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詩/散文

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この感情のない文字ばかりが溢れる半透明の世界に自分の言葉をぽつりと置くのに違和感を感じたので、投稿を辞めた。ただ詩作自体は今も変わらず続けている。 私は矜持や虚栄心のためではなく…
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#オマージュ

【詩】 無題 2024年2月16日作

【詩】 無題 2024年2月16日作

彼らの目が、
私をみた。

心の目が、彼らに訴えかけて、
やめた。

彼らは私をおいて
扉の向こうへと駆けていった。
彼らの急ぐ先には破滅しか待っていないことも知らずに。

私は扉を閉め、
鍵を掛けた。
あの穢れた笑い声が聞こえることはもうない。
私は彼らとは反対の方角へと歩き出す。
確かな足どりで、未踏の地へと歩を進めていく。

茂みを分けて踏み入る山。
光は遠いが、
そこに溢れているのだから。

【詩】 扉 2024年2月7日作

【詩】 扉 2024年2月7日作



私は歩いている。
ものすごい速度で歩いている。

どうやって抜けてきたかもわからない道が
後ろに続いている
暗闇の中に何があったか、
どうやってそれらを通り過ぎていったのか、
私は最早覚えていない

「さらに奥に、さらに高く」

私は歩いている。
疲れる気配もなく歩いている。

すべての虚構と欺瞞と悪夢を
ゆっくりと閉ざされていく扉の向こうに残したまま、
私は迷いなく鍵をかける。

「さらに

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【詩】無題 2024年1月2日作

【詩】無題 2024年1月2日作

私はあなたの名前も顔も知らないけれど
覚えている、私たちがアンドロギュヌスだったこと
私達は引き裂かれた半身をずっと探していること
異なる躰に入っている同一の魂だということ
だから、どんなに過去に押し潰されそうでも、
生きて、生き延びて、私に会って。
貴方が教えてくれたように私達は独りではないから
眩しい貴方の光に届くように
私はこの暗闇から起き上がる
丁度16時間前私が送った時間ではなく
私の過

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