和風創作フレンチ

‘The Soul selects her own Society —‘

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マガジン

  • 万葉旅団

  • 珈琲ノ音

    京都のカフェを巡りて、飲んだコーヒーについて言及していく予定ですが、これはあくまで速記的で、備忘録的なものです、制御不能です、個人的見解です、そのときの気分とか体調とか、もちろん相手の調子もあるだろうし、いろいろな要素が絡みあいます、

  • 珈琲ノ記

    自分で淹れたやつです

  • フレンチ的

    おもに飯の話です

  • 瑞草的

    瑞々しい草のように

最近の記事

笹の葉はみ山もさやにさやげども我は妹思う別れ来ぬれば 柿本人麻呂

さや、さや、と歌われる言葉は意味というよりも、音そのものが、的確な世界の描写になっている。それは物事をことばの意味で説明するよりも、いっそうの臨場感をもって、聴き手に伝わってくる。この万葉の歌はまさに、その格好の例と言えるのではないだろうか。 一方、内容はというと、周りの物音がうるさいにもかかわらず、心は揺れず、一人の人を思っているという、現代の人間が読んでも、どこかで心当たりがあるはずの、心の在り様を歌っている。私たちも、物思いにふけっていて、街の喧騒がうるさくも遠く、感

    • blend kyoto

      ランチのあと、その近くまで来たので、最近読んだ雑誌に載っていたblend kyotoへ、店内にあまりスペースはないが、スタッフが明るい感じで声をかけてくれ、過ごしやすくしてくれる、ここのシステムは数種類のスペシャリティコーヒーの中から、説明を見たり聞いたり、豆の匂いを嗅いだりしながら2つを選び、その2つをブレンドして飲む、というもの、選んだのはどちらもコロンビア、ミラン農園、農園まで一緒だ、品種も同じカトゥーラで、シドラカルチャリングとナイトロウォッシュド、シドラはリンゴやバ

      • 【番外編】喫茶半月

        蔵前、最近はコーヒー目的でこの辺りのエリアに来る機会も増えてきた、前回バッハから蕪木へと向かう途中で見つけ、気になっていた店、今回はその、喫茶半月を訪れた、 木の入口もさることながら、更にその額縁となる建物のブルーのタイルが美しく、しばし眺めいる、店に入ると声をかけられ、まっすぐレジへ進んでオーダー、広々とした店内、貴婦人の家に行ったことはないが、貴婦人の家のような雰囲気だ、 季節のシュークリームとコーヒー、シュークリームは桃で、季節を思い出す、夏、あの暑い季節を、そして

        • わが宿のいささ群竹吹く風の音のかそけきこの夕べかも 大伴家持

          この男の身に、いったい何があったというのだろう。あるいは存外、何もなかったのかもしれない。ただ一つ確かに言えるのは、男には心細さがあったということだ。そういう心持ちであったと解してこそ、家の庭の少しの竹の間を通り過ぎる風の音が、かすかに、聞こえてくるのである。 心を吹き抜けていく風の来し方に思いを巡らせていると、この心細さは人間本来の孤独に由来するのではないかという気がしてくる。 人はみな孤独だ。しかし同時に人はみな孤独に耐えられないので、どうにかしてそれをやり過ごそうとす

        笹の葉はみ山もさやにさやげども我は妹思う別れ来ぬれば 柿本人麻呂

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        • 万葉旅団
          14本
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        記事

          【番外編】喫茶ミンカ

          Go to 鎌倉。 友人とカレーを食したその足でさらに北鎌倉へと足を伸ばしていく。 なぜこんなにも足を伸ばすのだろうか。 目的は無論、「グレート・リセット」だ。 主に観光地などで食事を楽しんだあと、 神社仏閣を訪れることで適度な運動と神仏の加護によりカロリーはゼロとなる。 これすなわち、グレート・リセットである。 うおおおおおおおおおおおうおおおおおおおおおおおおおおおおおおリセットおおおおおおおおおおおおおおおおお ふう……。 おそらく住職のバイクだろう。 あまり

          【番外編】喫茶ミンカ

          【番外編】珈琲郷 みにこむ

          今日は友人と鎌倉でカレーを食す。 そのカレー屋が混んでいたので一旦引き返し、みにこむ。 かんばんはみにこむとひらがなだが、店名は身似虚無と漢字で書くらしい。ミニコム……。 チョコレートケーキとブレンドのセット。 サイフォンで抽出された熱々のコーヒー。 飲み口はどっしりというよりはむしろ軽やかで、 腹の底に沈み込んでいくよりは、顔の上半分で味わって、 そのまま鼻から抜けていくような心地がする。 持続する綺麗な酸とふんわりした甘さが、 サイフォンの面目躍如といったところだろうか

          【番外編】珈琲郷 みにこむ

          焙煎工房MiLL coffee「ブラジル サンコーヒー アララ アナエロビック」

          今回のコーヒーはこちら。 ーーーーーーーーーーー。 ブラジルのアナエロビック。 アナエロビック(ファーメンテーション)とは、 収穫したコーヒーチェリーをタンクなどに入れて密閉し、 酸素を遮断した環境(嫌気性状態)で、微生物の活動による発酵を促し…… おおおおおおおおおおっ、 おお、 ………。 チェリー系の明るい酸味は確かにさくらんぼのような印象。 あとはもう少し柔らかな甘味があって、アーモンド、 あるいはソイラテにも似た味わいだ。 これが発酵の力なのか、独特な

          焙煎工房MiLL coffee「ブラジル サンコーヒー アララ アナエロビック」

          それぞれに所の風土を味わひて

          さあ、 ディナーの時間だ。 今宵いただくのは、東海道をテーマにしたコース料理。 席にセットされたこの紙、 上がおしながきで、下が東海道の地図になってます。 さらに下をめくると、真ん中のラインに食材の名前が書いてあるという、好奇心をくすぐる素晴らしいデザイン。 0皿目の料理というか、 食べる前から、もうすでに食事は始まっている。 そんな感じです。 白ワインも到着し、準備万端。 ではさっそく、 一皿目の料理は、「祝杯」。 箱根の関所は山中の難所。 その箱根を越え

          それぞれに所の風土を味わひて

          イノダコーヒ八条口支店

          で、アイスコーヒーをテイクアウト、ちょうどこの前、お店の後輩からイノダのアイスコーヒーを飲んで美味しかったと聞いていたので、新幹線で過ごす道連れにしようと思いついた、なぜか所持していた最中を鞄から取り出し、さらにそのコーヒーの友とする、アイスコーヒー、そういえば、別の後輩はホットよりアイスコーヒーの方が好きだと言っていた、僕はどちらかといえばホットが好きで、アイスコーヒーはホットに比べるとどれも同じような味だと勝手に思っていたのだけれど、最近になって関心が出てきて、アイスコー

          イノダコーヒ八条口支店

          自家焙煎珈琲 カフェヴェルディ 下鴨店

          カフェヴェルディ、この前は高島屋の小さいお店にも行ったし、下鴨のこの本店にも何度か来たことがある、しかしモーニングの時間に来るのは初めてだ、相変わらず、ここのコーヒーは美味い、選んだのはヴェルディブレンド、何というか、あまり特別感はない、普通のコーヒーだ、しかし、飲んでみると、ああ、普通のコーヒーって、こんなに美味しかったんだな、と気付かされる、そんなコーヒーだ、味わいにおけるネガティブな要素が極限まで抑えられることによって、コーヒーらしい豆の香ばしさ、フルーティーさ、苦味、

          自家焙煎珈琲 カフェヴェルディ 下鴨店

          幸福(さいはひ)のいかなる人か黒髪の白くなるまで妹が声をきく 詠み人知らず

          万葉集には相聞歌、挽歌、雑歌という三つの部立てがあり、この歌は挽歌に属している。 恋の歌、 死の歌、 その他の歌。 このような部立てがあること自体が、古来から人がどのような時に心を動かし、歌を詠もう、あるいは読もうとしてきたのかを物語っていて大変興味深いが、それは、ひとまずおいておこう。 黒髪が白くなるまで、妻の声をきく人は幸せだ。 この歌が、人の死を悼む挽歌であるということは、自分は、白髪になるまで妻の声をきくことができなかった、ということであり、聞きたかった、とい

          幸福(さいはひ)のいかなる人か黒髪の白くなるまで妹が声をきく 詠み人知らず

          IOLITE COFFEE ROASTERS

          食後のコーヒーを求めてアイオライトへ、最近定休日が変わったらしく、僕の定休日に行くことができるようになったのは大変ありがたい、 ブラジルのスペシャリティ、ファビアーノ・トマチーニを注文、やや浅めの焙煎によって引き出されたジューシーな酸味と、コーヒーに備わった爽やかな苦味が織りなす、グレープフルーツのような風味、温度が下がってくるとまた味わいも移ろい、コーヒー自体が、まろやかなお茶に姿を変えたかのような、幻を視る心地がする、キャロットケーキもうまいし、明るい店の雰囲気は海外の

          TAMAYA COFFEE 「Gion Festival Original blend」

          えっ! マジすか!!! うおおおおおおおおおおおおおッ …………。 暑いし、忙しいし、去年も見たし。 今年の祇園祭はひたすら涼しい部屋に引きこもって過ごそう、 そう思っていたのですが……。 祇園祭の時だけ販売されている珈琲豆があると聞いては、 さすがに外出せざるを得ませんでした。 何でもあるな祇園祭……。 お祭り限定とうたいつつ、 ブレンドはブラジル、コロンビア、エチオピアの3種という、 超定番なところが京都らしくて良いですね。 焙煎も、浅くも、深すぎもしない

          TAMAYA COFFEE 「Gion Festival Original blend」

          カフェ・ヴェルディ

          休日に訪れた高島屋、エレベータに運ばれながらぼんやりしていると、案内板にヴェルディの名前を発見し、立ち寄っていくことにした、下鴨にある本店に行ったことはあるが、まさかこんなところにもあったとは、ふらっと立ち寄ると、奥のカウンターからスタッフが現れ、声をかけてくれる、コーヒーを頼もうにも、豆の種類が多くて選ぶのは大変だ、すぐには選べそうもないので、適当な質問を繰り出してお茶を濁す、ブレンドに使っている豆の種類など、丁寧に教えてくれてとてもありがたかった、結局真剣に聞いてしまい、

          カフェ・ヴェルディ

          夏の野のしげみに咲ける姫百合の知らえぬ恋はくるしきものそ 大伴坂上郎女

          知ら「え」ぬ、 苦しきもの「そ」、 端々の言葉遣いに古風な趣を感じるものの、 それ以外は今の私たちが読んでも、なんら違和感なく内容がスッと頭に入ってくるような、ストレートな歌だ。 前半の姫百合の描写が序となり、おそらくは詠み人本人のものであろう、「知らえぬ恋」へと繋がる流れも、断絶をまったく感じさせない自然さで、二つのイメージが渾然一体となっている。 夏の野の「繁み」。 それは夏の盛りを意味し、繁栄や光を思わせる。 しかしその一方で、繁みは陰をも作り出す。 打ち明けら

          夏の野のしげみに咲ける姫百合の知らえぬ恋はくるしきものそ 大伴坂上郎女

          こばこ商店コーヒースタンド

          午前中から図書館へ、休日二日目、着くなりコーヒーが飲みたくなり、読書前の一杯を求めて近隣を散策して見つけた、こばこ商店、コーヒースタンド、こじんまりとしたスタンドだが、そのぶん行き届いた美意識を感じる、整然とした佇まい、カウンターに並ぶ五種類の豆は、右から浅煎り、左に行くにつれて深煎り、どれも一杯五百円、整然としている、右から四番目のブラジルを選択し、淹れていただく、ワインセラーから、コーヒー豆が出てきて痺れる、湯を沸かす薬缶、ポット、グラインダー、一つ一つの道具が、とても美

          こばこ商店コーヒースタンド