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ショートシュート

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短編集を集めてみました
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#小説

あほやん300字のラブレターを頼まれる➕追伸

あほやん300字のラブレターを頼まれる➕追伸

「私の事好きなら、ラブレターちょうだい。
それも300字以内で書いてね。」
と、愛嬌を振りまきながら言いふらしているのは、
幼馴染の澪ちゃんだ。
だが、誰も聞き流していた。

僕は不思議に想い、澪ちゃんに訊ねたら
澪ちゃんは、
「雑誌の募集小説に『300字のラブレター』と
言うのがあるの。それに応募したいんだけど、
私は小説書けないの。
だから人に書いてもらうの。
大賞を獲ると賞金50万円よ、凄い

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売れない小説家の強がり(560字)

売れない小説家の強がり(560字)

「私の心は少年です。」と良い歳をして言えるのは
このサイトだけかも知れない
小説を書く時、私は少年になっている
遠い昔を思い出し、少年の心で書いている。

それは人生の経験を積んできたからできる事でもある。
本当の少年時代に小説を書く事は無かった。
と言うよりも、私が小説を書くなんて思いもしなかった。

私が小説を書ける様になったのは、ある人に毎日コメントを送っていたのが原因だと思っている。
その

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月に帰るか!かぐや姫(400字の小説)

月に帰るか!かぐや姫(400字の小説)

「お爺様お婆様。私は今夜、月に帰らないといけません
私を育てて頂き有難う御座います
この御恩は、一生を忘れる事は出来ません」
と、涙の表情が、かぐや姫の心痛を表している
「大丈夫だ、姫よ。そなたを誰にも渡さない!
強者の兵も多勢来ておる安心しておくれ」
と、爺さんは自信の面構えだ。
婆さんは、かぐや姫に寄り添い肩を抱きしめる
だが、かぐや姫の表情は暗く切ない

「お爺様、私は帰らなければならないの

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あの男の後悔(400字の小説)

あの男の後悔(400字の小説)

久しぶりに飲んだ酒の銘柄が、
俺の記憶を蘇らせる。それは、・・・

あの時、俺は若かった。
いや、子供だった。
大人達に煽てられ、担がれて、俺はその気になっていた。
役にも立たない家来を連れて
乗り込んだ所が、小さな島だった。
奴らが奪った財宝を奪い返しに
俺はこの島にやって来た

正義の旗を振りかざし
俺は奴らを退治した
逃げ惑う奴らを
俺は許す事なく殺した。

持ち帰った財宝を、俺は村の人達に

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全知全能の神ゼウス(400字の小説)

全知全能の神ゼウス(400字の小説)

聞いた話によると、ギリシャ神話に出てくる神ゼウスは女好きらしい。
ゼウスと言えば、最高神で全知全能らしい。
その神(ゼウス)が、ある人の妻に惚れ、その妻を得ようと
白鳥に化身し、鷹に襲われる様に画策した
傷ついた白鳥(ゼウス)を、その妻は手当をする。
ギリシャの神は、煩悩だらけで、自己中心。
自分の欲望を叶える為には手段を選ばない。

法華経以前の仏教は、人間の煩悩を断つことを説いたが、
法華経で

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蜘蛛のイト(700字の小説)

蜘蛛のイト(700字の小説)

俺は地獄に落とされた
俺の生き様を考えたら当然の結果だ

地獄の鬼達は、俺を恐れている
鬼が俺を見るたびに、怯えて逃げる
閻魔大王も逃げて行った
俺は地獄の首領となる

俺は地獄で好き放題
最高の居場所だ
ある日、天から蜘蛛の糸の様な物が降りてきた
不審に思い触ってると、体に絡まり動けない
そのまま俺は地獄から引きずり出され天国にいた
ここは善人達の集まりだ
こんな弱々しい所じゃ面白くも無い

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