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人間関係にも貯金をつくる

金がない時に限って、一発逆転を狙いにいくのが人間の性。
そして大体うまくいかない。何度、馬や船に夢をかけたことか…
人間関係でも同じことが言えると思います。

うちの施設ではよく、子どもとの関係を貯金で表現することがあります。
「今、あの子とは借金状態になっているから、貯金をためておかないと」みたいに。

そもそも施設って、気を抜くとすべてが借金になりやすいんですね。
社会福祉法人としても。児童養護施設としても。人間関係も。職員の自己評価も。他者評価も。ネガティブがネガティブを生み、類が友を呼んでネガティブを集め始めて、ネガティブが人格を持って人々を動かし始める。

そんな悪循環がすぐに起こります。音を立てて崩れ落ちるように。
特に子どもの状態が悪いと職員環境も悪くなります。その逆もしかり。

関係性の貯金をする

そんな環境だからこそ、施設職員の専門性のひとつに
「意図的に貯金をする」支援があると思っています。
これは良い関わりを無理して作るというよりは、悪循環にはまらないというニュアンスのほうが大きいかもしれません。職員側の嫌な気持ちをフッと超えて関わってみるとか。

以前お話しした「強みメガネをかける」の取り組みのようなものも取り組みのひとつです。

それとともに借金となる関わりを見つけて、対処をしています。
落ち着かない子はだいたいお風呂とか、ご飯とか職員が指示を出さないといけないときや、子ども同士が自由に遊ぶ自由時間だったりが借金のタイミングです。
そして、職員が最後に注意して反抗されるみたいな場面です。

やれることは。

そんなときに、やれることは2つ
1つはトラブルタイミングを見つけて、そこを貯金の場所にする。
1つは大人が今は見過ごす。

トラブルタイミングを見つけて、そこを貯金のタイミングに。
まず、いつも私が注意している場面をピックアップします。
それについて子どもと、穏やかなときに話し合う。(この時、できていないことを指摘したり、注意するのではありません。それだと借金に利子をつけています。)
例えば私が「子どもがお風呂になかなか行かなくて困っている」なら、それを正直に子どもに相談する。そして子どもが困っていることも聞いてみる。その上で何ができるかを一緒に考える。私からは「お風呂のときに楽しいお話ができると嬉しい」とか「お風呂のあとはあの遊びしよう!」が提案できるかもしれません。「~させる」という思考でこちらがいると(特に新任職員だと)うまくいきません。

1つは「今は見過ごす」
1日を振り返って、借金がかさんでいる日々ならば、小さな借金を作らないように、見逃すことも考えていくといいです。この小さな借金には、私の価値観や正しさがあることが多いからです。
ふと言いたくなることをスルーする。そこを貯金のタイミングにすることを目指してみましょう。

それでもやはり見逃せない・止めないと行けない行動はたくさんあります。
よくあるのは暴言・暴力だったり、周りを傷つける行為などがそれかもしれません。
そういうものはチームやホーム全体として教育していくことが大事だと思います。つまり「だめなものはだめ」と決めることです。

それはルール化すればいいという簡単なものではありません。なぜなら、守れない約束はつくらないほうがいいからです。
なので、なぜそのルールが必要なのか、どういう願いがあるのかを考えて、ルールを作ります。そして、それを守れるようにするために子どもと大人で一緒に何をすればいいかを考えていきます。

そこはルール側と考える側の役割分担が必要です。
大人がどちらかの役割しかない場合は大人VS子どもの構図ができて、結果的に借金まみれの生活が待っています。


以上が子どもとの関係で貯金をためていく取り組みの一例です。
何より借金を誰かのせいにしないように、一緒に考えることがなにより大事だろうと考えています。
ちなみに職員間の関係については、今までの文章の「子ども」を「職員A」に変えていけばいいと思います。

今日はここまで。新年度が始まり、新任職員もたくさん入ってきました。いい1年だったなと年度末に思えるように日々を過ごしていきたいなぁと思います。
それでは、また木曜日に更新したいと思います。



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