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詩集

159
現代詩をいくつかまとめた詩集です。どんな人にも届くように軽めでわかりやすいものを集めたつもりです。週に数回更新されます。
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#オールカテゴリ部門

【現代詩】世界に刃を向けたとき

【現代詩】世界に刃を向けたとき

何かに不満を抱いたとき
心が少し尖っていて
誰かに切っ先を向けている
世界に刃を突き立てている

その刃をそっとしまえるか
振り回してしまうか
世界だけでなくあなたをも傷つけるか
きっとそれは紙一重

誰かに大切にされた記憶
誰かを大切に思った記憶
誰かとの絆が
世界との絆が
あなたを守ってくれる

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【現代詩】段ボールの温もりから教わった

【現代詩】段ボールの温もりから教わった

僕が手にする段ボールは
いつも何かの役目を終えて
自由になったダンボールだった

段ボールの役目が何だったのか知らない頃から
表面に書かれた文字から読み取れるようになる頃
それがリサイクルされると知った頃
時は移れどいつでもダンボールは新しい何かを僕にくれた

いたずら書きのキャンバスとして
草そりとして
安価な舞台道具の素材として
夢を閉じ込める器として

何か で あることよりも
何か に な

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【現代詩】非日常に焦がれなくとも

【現代詩】非日常に焦がれなくとも

非日常な体験も
繰り返すことで日常に取り込まれてゆく
いちばん初めに感じた心の動きを
再度追い求めてもそれは叶わない

だけど悲しむことはない
この世界という多面体は
君がある一面を見つめているうちに
言葉では語り尽くせない変化を
別の面で遂げているのだ

そしてそれは君も同じで
日々新しくなつてゆく日常を生きてゆくのだ
無限の組み合わせが創り出す未来は
退屈なんてしていちゃもったいない

※新た

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【現代詩】自由な強さを手に入れよう

【現代詩】自由な強さを手に入れよう

完璧という状態は
思いのほかもろさも内包している
慢心して危険に近づいたり
ほんの少しの綻びにもイライラしたり

目的を見失い
自ら弱くなろうとしている
そんなふうにすら見える

誰もあなたに完璧を求めてなどいない
あなたもあなたに求めることはない
地図を見ないで旅をするように
自由な強さを手に入れよう

【現代詩】曇りはあれど胸を張る

【現代詩】曇りはあれど胸を張る

おそらく多くの人が
自分の人生に一点の曇りもないとは言えないだろう
振り返れば思わず顔を覆ってしまう
そんな選択や出来事にあふれている

だから大丈夫
いまさらひとつふたつ増えたところで
ただの誤差でしかない
縮こまっておとなしくなんてしなくていい

挑んだ後に浮かぶ
全てを包み込む笑顔は
欠点を隠すためにあるんじゃない
人生に胸を張るためにあるのだ

【現代詩】世界を行く速度

【現代詩】世界を行く速度

自分の知る世界の広がりの速度は
その外の世界の広さに比べれば
遅々としていて
永遠に追いつくことはないように思える

けれどそれでいい
嘆くことも恥じることもない
ちっぽけに思えてもそれが適正サイズだから
世界を行くのに過不足などない

光合成のおこぼれにあずかって
適度に酸素をいただく僕らの旅には
似つかわしい速度がある

【現代詩】自分を笑うことでまた挑むことができる

【現代詩】自分を笑うことでまた挑むことができる

失敗したくなければ
新しいことになど挑まなければいい
それでもなお
挑戦したから得られたものがある

失敗をすること
無様な姿をさらすこと
他人のそれを笑うことは論外だが
自分を笑うことでまた挑むことができる

表面的に上手くやろうとするだけでは
深く理解することはできない
遠回りの道でも
転んでばかりでも
失敗の数だけ
血となり肉となる経験が得られる

【現代詩】よき観客でいること

【現代詩】よき観客でいること

楽しみにしていた未来が
大きな流れによって吹き飛び
哀しいのは自分もだけれど

その準備をしてくれていた方々の
落胆もいかばかりかと推察する

それでも立ち上がろうと
再び届けようと
奮戦するその姿に
エンターテイメントの力を感じ
心震える

それに応える
よき観客でいることが
私の小さな誇りだ

【現代詩】出ちゃった結果は受け入れるしかない

【現代詩】出ちゃった結果は受け入れるしかない

出ちゃった結果は受け入れるしかない
次々結果はでてくるんだから
ずっと立ち止まってはいられない

不本意でも納得でも
その過程においてできたこと
できなかったことはあるだろうけれど

この先できることは
難しいときでも
落ち着いて
自分に素直でいようとすること
そのままの自分で進んでいくこと
それが全て

【現代詩】いいのかと問うている自分へ

【現代詩】いいのかと問うている自分へ

劇場とは猥雑な場所である
その構造が狭ければ狭いほど
さらにその度合いは増す

そこには頼もしさがある
いい子でいることを求められる風潮に立ち向かう気概がある

誰かを傷つける嘲笑とは真逆の意図による
腹の底からの笑いがある

勝手に自粛した倫理観を押し付けたり
安全地帯からの正義感を振りかざす者はいない
いいのか いいのだ
自分で決めるのだ

【現代詩】それでも生きてゆくしかない僕たちのために

【現代詩】それでも生きてゆくしかない僕たちのために

街にはべったりと嫌なことがこびりついていて
隙間をぬうように歩けば僕らは薄汚れてゆく

自分の意志で電車に運ばれて
見つめる景色を変えられず
空をのがし続けている日々

それでも生きてゆくしかない僕たちのために

何者かであろうとして
自分を削ぎ落としてゆく人たち
自分であるということだけではだめなのだという

でも
世界にさんざん嫌われてきた何かを
僕も嫌いになれるとは
誰もが嫌いになれるとは限

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【現代詩】たった一行を探し当てようとして

【現代詩】たった一行を探し当てようとして

自分のために書かれたかのような
たった一行を探し当てようと
一冊の本の中を探求してゆく

それは読書というより
あてのない巡礼者の足跡も似て
祈りがかなわぬこともある

それでもいいのだ
全ての旅に
あらかじめの目的地が約束されてはいない
旅路の一歩一歩にこそ
得難い何かがあるのだから

【現代詩】遠く離れたことにこだわれば

【現代詩】遠く離れたことにこだわれば

日常から離れたことに
時折 没頭するようにこだわることは
苦しみから解放され
自由な世界にひたることができる

けれど
日常にこだわりすぎてしまうと
その全てを思い通りにしたくて
でもできなくて
常に苛立ちと共に過ごすことになる
それを とらわれる という

床のわたぼこりを
不快な汚れと見るか
可愛げのあるものと見るか
選択肢は自分にあるのだから
笑顔でいられるほうがいいよね

【現代詩】心の武装解除の頃合い

【現代詩】心の武装解除の頃合い

痛みを下手な作り笑いで覆い隠すような
弱くないふりをやめれば
虚勢を張った自分で重い荷物を背負うこともない

似合わない防具や武器で
無意味に自らを飾り立てて
本来の自分とつながれたはずの人を遠ざけることもない

全てさらして脱ぎ捨ててみれば
世界は意外にも優しいものだ
だからそろそろ
下り坂の降り方を見つめてみないかい