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「結婚」を10の言葉に喩えてみた

「結婚するってどんな感じ?」

「一回離婚したのにどうしてまた結婚しようと思ったの?」

「結婚ていいもの?悪いもの?」

こういう質問、いつも言葉に詰まってしまってうまく答えられない。

「難しい質問だねえ」とか、「きっと夫婦の数だけ、形があるんだよ」とか適当に濁してしまう。

「だからどんな形?」

「たとえばどういう?」

「それってどんな感じ?」

もちろんみんなしっくりこない。

私も、結婚する前は同じようなことを聞きたかった。

「後悔しないの?」

「どうやって決断したの?」

「それって幸せなの?」

でも、誰も教えてくれなかった。
「そんなもん人によるだろ」とかなんとか言われて、逃げられて。

こないだも年下の女の子に尋ねられたけど、うまく説明できなかった。
今も具体的な説明が思いつかない。



だから、改めて、わかりやすい言葉で喩えてみることにした。
結婚てどんなものなのか。

※あくまでも、「私の主観」で、ということだけれど。


***


1. 結婚とは、お気に入りの絵画を手に入れるようなもの。

→私は今の彼が大好きで、ずっとそばに置いておきたかったのです。一目惚れと言ってもよかった。毎日毎日何年も見ていたらそりゃ新鮮さは薄れていくけれど、自分の感性に従って選んだ人だから、やっぱり基本、好きなのです。存在自体が。だから、おうちに彼がいると、特に何もしていなくても、大好きな絵が飾ってあるのと同じような感じがするものです。(ここで言う大好きな絵って、シャガールとかモネとかマティスのイメージ。普遍的な名画で、全身全霊をかけて買うやつ)そういうのがお家にあると、ただただ気分がいいというか、彼がいるだけでなんか幸せなのです。
 時にじっくり眺めると新しい発見があったり、歳を重ねるとまた違った解釈があったり。忙しい日々の中でチラッと盗み見て、「うん、やっぱいい」みたいな感じです。(なんか惚気になってしまった)


2.結婚とは、だらしない自分を見えないところに隠しておくこと。

→これはそのまんまですね。一人で生活していた時は、本能のままに食べ、脱ぎ、寝て、好きなだけダラダラしていました。それはそれで楽しかったのですが、健康にもよくないし、精神もただただ怠惰になっていきます。そういう自分のこと、あんまり好きになれなかったような気もする。
 今は彼に合わせて早起きし、掃除をし、夜食はとらず、夏でもきちんと服を着て、休日も軽くメイクして過ごしています。散らかし過ぎないよう意識していますし、食器はすぐ洗いますし、常にシャンとしています。「見られている」緊張感。正直窮屈ではありますね。だらしない本来の自分は、どっかに隠してあります。実家に帰った時とか、彼がいない時だけ引っ張り出してきて再会します。ちょっと寂しいけど、まあ必要な犠牲かと。


3.結婚とは、秘密の箱に厳重な鍵を持つこと。

→夫婦になると、恋人同士だった時よりも、相手に対してずっと重い責任を負うことになります。この関係を守るために、相手に知られたくないことはもう一切漏らさない、見せない努力が必要になると思っています。私の場合は、お店のこととか、お客様との関係とか、その他もろもろなわけですけど。これはもう中途半端に漏らすわけにいかないので、墓場まで持っていく覚悟です。めちゃくちゃ気をつけてます。勿論隠し事しないのがいちばんでしょうが、私という人間には無理なので、せめて隠し通します。


4.結婚とは、無為な時間を鮮やかに彩る絵の具のようなもの。

→例えば、一人で過ごす休日。布団から出られず、特に用事もなく、ただ食べて、眠るだけの時間がとても虚しく感じて。1日の終わりに、「自分はいったい何をやってるんだろう」と自責的になることがよくありました。
 でも、同じ1日を一緒に過ごす彼が隣にいるだけで、その時間は不思議なくらい価値のある、質の高い、充実したものになります。どんな過ごし方をしても後悔がない。特別なことをしなくても、ただ一緒にその辺を散歩して、季節の草花を見て、空や雲や散歩中の犬や景色を見て、お料理をして、お昼寝をして、「平和な週末だったね」って夜を迎える。そのなんでもない1日を、大切なものとして慈しむことができます。“一緒に過ごす”というだけで、思い出に豊かな色がつくんですね。これってすごいことです。


5.結婚とは、止められない時間の川の中、誰かと手を繋ぐようなもの。

→これは上の絵の具とちょっと似てますが、ひとりで生きていた時、時間の流れ早すぎることが心底怖かったんですね。1ヶ月、1年があっという間に過ぎて、どんどん歳をとって。そうやってただただ時間の渦に流されて死んでいくのが、怖くて悲しくて仕方なかった。ものすごい虚無感に潰されそうでした。
 でも彼と一緒に生活するようになって、隣で彼の小さな日々の変化を見守りながら、一緒に年老いていくことを思うと、「こうやって生きて、日々老いて、死んでいくのも悪くないな」と。そんな風に、時の流れを受け入れられるように思うわけです。まだまだ怖いけど。でも、深い深い穴の中に、手を繋いで一緒に落ちていく人がいる。そういう救いがあります。彼となら、可愛いおじいちゃんおばあちゃんになれるような気がするんですね。


6.結婚とは、美味しいものを食べた瞬間、相手のことを思い出すこと。

→これもそのまんまですね(恥)。レストランとか行って、「あっこれ美味しい」って思うと、自動的に「彼にも食べさせたいな」と思うわけです。彼も食べ物が好きな人なので。自分だけがいいものを食べていると彼に申し訳ないとか思うわけです。珍しいお土産をもらったらその場で食べないで持って帰るし、美味しいものをいただいたらいやしくも2つ、無理なら自分の半分でも持って帰ろうとします。


7.結婚とは、互いの社会的な鎧を脱いでいくこと。

→付き合っていた時は、「学歴」「キャリア」「容姿」「金」「ブランド」とか、互いにチャラチャラ飾り立てていました。それが武器みたいに思っていたんでしょうね。相手の優位に立てると思って。
 でも結婚したら、そういうのは全部「外のこと」で、まったくどうでもよくなってしまいました。「うちの旦那さんは〇〇ですごいんです」って人に自慢するわけじゃなし、うちはお金も別々なので、もう関係ないんですね。
 日々の生活の中にある、ユニクロのスウェット姿の相手が全てです。相手にとっての私もそうです。こうなるともう、社会的な付加物ってあまり意味を成さないです。それよりお料理美味しくつくれるとか、楽しい遊びを発見するとか、お掃除こまめにできるとか、素敵な生活用品を見つけてくるとか、気持ちの良い生活のために貢献することが価値を持つようになります。

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