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三秋縋と私

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存在に輪郭を与える寒さ(三秋縋スターティング・オーヴァ書評)

存在に輪郭を与える寒さ(三秋縋スターティング・オーヴァ書評)

 この文章は投稿日にかかわらず、2023年のクリスマス後、12月の末に書かれたものになります。皆さんはどう過ごしましたか?大学1年の私は、ホールケーキなんかを買うことはなく、凍えながら海を見たり、アルバイトのことを考えたりしながら過ごしました。
そうしているうち、サンタさんーーーーーアンチサンタクロースのことを思いだしてこれを書こうと思いました。

この記事には三秋縋・スターティング・オーヴァーの

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君の煙草の匂いになりたかったんだ、私は。

君の煙草の匂いになりたかったんだ、私は。

煙草は全部未熟な私の憧れだった。
私の神様は皆煙草を吸っていた。神様は実際には居なくて、みんな小説の中とか、漫画の中にいて、居たんだ。確かに。

私は今17歳、もうすぐ18歳になって、周りの子達に比べて遥かに子供っぽいのだと思う。受験勉強に集中しないで、こんな文章を書いているし。煙草に憧れることだってきっと中学を卒業する頃に卒業するべきなんだと思う。

リリイ・シュシュのすべてみんなみたいな感情に

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げんふうけいの貴方へ

げんふうけいの貴方へ

好きになったお兄さんは、ショートホープを吸っていた。それはインターネットで公開されて、今も電子空間をふわふわと漂っている文章に出てくるお兄さんの吸ってる煙草の銘柄とおんなじだった。
私は、最初にインターネットに出会った13歳から17歳、高校生を終えてしまうまでの、インターネットの男の子やお兄さんへの憧れとか、恋とかに小さな小さな決着をつけようとしています。

私が生まれたのは平成16年、ゼロ年

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感傷マゾになりきれない

感傷マゾになりきれない

だって私は、未だに湯上瑞穂も天谷千尋もクスノキもみんないると思っている。東北のどこかで、近畿の田舎で、或いは東京の誰も見てないような路地裏でそれぞれまだ物語を紡いでいると思っている。それが私に見えていないだけで。

こんな夏を、部屋から出ないで、夜は不安で眠れない癖して昼間に馬鹿みたいに寝て、誰とも会わずに妄想だけする夏を救ってくれるのは私よりも悲惨で残酷な日々を送っていた人の悲惨なままの生活にお

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三秋縋と現実、自分のこと

三秋縋と現実、自分のこと

三秋縋という作家が好きです。新刊が実は何年も出ていないから新しいやつが全然読めていない。新刊、まだかな。

私の中で三秋縋は小説家というよりもインターネットの人(2chとか)という印象がある。これは読書経験の浅さから来ているものなのかもしれないけれど、ストーリーはしっかりしてるけれど思い浮かぶのは登場人物の言葉だったり街とかの風景だったりする。何気ないツイートだったり、画像検索でヒットした写真だっ

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三秋縋 煙の街を読んで

三秋縋 煙の街を読んで

げんふうけい名義で上がっている小説の中で一番好きなのがこのお話。喫煙者のお兄さんが異世界にとばされて、一人寂しく暮らしていたところに現れた女の子と一年だけ暮らして結局女の子が消えちゃって終わるのだけれど。

このお話に出てくるお兄さんの口調や話し方に衝撃を受けた。中二でした一目惚れと同じような感じだったけれどそれよりも強かった気がする。大切な人がいたらきっとこんな話し方をして、こんな態度をとる

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私が好きになる人はなんですぐいなくなっちゃうんだろうって零したあの娘の行方を知りたい

私が好きになる人はなんですぐいなくなっちゃうんだろうって零したあの娘の行方を知りたい

三秋縋さんのいたいのいたいのとんでゆけに出てくる隣の部屋の美大生の女の子、三枝栞。

私はあの子が大好きだ。彼女のなかにある影とか、どうしても主人公になれない、どこか一歩引いている寂しさが自分に似ている気がする。主人公はヒロインは正面から見ることが多い気がするけどあんな感じの横顔ばっか見て、あんまり顔が思い出せないような人間になりたいんだと思う。主役は荷が重くて、無意識に避けてしまうような人間だか

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Twitterで三秋縋で検索することが数少ない他人との繋がりな人間を探してる

Twitterで三秋縋で検索することが数少ない他人との繋がりな人間を探してる

Twitterの検索履歴の上位には常に三秋縋 三秋さん 三秋 新刊 などのワードが並ぶ。あとはちょっと話すフォロワーさんの名前くらい。正直日常生活において話す人が極端に少ない上、話す人とそこまで趣味が似ていないような状況だから、自分の好きなことについて誰かと話したりすることは不可能に近い。

本当に情けないとも思うし、小説のヒロインだったらきっとこんな事してないんだろうも思いながら自分と同じ状況

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