イギリス的おくりびと。映画『おみおくりの作法』イギリス・イタリア、2013年
『フル・モンティ』のプロデューサー、ウベルト・パゾリーニが監督・脚本を担当した映画ということで、見てみました『おみおくりの作法』。『フル・モンティ』は1997年公開。失業した鉄工所の男たちが、お金のためにストリップをやるというコメディ。夫(当時彼?先輩??)と劇場で見て、すごくおもしろい映画でした。
一方、『おみおくりの作法』は、日本映画『おくりびと』みたいな、ほっこりした作品なのかなと思っていたら、もっとシュールでした。さすがイギリス。
映画の舞台はロンドン。ケニントン地区の民生係として働くジョンは44歳の独身。彼の仕事は、孤独死した人物の葬儀を行なうこと。事務的に処理することもできるますが、ジョンは几帳面な性格なので、1人1人丁寧に「おみおくり」しています。
ところが、人員整理によってジョンは解雇されることになってしまいます。ジョンの向かいの家で孤独死したビリー・ストークの案件が最後の仕事となるのですが、近くに暮らしていながら、言葉も交わしたことがないビリーの死に、孤独な自分を重ねたジョンは少なからずショックを受け、ビリーを知る人々を訪ねてイギリス中を旅します。
その旅の中で、ビリーはいろんな人に会い、親しくなれそうな人物にも出会うのですが、ドラマチックな展開はありません。ラスト直前の肩透かしみたいな展開も、イギリス的です。日本や中国で似たような映画をつくったら、ラストは絶対泣かせる展開になるだろうに・・・。
そういう意味で、「イギリス映画」としては結構満足できたのだけれど。でも、主人公があまりにも報われなくてかわいそう。せめて、最後にちょっとくらいいい目を見させてあげてもいいのでは!?と思ってしまいます。だって、そうでなくと救いがなさすぎ!
まあ、主人公が自分の仕事を全うできた(彼女と上手くいくかも、という期待に胸膨らませて)っていう状態で人生の最後を迎えられたのだから、彼の人生にとって最高の状態だったといえば、それまでなのかもしれないけれど。
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