【毎日note*113日目】バランス・スコアカード
バランススコアカードフォーラムによって出版された『バランス・スコアカード経営実践マニュアル』。
・財務の視点
・顧客の視点
・業務プロセスの視点
・学習と成長の視点
この4つの視点に沿って、企業の業績を評価することで、「戦略の実行」を確実に実現するツールとして開発された「バランス・スコアカード(BSC)」について、効率的で効果的な導入と運用に繋げるための正しい理解を深めることを目的とした一冊です。
組織としてBSCの考え方を活用していくために、何が必要なのかを考えてみました。
◆BSCは戦略経営のマネジメントシステム
バランス・スコアカード(Balanced Scorecard:BSC)は、1992年にロバート・キャプラン教授とデビッド・ノートン氏によって発表された「経営マネジメントシステム」です。
効率的かつ効果的な導入と運用によって、経営システムの革新を推進させるプログラムであり、組織のビジネストランスフォーメーション(業務改革)を実現させるツールとして、大手企業を中心に導入されました。中小企業でも導入されていったものの、運用が複雑で理解するのが難しく、導入しても途中で使われなくなるケースも多々あります。
・ビジョンと戦略の明確化
・戦略の具体的活動への展開
・バランスのとれた業績評価
・継続的な経営改善
こうした効果が期待できるBSCですが、現場レベルに任せて導入すれば進むだろうという安易な考えで取り組んでしまうと、結局運用しきれずに頓挫してしまう企業も少なくないようです。組織全体の改革として、経営陣がトップダウンでリーダーシップを発揮しなければ、しっかりと成果の出せる仕組みとして運用できないということですね。
◆なぜ、BSCは運用が難しい?
BSCが失敗する理由として、一般的に次のような原因が挙げられます。
①導入・定着化に伴うトップのコミットメントが弱い
②ストーリー性のある戦略的なCSF/KPI定義ができていない
先述の通り、運用を現場レベルに任せきりにしてしまい、組織全体として連携して運用することができず、成果に結びつかないというケースが多いようです。経営陣が、何を目的として導入を決めたのかが明確に伝わらないと、組織としての戦略や目標と、導入したBSCがどのように関わるのかが理解されないため、現場からすれば「ややこしい仕事が増えた」と投げやりになるのも無理はありません。
また、BSCの導入によって実際に成果を上げている組織が少ないため、成功事例も参考にできず、組織内で試行錯誤から我流に走り、結果として上手くいかないケースも見受けられます。そもそもBSCとはどのようなシステムなのか。それをどんな目的で導入するのか。その結果として、組織にどんな変化がもたらされるのか。まず経営陣が理解した上で、トップダウンで組織全体に落とし込んでいく必要があります。
新しいことを始めるとき、必ず反発が起こります。必要だと解っていても、目の前の業務に追われていて「今は無理だ」と後回しにしてしまう人も少なくないはずです。そうした状況の中で、組織を変えていこうという意思決定と実行の姿勢を貫けるかどうか。BSCの導入は、経営者の覚悟が試されるものと言っても過言ではありません。
また、BSCは経営システムを簡易的に診断するものでもあるため、導入によって成果を見えるようにする一方で、組織の中の課題が洗い出されることにもなります。組織にとっての評価制度のようなものですから、その現状にしっかり向き合う経営者としての覚悟も必要です。
そう考えた時、やはり現場レベルでの運用は難しく、また独学での運用は無理があるため、そこでコンサルタントの出番ということになります。
◆中小企業でBSCを運用するために
本書では、BSCの導入の流れが次のように示されています。
①BSC導入目的の明確化
②対象範囲の明確化
③推進体制の確率
④BSCの理解とスキルの確保
⑤構築計画の策定と承認
この流れで企画準備を行い、実際に構築、運用、そして展開していき、継続的にモニタリングしていくことになります。
特に、導入目的が明確になっていない企業については、それを明確にして組織に浸透させる必要があります。また、「戦略マップ」を作成して、4つの視点と組織の各要素を結びつけることも必要です。
BSCに限らず、どのシステムでも言えることですが、導入の際に特に難しいのは「構築までの企画」と「運用後のモニタリング」だと思います。
仕組みというのは作ったままでは長期的に活用されませんから、一度作ったとしても常にレビューを続け、定期的に改善していかなければ継続は難しいものです。
組織全体を巻き込んだプロジェクトとして、運用の重要度を高めていくことも、BSCを運用するポイントだと考えています。
また、「財務」「顧客」「業務プロセス」「学習と成長(組織)」の4つの視点がどのように関わっているのか、定期的に社内で勉強会などを行うのも有効な手段ではないでしょうか。
まだまだBSCについての理解が乏しいですが、BSCの考え方は様々な場面で活用できるはずですので、引き続き理解を深めて実践に結び付けていきます。
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