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売れる仕組みづくり #18 マーケティング

企業は、目的を持った存在です。
マネジメントで知られるP.F.ドラッカー氏は、その著書の中で、企業の目的は顧客の創造と提唱されています。
そして、その目的を果たすための第一の機能がマーケティングであるのだと紐解いています。

しかしながら、日本のマーケティングは、先進国であるアメリカとくらべて10数年程、遅れているともいわれています。
そのためか未だに日本では、勘違いしたり複雑に考えられています。

先般、JMA(公益法人 日本マーケティング協会)が34年ぶりに時代に合わせることを目的にマーケティングの定義を刷新されました。
「マーケティングとは、顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。」
正直、実務よりも、産学協同の理論や技法の研究、教育などの学問的な普及が優先されているのか分かりにくいのが本音です。

対して、ドラッカー氏は、「マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。」と示しています。
また、マーケティングの父とまで呼ばれるフィリップ・コトラー氏は、「ニーズに応えて利益を上げること」と実にシンプルです。

マーケティングの概要を表現するともいえるのが、そのプロセスです。

1. 環境分析
2. ターゲット市場の選定
3. マーケティングミックスの最適化

まず、1.環境分析によって、様々な切り口から事業およびマーケティングに影響を与える様々な要因を把握します。
外部環境に対するマクロ分析であるPEST分析。
外部環境と自社の内部環境の関係を分析するミクロ分析である3C分析。
特殊な切り口では、5つの力分析やSWOT分析などがあります。
それぞれの分析手法には一長一短があるため、決して偏ることなく、様々な手法で分析することが重要となります。

次の2.ターゲット市場の選定では、
(1) セグメンテーション(Segmentation)
市場を大枠で細分化します。
(2) ターゲティング(Targeting)
目標とする対象市場を選定します。
(3) ポジショニング(Positioning)
対象市場において競合を意識しながら自社独自の価値(コアコンピタンス)を提案することで存在意義を確立できる明確にできる位置づけを見極めます。

そして、マーケティングにおいても代表的なフレームワークでもある3.マーケティングミックスの最適化のステップに進みます。

マーケティングで重要なのが、対象市場において、自社独自の価値(コアコンピタンス)を、誰に、どのように提案し、それを望んでいただくかです。

マーケティング戦略を立案する上で、大切になるのが、[①何を]→[②誰に]→[③どうやって] の順序が大切になります。

まず、最初の[①何を]においては、自社独自の価値(コアコンピタンス)を具体化させる必要があります。
次に、その価値を[②誰に]対して提案すべきかを仮説で良いので設定しなければなりません。
そして、最後が[③どうやって]提案するのかを具体化させます。

そのための代表的なフレームワークが「マーケティング・ミックスの最適化」です。
マーケティング・ミックスですが、各戦略のイニシャルをとって、4Pとも称されます。

(1) 製品戦略(Product)
機能、デザイン、品質、種類、特徴、ブランド、大きさ、重さ、パッケージなど
(2) 価格戦略(Price)
販売価格、割引・セール価格、支払い条件、取引条件、還元価格、価格条件など
(3)流通戦略(Place)
販路形態、在庫、発送、代理店制度、立地、店舗形態など
(4)プロモーション戦略(Promotion)
販売促進、広報、広告など

マーケティングミックスで重要な捉え方がミックスであるということです。
決して、それぞれの戦略を単独で検討するものではありません。
例えば、製品戦略であれば、その中に価格施策、流通施策、プロモーション施策が組み込まれ、整合性が取れていることが重要となります。
更に、それらの整合性を確認するならば、異なる切り口の戦略で、製品戦略を検証してみることも必要かと思います。
場合によっては、戦略の立案手順とは逆の[③どうやって]→[②誰に]→[①何を]の手順で検証することも大切です。

以上のプロセスですが、注意したいのは、決して一方通行ではないということです。
場合によっては、1.環境分析や2.ターゲット市場の選定に立ち返ることも、不思議ではありません。

また、各戦略を推進するには、経営と同様に、ヒト、モノ、カネ、知識、情報などの資源が必要となって来ます。
それらの資源の調達と活用が非常に重要になってきます。

特に、ドラッカー氏の言うところの「おのずから売れるようにすることである。」の裏を返せば、売る行為は欠かせないということでもあるということです。
この売る行為、販売を行うのが営業です。
ところが、近年の労働力不足は、営業職も例外ではありません。

営業とマーケティングの関係をシンプルに表現した言葉があります。

営業は売る。マーケティングは売れる。

マーケティングとは、顧客のニーズに応えた製品やサービスを提供したり、市場調査によって適正価格を決めたり、広告宣伝を考えたりする活動の全てです。
この活動を疎かにしたまま、闇雲に営業活動を行なっていたら、ただでさえ不足している労働力は追いつけません。
それを補う意味でも、売れる仕組みをマーケティングで構築して行く必要が高まっていると言えます。

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