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青春は恥と後悔と初恋で作られる。映画『あの頃、君を追いかけた』台湾、2011年。

キャッチコピーは「青春は恥と後悔と初恋で作られる」。まさにそんな感じの映画。九〇年代の台湾。おバカな男子高校生が、優等生の女の子に恋をして、勉強がんばっていい大学に合格して。でも、微妙な女心がわからないので、大学で遠距離になると溝ができてしまい、そのまま喧嘩別れ。初恋が実らないのは、古今東西変わらぬ真理。だからこそ、まぶしいです。

日本のドラマや映画だと恥と後悔を美化して最後はハッピーエンド。でも、この映画はそういう小細工せずに、そのまんまバカ幼稚真剣な青春を描いてこそばゆい。ラストシーンにはボロボロ泣いてしまいました。ええ、もう恥ずかしいくらい。あのラストシーンのあのセリフは、原作者の実体験が元になっているとのこと。驚きです。

誰でも高校生時代には、この映画と同じようにおバカで、若気の至りをくり返していたわけで、そういう黒歴史を通り越して、今があります。思い出すと恥ずかしすぎるから、あの頃に戻りたいわけじゃないけれど、でもあの頃にしかない輝きはわかる……そんなふうに友達と感想を話しながら帰宅しました。

あの頃の未熟な感じは、ホント、人生の折り返し地点に差し掛かってる私たちの年齢には堪えます。2度めは夫と見に行きましたが、夫もかなり気に入って、台湾旅行で自転車ロケ地めぐりまでやったようです。アホっぽいけど、うらやましい。

せっかくなので、「中国語できたら楽しいよ」ってのを宣伝したいとき、この映画を見てもらうようにしました。最初はかったるそうにしている若い子たちが、だんだん真剣に見てくれるようになるのがうれしい。最近は日本でもリメイクされたので、その意味でもアピールしやすいです。

邦題:あの頃、君を追いかけた(原題:那些年、我們一起追的女孩)
監督:ギデンス・コー(九把刀)
出演: 柯震東、 ミッシェル・チェン(陳妍希)ほか
制作:台湾(2011年)110分

2023年、映画『THE FIRST SLAM DUNK』を見たので、そのいきおいで原作の『スラムダンク』も読破したら驚きました。自称天才のおバカ高校生が、好きな女の子のために何かに熱中する、失敗して坊主、っていくつかのフォーマットがものすごく『スラムダンク』的でした。実際、作中にも主人公たちが「井上雄彦は天才」みたいに会話しているし、バスケシーンもよく出てくるし。

他にも『ドラゴンボール』(龍珠)の天下一武道会もどきも出てきて、日本のアニメの影響力のすごさを実感しました。知らなくてもいいけど、知っていると余計に楽しめますよ。令和の時代に『スラムダンク』が映画化されてくれて、本当にありがたいです。


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