【交流企画:ガーデン・ドール】

          グロウ先生とヤクノジ、仕立て屋に行く。【交流企画:ガーデン・ドール】

          フルーツビーストの襲来で賑わう4月のガーデン。 それでも、日常を送りたい日は出てくるもので。 「グロウ先生、遊びに行きませんかー?」 たたた、と踊るような足音を響かせてヤクノジが辿り着いたのは、ドールたちのメンタルケアとして赴任してきた教育実習生のグロウの部屋である。 「はい、ヤクノジさん?どこに行く予定ですか?」 基本的に穏やかなグロウは、こんな風にいきなり訪れても嫌な顔ひとつしない。 「こんにちは、先生。いやあ、仕立て屋……って行ったことなくて。そういやグロウ先

          グロウ先生とヤクノジ、仕立て屋に行く。【交流企画:ガーデン・ドール】

          花さえ贈れない【交流企画:ガーデン・ドール】

          グラウンドの中心に、同期がいた。 4月3日 10:00 唐突にグラウンドに呼び集められたドール達が、ひとりまたひとりとグラウンドに集まっていく。 理由も分からないままにヤクノジも外に出ると、同じく何も分からない顔をしているリラと合流した。 手を繋ぎ合っても、どこかじっとりとした不安が消えない。 恐怖にも似た感情が、込み上げてくる。 シキが、グラウンドの中心にいた。 普段ならば特に気にも留めないものなのだが、その光景が異様だと分からされてしまう。 彼の傍に、センセー

          花さえ贈れない【交流企画:ガーデン・ドール】

          ヤクノジと迷子のぷいぷい【交流企画:ガーデン・ドール】

          「……こんなもんかな」 三月最後の日。 ヤクノジはいそいそと肩掛けの大きなカバンに荷物を詰めていた。 飴玉にノートとペン、お弁当のおにぎりと、水筒にお茶。 魔法で縮小してしまえば荷物にはならないが、こういうのは雰囲気も大切だ。 首から映写魔道具をかけ、支度は万全。 今日は、ワンズの森まで映写画を撮りに行くのだ。 元々映写部であり、映写画にも興味を持っていたヤクノジではあるが、コアを飲み飲まれた後からはより一層芸術関連への興味を持つようになっていた。 ワンズの森に行く

          ヤクノジと迷子のぷいぷい【交流企画:ガーデン・ドール】

          いつかの僕に、手紙を書くよ。【交流企画:ガーデン・ドール】

          (ノートの1ページに丁寧に綴られたものより) 僕が目覚めて。 俺じゃなくなって。 これは、僕が俺に向けて書く手紙。 記録の君に宛てた、僕からの手紙。 朝はあまり得意じゃない。 多分、俺もそうだったろうけど、僕はもっと苦手だ。 ぐずぐずぐにゃぐにゃ、そんな感じで。 起きるんだか起きないんだか、あやふやな時間が出来てしまう。 俺は諦めるように、起き出していたよね。 面倒事は嫌うのに、俺は案外真面目に風紀委員をやっていたんじゃないかと思う。 ガーデンの生徒は風紀を乱すことも

          いつかの僕に、手紙を書くよ。【交流企画:ガーデン・ドール】

          改めて、君をIする恋をする。【交流企画:ガーデン・ドール】

          ※交流企画「ガーデン・ドール」の最終ミッションを扱っておりますので、ご注意ください。 ↓前作品 ぼんやりと意識が浮上して。 ああ、きっと。 やり遂げたんだろうと。 それだけを思った。 何をどうやり遂げたのかは分からないけれど。 頭の片隅、意識の遠いところで。 頭に流れてくる様々な情報の洪水の中で。 妙に満たされていて、泣きたくなる。 これ以上の幸せが、あるのか。 そんなことを思うくらいに。 不思議と、満たされていた。 「おはようございます」 抑揚があ

          改めて、君をIする恋をする。【交流企画:ガーデン・ドール】

          愛はIより生まれてIを殺す【交流企画:ガーデン・ドール】

          ※Attention※ 流血、自傷などゴア表現あり。 交流創作企画【ガーデン・ドール】の最終ミッションを扱っています。 ↓此方の続きです。 3月26日、早朝。 雪で休校となった校舎の屋上へ、ふたつの足音が重なる。 急ぐわけでもなく、逃げるわけでもなく。 どこにでもある足音が、二つ。 「もうすぐ、夜が明ける」 窓の外から空を見ると、月は傾き段々と白み始めていた。 まだ季節が元通りにならないガーデンはひどく冷たくて。 ヤクノジは繋いでいたリラの手を強く握って微笑む。 「

          愛はIより生まれてIを殺す【交流企画:ガーデン・ドール】

          「  」【交流企画:ガーデン・ドール】

          ※前提作品 交流企画「ガーデン・ドール」の最終ミッションを扱っています。 (ベッドの傍らに無造作に放置されたノートより) (全体的に荒い筆跡で描かれており、急いで書き連ねていることが分かる) 買ったはいいものの、使っていなかったノート。 日記を書き続けられるような性格でもなし、メモくらいにしかならないが、書かねえよりマシなんだろう。 なので、書く。 黒いペン。 支給されたそれだけで、事足りるといえば事足りる。 他の色のペンが欲しけりゃ購買に頼めばいいんだろうが、急ぎで必

          「  」【交流企画:ガーデン・ドール】

          世界が終わるまでIをあげるよ【交流企画:ガーデン・ドール】

          ※交流企画「ガーデン・ドール」の最終ミッションを扱っておりますので、ご注意ください。 「俺のコアを、もらってくれないか」 まだ季節の戻らない3月25日の夜。 傍らにいるリラに向けて、ヤクノジはぽつりと告げた。 思い詰めるわけでも、陽気というわけでもなく。 ただただ、穏やかに。 穏やかに、とんでもないことを告げた。 ヤクノジの自室に招かれ、ゆっくりとした時間を過ごしていたリラの瞳が大きく瞬きする。その瞳には、困ったような笑みを浮かべるヤクノジが写っていた。 「それで、リ

          世界が終わるまでIをあげるよ【交流企画:ガーデン・ドール】

          Lを量る【交流企画:ガーデン・ドール】

          ヤクノジ、恋愛相談をするの巻。 季節の石はまだ全て見付からず、それ故にガーデンはまだまだ雪が降っていた。 季節の石を探さなければならない一方、図書室にマギアビーストも出現するという事態に追われながら、ヤクノジにはもうひとつ考えるべき物事があった。 昼過ぎ。 雪は降っていないとはいえ、少し冷える寮の廊下にヤクノジは立っていた。首に深緑色のマフラーを巻き、少し悩む素振りをしてから目的のドールの部屋の扉をノックする。 「はい、どうかなさいましたか」 部屋の主であるナハトの顔

          Lを量る【交流企画:ガーデン・ドール】

          毎夜毎夜の。【交流企画:ガーデン・ドール】

          それはまだガーデンの季節が滅茶苦茶になる前の話。 でろでろり。 夜中の寮の一室で、液体になっているドールがひとり。 ブルークラスの生徒であるヤクノジは、自室で液体となっていた。 液化魔法。 己の身体を液体へと変化する魔法を使い、ヤクノジは部屋の床に零れていた。 思考が行き詰った時、思考を無にしたい時に液化して、魔法の訓練と思考を無にするのが新しく増えた気分転換である。 「んー……がっつり練習すっか」 しゅるしゅるり、と水のようになっていた身体を元の形へと戻しながら小さ

          毎夜毎夜の。【交流企画:ガーデン・ドール】

          そのために、鬼となる。【交流企画:ガーデン・ドール】

          ヤクノジは、好戦的ではないがマギアビースト戦には積極性を見せるドールである。 マギアビーストが寮で過ごすドールだけでなく、一般生徒ドールに危害を加えるというのをそのまま見ていられないが故のものであり、逆に言えば危害さえ加えられなければ静観するとも言えた。 今回のマギアビースト出現は、図書室。 季節の石の影響で雪が降り、休校となったことで空いてしまった時間をドール達は各々で過ごしているが、このマギアビースト出現により図書室は封鎖された。 休校中だからと図書室に足を運んでい

          そのために、鬼となる。【交流企画:ガーデン・ドール】