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2408企画「恐怖」

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#恐怖体験

飛んで火に入るなんとやら

飛んで火に入るなんとやら

 蜘蛛がいた。

夜も更けてきたこの日、家で小説を書いていた私は、何やら気配を感じて振り返った。すると寝室のカーテンに、1匹の蜘蛛が止まっているではないか。

無論、道産子の私は昔から虫が平気だ。子供の頃はよく、虫かごを肩に掛け、虫網を手に持ってはトンボや蝶を追いかけ回していた。だから今も、足長蜘蛛くらいなら素手で掴んでポイっと外に放り投げられる。それくらい、虫は平気なのだ。

だけどこの時の蜘蛛

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押し入れの中の不意打ち

押し入れの中の不意打ち

今月も、Webライターラボの以下の企画に参加します!

8月のコラムのテーマは「わたしの恐怖体験」。

暑い日にぴったりの、背筋が凍るような恐怖体験(?)をお届けします。

では、さっそく本編をどうぞ!

***

あれは、私が一人暮らしを始めて間もない、21歳のときのことだった。

何もかもが新鮮で、自分だけの空間に心が弾む日々。しかし、その幸せな日常は、ある出来事によって一変する。

当時住ん

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2024年の夏の恐怖

2024年の夏の恐怖

「終わったわ、私」

今日だけは、絶対に絶対にやっちゃいけない類の失敗だった。福岡に飛べない事実を突きつけられ、巣から落ちたヒナのように絶望した私は、ごめんなさいごめんなさいと、息子への謝罪で頭がいっぱいになる。



「お客様、大変申し訳ございません。たった今、こちらの便は離陸しましたので、ご搭乗手続きはできません」

40年生きてきた私の人生の中で、最も恐ろしい出来事が起こった。
予約してい

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人生でいちばん不気味なできごと

人生でいちばん不気味なできごと

一駅なら歩いた方がいい。すぐ降りるのにもったいない。

区間にもよるけれど、5分くらいなら歩く。調子がよければ、二駅分歩くこともあった。我ながら元気だ。歩くのが好きだったのだ、前は。

***

大学4年の夏、授業が終わった18時半頃。
時間は遅かったけれど、二駅先の家までいつものように歩くことにした。

夏とはいえ、陽が落ちて辺りが薄暗くなり始めていたので、暑さはない。

大通りから一本入った道

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わたしの?恐怖体験

わたしの?恐怖体験

今回はWebライターラボのコラム企画への参加記事です。
テーマは「わたしの恐怖体験」。

今年の5月にWebライターラボに入会したわたしは
オーナー中村さんのVoicyで
メンバー限定のnoteコラム企画がはじまったことを知った。

でも5月の入会は下旬。
5月の企画には参加できなくて、
6月からいそいそと参加中。

しかし8月は、
テーマが発表されてからお盆休みも含めて、
いくら頭を悩ませても一

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わたしの恐怖体験

わたしの恐怖体験

一人暮らし女性の一番の恐怖は、
突然の訪問者です。

ある夜、図書館から帰って来ると玄関の前に訪問者がいました。

全身黒づくめで、手足が長い。
がっしりとした体型。
見るからに屈強そうな見た目。

そして私が通常認識しているものより、10倍くらい大きい。
手足が沢山ある。

見た瞬間、ブワッと鳥肌が立って逃げ出しました。

玄関の前に、ものすごく大きな蜘蛛が巣を作っている!
玄関の横幅半分は隠れ

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