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渡邊哲也「SDGsバブル崩壊 意識高い系がハマるリベラルビジネスの正体」

渡邊哲也「SDGsバブル崩壊 意識高い系がハマるリベラルビジネスの正体」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B0C812JGYV/
 アメリカの政治と経済の関係や世界に対する影響、そして暗号資産の技術的な解説文が多く、自分にはかなり難解な本だった。そもそもSDGs(持続可能な開発目標)ということばを初めて聞いたのは、数年前に取引先である大日本印刷の社員からだった。正直言って『そんなお役所的なコンセプトが世の中に受け入れられるわけはない』と感じた。しかし昨今の状況ではSDGsというワードが世の中を数多闊歩している。ただその印象は『みんなSDGsを商売に利用しているな』という印象だった。それがESG(環境・社会・ガバナンス)投資である。本来ならば世界を正す指針であって、経済活動などとは無縁な考え方であるはずだと思う。だからSDGsとは裏腹にコロナ禍やロシアのウクライナ侵攻などの現象が出てきたら、一気に本音と建前が出てしまった。さらにアメリカ議会下院で共和党が多数派となった。もはやバイデン政権による「グリーン・ニューディール」政策は一気に色褪せた。こうしたことが複合して起こったことで、グリーン・バブルは「グリーン・ウォッシュ」に晒されて崩壊した。そしてドイツに見られるクリーンエネルギー政策は、ロシアのウクライナ侵攻で頓挫した。ドイツはロシアからの天然ガスパイプラインである「ノルド・ストリーム」に頼っていたから。侵攻当初の独仏の対露弱腰は、エネルギーをロシアに握られていたからだ。特にドイツのエネルギー危機は、原発廃止に起因する。これからは不安定な再生可能エネルギーではなく、日本で技術が進んでいるSMR(小型モジュール)や石炭がエネルギー利用に有効である。気候変動問題や、核戦力の増強競争、先進国と開発途上国の貧富の差などは、もはやヨハネの黙示録の実現を起こしかねない人間の破綻への暴走である。日本のみならず、世界はグリーンバブルに巻き込まれるべきではない。本書はいわゆる「意識高い系」人間に対する痛烈な警告である。


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