なぜ君は医者に。

初期臨床研修医、医学生のあなたへ。 番外編として、医学部受験生にもメッセージを送ります。

なぜ君は医者に。

初期臨床研修医、医学生のあなたへ。 番外編として、医学部受験生にもメッセージを送ります。

記事一覧

紹介状の書き方・電話コンサルトのポイント(初期研修医向け、私信)

 紹介状もコンサルトも、カルテと同様医者が作成する文書であるから、 ・医学的かつ論理的に分析し、 ・それを簡潔で明瞭、論理的に記載する ことは必要条件である。その…

働き方改革によって医者・医療のレベルは低下する。

*本記事では医療職の内、医師について言及する。    医師の重労働は以前から問題視されてきた。そして近年妙に推進されている「働き方改革」が医療にも及び、2024年4月…

カルテの書き方(私信)

 病歴要約(サマリー)については内科学会がネットで指針を公表している。これは入院時カルテ作成の参考にもなろう。  カルテの書き方についてもネットや本に多く見受け…

初期研修病院の選び方 パート4 (病院の自己アピールからの判断する&最近の日本語の乱れについて)

 私が書きたかった内容は過去の記事で概ねすべて書いた。前半はその焼き直しに過ぎないかもしれないが、ご容赦いただきたい。後半は一見医療と関係なさそうにみえるかもし…

初期研修病院の選び方 パート3(&どういう初期臨床研修をすべきか)

 出オチで恐縮だが、上記内容について書きたいことはこれまでのブログにほとんど書いた(分散していて申し訳ない)。よって本記事はその補足程度のものである。 初期臨床…

「教えてもらう」の意味は、社会人と学生で全然違う。 ―優しく教えてもらえるなどという幻想―

 社会人・専門家になっても「教えてもらう時は優しくしてもらって当然」と思っている輩がいる。以前の記事でも触れたが、まったくの誤解であり、個人的にあまりに目に付く…

インフォームドコンセントに対する、初期研修医にありがちな(?)誤解

 インフォームドコンセントという単語は医学生のうちに必ず覚えるし、なんなら受験生でさえ面接対策で勉強し知っていることもある。文字通りに説明すれば、医療をおこなう…

番外編2:本当に医者になりたいか?後悔しないか?

研修医一年目の誕生日のこと (一部改変、というか記憶が曖昧)  午前0時、年齢が増えた。この時自分は病院のデスクで重症心不全の治療について勉強していた。集中治療室…

番外編:医学部受験生は、どの大学を受験すべきか

 番外編と題し、今後もたまに医学部受験生向けの記事もアップします。少しでも受験生の参考になればと思います。 *本記事では、国立大学の前期試験にフォーカスします。 …

初期臨床研修では社会常識、礼儀、マナーも学ぶべし ―ハイポ病院では社会常識までも身につかない可能性―

 人のことを言えたものではないが、失礼で態度の悪い初期研修医がいる。具体的には、先輩(というか私)に対して逆ギレしてくる奴がいる。一般に無礼・態度が悪い医者とい…

初期研修病院の選び方 パート2

 前回の記事で書き忘れたことを早速思い出した。また忘れないうちに記すことにした。それと、以前に予告していた内容も一部記す。 友人と同じ病院を選ぶことについて(意…

初期研修病院の選び方 パート1

 巷には、どういう病院を選ぶかという基準について様々な噂が流れている。当然ながら万人に共通する正解は無いし、また理想を完全に満たす病院は存在しないかもしれない。…

そもそも初期臨床研修はなぜ重要なのか?

 簡単に言えば、自己紹介の記事で書いたように、初期研修内容によって医者としての実力が如実に変わるからです。ハイポ病院の研修医とハイパー病院の研修医では、実力に天…

自己紹介と、本ブログの趣旨

*当ブログは医者・医学生向けの、”内輪ネタ”を扱います。内輪ネタゆえ、非関係者からは不適切、不謹慎に見える表現を使用します。医療の非関係者にはブラウザバックを推…

紹介状の書き方・電話コンサルトのポイント(初期研修医向け、私信)

 紹介状もコンサルトも、カルテと同様医者が作成する文書であるから、
・医学的かつ論理的に分析し、
・それを簡潔で明瞭、論理的に記載する
ことは必要条件である。その上で、紹介状・コンサルトそれぞれの特徴を確認する。

1.紹介状の書き方
 まず、院外(他院)への紹介か、院内(他科)への紹介に場合分けする。

1-1.紹介先が院外か院内か

 一般的に院外が院内と異なるのは、
・(電子)カルテを共有し

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働き方改革によって医者・医療のレベルは低下する。

*本記事では医療職の内、医師について言及する。
 
 医師の重労働は以前から問題視されてきた。そして近年妙に推進されている「働き方改革」が医療にも及び、2024年4月、すなわち再来年度から「医師の働き方改革」がスタートするという。

 確かに医者の労働環境は過酷である。中堅どころかベテランになっても長時間労働・休日出勤をし肉体的にも精神的にもキツい仕事であり、「働き方」を見直すこと自体は結構である

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カルテの書き方(私信)

 病歴要約(サマリー)については内科学会がネットで指針を公表している。これは入院時カルテ作成の参考にもなろう。

 カルテの書き方についてもネットや本に多く見受けられるが、私なりにも書こうと思う。ダメ研修医による悪い見本を提示することが、当辛口記事(ブログ)の特徴である。

 もちろん私のストレス発散のために書くわけではない。カルテを軽視しているハイポ研修医が目に付くからである。カルテはただのメモ

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初期研修病院の選び方 パート4 (病院の自己アピールからの判断する&最近の日本語の乱れについて)

 私が書きたかった内容は過去の記事で概ねすべて書いた。前半はその焼き直しに過ぎないかもしれないが、ご容赦いただきたい。後半は一見医療と関係なさそうにみえるかもしれないが、若い人の記事・発表で「変な日本語」が散見され気になるので記載する。

病院の自己アピールで、「初期研修に向いてない病院」だと感じさせる文言例 病院に限らず一般企業もそうかもしれないが、自己PR内容と実情は必ずしも一致しない。「ホワ

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初期研修病院の選び方 パート3(&どういう初期臨床研修をすべきか)

 出オチで恐縮だが、上記内容について書きたいことはこれまでのブログにほとんど書いた(分散していて申し訳ない)。よって本記事はその補足程度のものである。

初期臨床研修では「小規模」病院は避けるべし

 以前に、都市部より地方の病院が初期研修に向いていると書いた。だが過ぎたるは猶及ばざるが如し、「小規模」な病院は避けた方が良い。

規模の目安として、研修医の募集人数を確認しよう。一年で一人とか二人と

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「教えてもらう」の意味は、社会人と学生で全然違う。 ―優しく教えてもらえるなどという幻想―

 社会人・専門家になっても「教えてもらう時は優しくしてもらって当然」と思っている輩がいる。以前の記事でも触れたが、まったくの誤解であり、個人的にあまりに目に付くため改めて記事にすることにした。

 「教える時は優しくすべきだ」という主張には一理あるし、怒られて気分がいい人はそういないだろうし、怒鳴りつければ良いというわけではない。しかしだからといって、教えてもらう側が注意された・怒られた際に「優し

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インフォームドコンセントに対する、初期研修医にありがちな(?)誤解

 インフォームドコンセントという単語は医学生のうちに必ず覚えるし、なんなら受験生でさえ面接対策で勉強し知っていることもある。文字通りに説明すれば、医療をおこなうにあたり患者やその家族に説明(インフォームド)し、納得・同意(コンセント)してもらいましょうということである。要は医療行為、特に重要な事柄についてはちゃんと話をしましょう、ということである。

 昔は極端に言えば、「医者のやることには黙って

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番外編2:本当に医者になりたいか?後悔しないか?

研修医一年目の誕生日のこと
(一部改変、というか記憶が曖昧)

 午前0時、年齢が増えた。この時自分は病院のデスクで重症心不全の治療について勉強していた。集中治療室の入院患者を主治医として診ており、自分がちゃんと勉強して治療しないと患者が死んでしまうからだ。もっともどれだけ治療しても救命できる見込みは少なかった。しかしだからといって匙を投げるわけにはいかない。午前1時ごろに病院で寝た。

 午前5

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番外編:医学部受験生は、どの大学を受験すべきか

 番外編と題し、今後もたまに医学部受験生向けの記事もアップします。少しでも受験生の参考になればと思います。
*本記事では、国立大学の前期試験にフォーカスします。
*歴史的な経緯など諸々、厳密には多少語弊があるかもしれません。わかりやすくするためですので、ご了承ください。

前置き

 さて、医学部は国立大学だけでも約50ほどありますが、その内どこを受験すべきでしょうか。実家からの距離や偏差値、試験

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初期臨床研修では社会常識、礼儀、マナーも学ぶべし ―ハイポ病院では社会常識までも身につかない可能性―

 人のことを言えたものではないが、失礼で態度の悪い初期研修医がいる。具体的には、先輩(というか私)に対して逆ギレしてくる奴がいる。一般に無礼・態度が悪い医者といっても、先輩にはこびへつらうが後輩やコメディカル、患者には偉そうな医者、あるいは、本人は気を使っているつもりだがズレている医者というパターンもあるが、本記事では「若いくせに目上に敬意を払わない社会常識に欠けた医者、とくに注意された際に逆ギレ

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初期研修病院の選び方 パート2

 前回の記事で書き忘れたことを早速思い出した。また忘れないうちに記すことにした。それと、以前に予告していた内容も一部記す。

友人と同じ病院を選ぶことについて(意識が高い人と研修できる環境かどうか)

 一人くらいならまだしも、仲良し同士何人も集まって研修するのは勧められない。その全員が切磋琢磨し自己研鑽に努めるのならよいが、悪い意味で馴れ合い、だらけてしまうおそれがあるからだ。学生時代のグループ

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初期研修病院の選び方 パート1

 巷には、どういう病院を選ぶかという基準について様々な噂が流れている。当然ながら万人に共通する正解は無いし、また理想を完全に満たす病院は存在しないかもしれない。第一本記事は小生の経験をもとにしているのでエビデンスレベルは低い。そうはいっても、学生の想像よりかはマシだと思うので、参考までに記すことにした。

都会か地方か、そして病院の規模について 私は地方を推す。地方の2.5(〜3)次救急を担うハイ

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そもそも初期臨床研修はなぜ重要なのか?

 簡単に言えば、自己紹介の記事で書いたように、初期研修内容によって医者としての実力が如実に変わるからです。ハイポ病院の研修医とハイパー病院の研修医では、実力に天地の差がつきえます。もちろん個人差はあり、そもそも主観・個人的な経験上での話ですが。とはいえ、これらに相関があっても不思議ではないでしょう。

 なぜ当然に思われる話をするかというと、「初期研修は別に重要ではない」と主張する人がいるからです

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自己紹介と、本ブログの趣旨

*当ブログは医者・医学生向けの、”内輪ネタ”を扱います。内輪ネタゆえ、非関係者からは不適切、不謹慎に見える表現を使用します。医療の非関係者にはブラウザバックを推奨します。

 私は地方の若手医師です。地方にある多忙な中核病院(いわゆるハイパー病院・野戦病院)で初期研修を終えました。その後別の病院で勤務したところ、そこの研修医にびっくり仰天。ハイポ病院(初期研修医にとって仕事が少なく楽な病院)だから

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