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#恐怖体験
飛んで火に入るなんとやら
蜘蛛がいた。
夜も更けてきたこの日、家で小説を書いていた私は、何やら気配を感じて振り返った。すると寝室のカーテンに、1匹の蜘蛛が止まっているではないか。
無論、道産子の私は昔から虫が平気だ。子供の頃はよく、虫かごを肩に掛け、虫網を手に持ってはトンボや蝶を追いかけ回していた。だから今も、足長蜘蛛くらいなら素手で掴んでポイっと外に放り投げられる。それくらい、虫は平気なのだ。
だけどこの時の蜘蛛
押し入れの中の不意打ち
今月も、Webライターラボの以下の企画に参加します!
8月のコラムのテーマは「わたしの恐怖体験」。
暑い日にぴったりの、背筋が凍るような恐怖体験(?)をお届けします。
では、さっそく本編をどうぞ!
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あれは、私が一人暮らしを始めて間もない、21歳のときのことだった。
何もかもが新鮮で、自分だけの空間に心が弾む日々。しかし、その幸せな日常は、ある出来事によって一変する。
当時住ん
2024年の夏の恐怖
「終わったわ、私」
今日だけは、絶対に絶対にやっちゃいけない類の失敗だった。福岡に飛べない事実を突きつけられ、巣から落ちたヒナのように絶望した私は、ごめんなさいごめんなさいと、息子への謝罪で頭がいっぱいになる。
*
「お客様、大変申し訳ございません。たった今、こちらの便は離陸しましたので、ご搭乗手続きはできません」
40年生きてきた私の人生の中で、最も恐ろしい出来事が起こった。
予約してい
人生でいちばん不気味なできごと
一駅なら歩いた方がいい。すぐ降りるのにもったいない。
区間にもよるけれど、5分くらいなら歩く。調子がよければ、二駅分歩くこともあった。我ながら元気だ。歩くのが好きだったのだ、前は。
***
大学4年の夏、授業が終わった18時半頃。
時間は遅かったけれど、二駅先の家までいつものように歩くことにした。
夏とはいえ、陽が落ちて辺りが薄暗くなり始めていたので、暑さはない。
大通りから一本入った道