メガネ心理士@児童養護施設

児童養護施設で心理職をしています。 常にマイノリティな心理職が、施設の中でどう生きてい…

メガネ心理士@児童養護施設

児童養護施設で心理職をしています。 常にマイノリティな心理職が、施設の中でどう生きているかを細々と書いていきます。 面接室なんかより、日々の生活が大変なんだ!そんなことを毎週木曜日に更新します。

最近の記事

  • 固定された記事

児童養護施設で生き残るために

児童養護施設には全国に1名分の心理職員が配置されています。施設によってはそれ以上配置されるようになっています。 ただ、その働き方は施設によって大きく異なっていることでしょう。 ケアワーカーと同様に泊まりをしながら書類上”心理職”となっている方から毎日大学院で学んだような毎週50分の心理面接だけを行っている方まで様々だと思います。 私もその中の1人。 大学院では心理職として自信も持ち、学んだことを活かして、この領域で子どもと関わろうと思って施設の門を叩きました。施設は自動ドア

    • 施設内研修のコツ

      施設で働いていると施設内研修をお願いされたりします。 急に「トラウマのこと、職員に話してほしい」とか管理職に言われたり、無茶振りなオーダーが出てきます。 個人的には、研修を依頼されたとき「めんどくせー」と「ラッキー」が半分半分くらいな気持ちになることが多いです。 それでも、施設内研修がタメになるものになるよう意識していることがいくつかあります。 今回は、それを書いておこうと思います。 主催者の意図を把握する。 この研修の主催者はどんなことを求めているのかを知ることは何よ

      • 「テーラメイド」職員は、かなしい。

        今日はテーラーメイドな支援ついて、最近考えてることを書いてみたいと思います。 テーラーメイドとは このテーラーメイドという言葉、スーツなどの服飾品で使われることが多いですが、 意味としては仕立て屋「taylor」に特別に仕立てて貰うこと、または仕立てて貰った服飾品それ自体を意味するということ。(Weblio辞典より) 支援の場では、その子に合った支援を子どものニーズを聞き取りながら仕立てて行くようなニュアンスで使っています。 こんな定義を聞くと大事だよね、それが理想でし

        • マニュアル破り

          色々な職場で見られるマニュアル。 施設においても、様々なマニュアルがあります。そして多くのマニュアルが形骸化していきます。 職員によってはマニュアルがあることで、今までできていた支援ができなくなるという考えを持つ人も私の職場にはいます。 マニュアルというと、この事案にはこの対応という1対1対応をイメージするかも知れません。もしかすると、チェックリストやフローチャートがマニュアルだという認識の人もいると思います。 たしかにそう思うくらい、世の中にはよくわからないフローが溢れて

        • 固定された記事

        児童養護施設で生き残るために

          決めることはつらいよ。

          生活をするということは「決定の連続」の積み重ねです。 小さなところでは、 今日のおやつは、今日のご飯は何にしようというところから、恋人、配偶者の選択、学校選択や就職の選択… いろいろなところで人は決めなければいけないし、決めながら生きています。 生活を支援している児童養護施設も例外ではありません。 同じように食事のメニューを決め、学校選択をし、自分の人生を決めていきます。 ただ、施設故に決めづらいことがあるのも事実です。それらについて考えていきたいと思います。 なぜ決

          決めることはつらいよ。

          アドバイスがスベる理由

          この間、久しぶりに他の心理職と職員との会話を聞きました。 その中で心理職からケア職員とこんな会話が展開されていました。 「この子、ご飯のときなかなか食べ進まなくて」 「どんな様子なの?」 「すぐに色々なところに気が散っちゃうんですよね」 「視覚過敏だもんね、テーブルに衝立つくるとか」 「はぁ・・・」 「あとは頑張り表とかはどう?」 「前やったんですけど、なかなか定着しなくて・・・」 「どんな課題にしたの?」 「きちんと食べよう、みたいな」 「それだと難しいよね、もっと具体的に

          アドバイスがスベる理由

          施設とボランティアと

          ボランティアはなぜ施設に必要なのか。 施設のボランティア窓口になったこともあり、結構シビアな問題です。 ボランティアのためのボランティア問題施設にとってボランティアがコストだと感じることは、なにより、 ボランティアのボランティア問題です。 簡単に言うとボランティアさんを受け入れるために職員が必要になり、ボランティアさんのやりたいことを施設でやるために職員が動き回るということです。 この話はボランティア側の持つ「ボランティアは足りない職員を満たすためにいるのか」問題と裏表にあ

          施設とボランティアと

          そんなもの寄贈されても…

          よくある話ですが、 施設にはよく寄贈希望の連絡が来ます。 素敵な寄贈もあれば、うちはリサイクルショップじゃないよ?ってものや、思想の普及活動に利用されてるようなものもあります。 そしてそんな電話が来ると職員の中には「そんなの普通に考えたら要らないのわかんないのかな」ってこぼすんですね。 個人的にはこう言う発言を聞くと 児童養護施設って恵まれてるなぁと思う訳です。母子生活支援施設で働いていた時には、こんな頻回に寄贈とか来ないんですよね。 まぁ、電話番号を公開していないことも

          そんなもの寄贈されても…

          大人も子どもも同じ人間

          年度が変わり、なかなかドタバタとしていました。 先週はしっかり更新を忘れていました。実は個人的に半年は毎週更新をしていきたいなぁと思っていたのですが、すでに達成できず。 しっかりと3日坊主の様相が出てきました。 そんな自分なのに、施設では子どもに「自分で言ったんなら最後までやりなさい」なんて声かけをしたりするわけです。そして子どもに「自分もできてないのに」と笑われます。 そんなエピソードから今回は「大人も子どもも一緒」というテーマです。 職員は子どもをアセスメントするとき

          大人も子どもも同じ人間

          あたりまえのために、「あえて」する支援

          ライフストーリーワークという取り組みが施設では行われています。 これは子どもたちの家族~生まれ~現在までを子ども自身が連続的に主体的に肯定的に理解するための取り組みです。 私の施設でも色々な形で取り組んでいます。 その中でケア職員からこんなことを言われたことがあります。 「そんなこと、普通の家ではやらないですよ?」 その時、私は「たしかにねぇ…」とだけ言って、いろんな言葉で大事さを訴えました。(そのときは理解してもらって実施できました) 先日の「あたりまえ」というキーワ

          あたりまえのために、「あえて」する支援

          「生活を回す」のエッセンス

          ベテラン職員のアドバイス以前の借金を作らないを書きながら思い出したエピソードから始めます。 ある新任職員さんに、ケア職員がこんなアドバイスをしていました。 「幼児さんの寮舎朝のルーティンについて、子どもが起きる前にそれぞれの椅子をテレビが見やすいところに並べ、テレビをつける」というコツを紹介していました。 実は、この新任職員は子どもと一緒に起きて、ご飯を作りながら、子どもに仕度をさせながら、ドタバタをしていました。 そして、子どもへの注意が増えていき、子どもたちも不穏な行動へ

          「生活を回す」のエッセンス

          人間関係にも貯金をつくる

          金がない時に限って、一発逆転を狙いにいくのが人間の性。 そして大体うまくいかない。何度、馬や船に夢をかけたことか… 人間関係でも同じことが言えると思います。 うちの施設ではよく、子どもとの関係を貯金で表現することがあります。 「今、あの子とは借金状態になっているから、貯金をためておかないと」みたいに。 そもそも施設って、気を抜くとすべてが借金になりやすいんですね。 社会福祉法人としても。児童養護施設としても。人間関係も。職員の自己評価も。他者評価も。ネガティブがネガティブ

          人間関係にも貯金をつくる

          施設の子はかわいそうな子なのか?

          今クールも様々なドラマで虐待や児童養護施設をテーマや設定に組み込まれていました。ファイトソング、ケイ×ヤクとかが主としては挙げられるでしょうか。それ以外でもちらほらと施設というキーワードがでてきます。 私の働いている施設にも取材で作家(TVや劇、文芸などなど)さんが来られることがあります。それくらい、虐待や児童養護施設のことが知られていくことは良いコトだなぁと思います。 その一方で感じる違和感もあります。 それは施設=「かわいそう」というニュアンスがちりばめられてしまうこと

          施設の子はかわいそうな子なのか?

          専門職が辞めていく

          先日、栄養士との話を挙げました。 そんな話で、施設に新任の栄養士が入ると、大体「栄養士がいる意味とは?」「私って要らなくない?」という疑問が解決できなくて辞めていくという話がありました。 生き残る人は、そのあたりを諦めることができる人という皮肉。 そういえば、看護師がいる施設だと現場の職員とぶつかって辞めていくケースが多いみたいですね。 この2つの職種って、ケア職員を経由して専門職になっていない2つです。心理職も多くが同じ立場だと思います。 マイノリティの居場所以前の

          トラブルは味噌汁の味から

          先日、栄養士から「せっかくカロリー計算やら、旬のものも意識して献立を立ててるのに、献立どおり作ってくれない」「それ以上に冷凍食材ばかりなんて…」 今施設は、地域小規模化という取り組みの中で小さいサイズでの養育が行われています。 ご飯もケア職員が買い物から行う場合が多くなっています。 「あたりまえ」を保障する。栄養士の話を聞いていて、価値観の難しさについて考えていました。 施設って、支援機関であると同時に生活の場でもあるんですね、だから大人も支援者としてよりも、”地の私”が

          トラブルは味噌汁の味から

          自分の施設は、なに部体質か?

          施設と言っても千差万別。 児童養護施設と言っても、雰囲気から何から何まで、本当に千差万別なんです。 わかりやすい所で言うと、子どもが大人をどう呼ぶか。呼ばせているかとも言えるかもしれないですね。 「~先生」「~さん」「~くん」「~お姉さん」「~お兄さん」。本当様々です。 うちの施設はあだ名ですね、流石に呼び捨ては一応注意しますけど。 それ以外にも、施設文化はいろいろな場面で見えてきます。 それが職員関係や子ども関係、大人と子どもの関係にも大きく影響を及ぼします。 そりゃ

          自分の施設は、なに部体質か?