番外編:医学部受験生は、どの大学を受験すべきか

 番外編と題し、今後もたまに医学部受験生向けの記事もアップします。少しでも受験生の参考になればと思います。
*本記事では、国立大学の前期試験にフォーカスします。
*歴史的な経緯など諸々、厳密には多少語弊があるかもしれません。わかりやすくするためですので、ご了承ください。


前置き


 さて、医学部は国立大学だけでも約50ほどありますが、その内どこを受験すべきでしょうか。実家からの距離や偏差値、試験問題の傾向・配点はおそらく皆が考えているでしょう。もちろんそれも大事でしょうが、大学の、そしてその医学部の持つ力(ちから)も考慮すべきです。これは偏差値とは別です。では、持つ力とは何でしょうか。簡潔に言えば、研究レベルの高さ、人事権の強さです。

 旧七帝大はご存知でしょう。東大、京大、東北大、九州大、北大、大阪大、名古屋大(設立順)ですね。この七校は要するに歴史が長く実績があり、それゆえ国から予算が多く拠出され、研究に力を入れ成果をあげています。

ここで注意してほしいのは、「いや自分は研究者じゃなくて臨床医志望だから関係ない」というのは間違いということです。研究には基礎研究と臨床研究があり、個人差はあれど臨床医も研究に携わります。したがって、より研究レベルの高い大学に入った方がよいということです。

 そして旧七帝大、もとより歴史のある大学は、その歴史が長いほど強い人事権を掌握しています。「関連病院」というのですが、病院ごと(あるはその科ごと)にたいてい、どこ大学(の医局)出身の医者が派遣され働くかが決まっています。そして歴史のある大きな・主要な病院は歴史のある大学の関連病院であることが多いです。当たり前ですね。そして、この「勢力範囲」は県境を超えます。今でこそ都道府県ごとに医学部がありますが、そうではなかった昔、医学部のない県の病院には他県の病院から医師が派遣されていたわけです。当たり前ですね。例えば、兵庫県に「神戸市立医療センター中央市民病院」という大きな病院があります。ここは神戸大学の関連病院でしょうか?いいえ、京大の関連病院です(たしか)。

 現在では都道府県ごとに医学部が設立されたため、「以前は○○大学の関連病院だったが今では地元の大学から医師が派遣されている」といったケースはよくあります。また年月を経て色々制度が変わり、病院内に様々な大学出身の医者がいるということもあります。しかし、それでも歴史ある大学のパワーが無くなったわけではありません。旧帝大出身の方が出世しやすいだとか、イヤな話かもしれませんが、実際にそういうことはあります。「出世するために医者になったんじゃない」という主張は正しいですが、自分よりも出身大学が上というだけで出世した上司がおり、その部下として働くのはストレスにならないでしょうか?

 というわけで、歴史のある大学ほど医者になってからのアドバンテージが大きいのです。


歴史のある大学「ランキング」


 前置きはこれまでにして、歴史のある大学をお伝えしましょう。大雑把に、国立大学医学部は四種類に分けられます。旧帝大、旧制医科大学、旧医専、新設医科大学がその目安です。旧とついている通り、これは昔の分類であり今では旧帝大くらいしか使用されていない言葉ですが、医学部を歴史的に分類できその力を概ね反映しています。詳しくは河合塾のウェブサイト(https://ishin.kawai-juku.ac.jp/university/history/)やらWikipediaなどをご覧ください。

 最上位ランクが旧七帝大というのは当然として、第二ランクにあたるのが

千葉大、新潟大、金沢大、岡山大、長崎大、熊本大(なお慶応大もここに位置します。)

です。肉親に医者がいる場合を除けば、多くの受験生が知らないことではないでしょうか。今はネット社会なんでそうでもないかもしれませんが、私が高校生の頃、周りの医学部志望は大抵、上記の情報を知っていませんでした。それを思い出し、今回記事にしてみました。もちろん、地域医療に貢献したい、地元で役に立ちたいといった理由で地方の新設校に行くのは立派なことです。重要なのは、どう結論付けるにせよ、上記の情報を加味した上で判断いただければ、将来後悔する可能性が減るのではないか、ということです。


おまけ:大学の立地


 「田舎がイヤで都会に住みたいから、都市部の大学を志望する」という釘崎派の方に二点注意があります。

 一点目は先程記載の通り、医学部の歴史(力)を考えると、都会の大学が必ずしもレベルの高い大学とは限らないからです。大学出身者に怒られそうなので、具体例は一つだけにします。
例:東京医科歯科大学<千葉大学

東京医科歯科大学の方が千葉大学より、入学試験の偏差値は高いです。それは東京の人口が多いこと、都会志望者が多いことを反映しているのでしょう。東京医科歯科大学の方が学生時代は楽しく遊べるかもしれませんが、医者になった後はどうでしょう。東京には東京大学がドシンと構え、慶応義塾大学も幅をきかせており、少なくともこの二大学からは相対的に「格下」という扱いを受けます。個人的には、そんな学力があるなら歴史のある大学に行った方が良くないかと思う次第です。東京医科歯科大学に恨みがあるわけでも悪口を言っているわけでもありません。大学を悪く言っているわけではなく、「東京にあるから」という理由だけで志望・受験するのはどうかと主張しています。

 二点目は、新しい大学は郊外に建てられる傾向にあるということです。新設する際、町中は土地が余っていませんから郊外に、となるわけです。当たり前ですね。神戸大学も横浜市立大学も、町の中心部から離れたところにあります。どれくらい離れているかというと、電車で何駅も離れています。「横浜に住めると思って受験し合格したのに、大学が海の方にあるなんて聞いてねぇよ(泣)」という人がいたらしいです。


以上





 

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