見出し画像

マニュアル破り

色々な職場で見られるマニュアル。
施設においても、様々なマニュアルがあります。そして多くのマニュアルが形骸化していきます。
職員によってはマニュアルがあることで、今までできていた支援ができなくなるという考えを持つ人も私の職場にはいます。

マニュアルというと、この事案にはこの対応という1対1対応をイメージするかも知れません。もしかすると、チェックリストやフローチャートがマニュアルだという認識の人もいると思います。
たしかにそう思うくらい、世の中にはよくわからないフローが溢れていますし、使い所のないチェックリストは、日本中集めたらチェックボックスで富士山を超えると思います。
そのあたりのマニュアルのあり方についてはこの本をぜひお読みください。


ただ施設においては、マニュアルは作業の自動化・効率化という側面と、人材育成という面で不可欠なものだと考えています。

作業を自動化、効率化する

ある作業を何度もやっていると効率的なパターンが出てきます。例えば掃除は上から下にやるとか、炊飯は時間がかかるから先にとか。
そういう経験の集合体、経験則をまとめて見える化していくこともマニュアルです。いわゆる標準化というやつです。
こういうコツみたいなのが共有されると事故も減りますし、職場全体が効率的になっていきます。すると、限りある時間が子どもとの関わりなど本来的なところに使えるようになっていきます。


もう1つ限りあるリソースの効率化にもなっていきます。それは判断力です。それぞれの人が物事を判断できる数は限られています。それは個人でもそうですし、組織もそうです。
1日にできる大事な判断なんて、たかが知れています。限りある資源を無駄遣いしないようにするのがマニュアルの力です。
というのも、マニュアルによって判断するレベルを分けることで、誰でも決めて良いことと管理職しか決められないことを分けることができます。
そうすることで、物事を適当な人が判断できるようになっていき、よりスピード感のある対応が可能になっていきます。

人材育成として

職員によっては、マニュアルがあることによって、できることが減るという人がいると先程言いました。臨機応変さがなくなるというものです。
おおむね、ケースバイケースな支援を目指す職員がそういうことが多いかなという印象です。その支援の方向性は非常に有意義だと思いますし、目指すもののひとつだと思います。

一方で、施設にはこういう人もいます。臨機応変な職員を見て、「確認もせず、個人判断で勝手なことばかりしている」という人。この意見も確かにそうです。職員によっては、その支援は子どものニーズなのか、大人のニーズなのかわからないことがよくあります。
そして、そんな両者の意見はだいたいわかりあえず、対立して、チームが混乱。新人が混乱、子どもが混乱というまでがデフォルトです。
大きな事故の予兆です。誰かがいなくなる前兆です。

そうならないための基準こそマニュアルだと思います。言ってしまえばそれぞれの対応が標準なのか、特例なのかを判断する基準がマニュアルですし、新任職員にとっては職員としての新しい私が判断する基準になります。


ふと思い出したお話しがあります。私の記憶補正が入っているかもしれませんが、
神田橋先生が昔「型やぶり」について話されていました。
”型やぶりな人はみんな、まず型をしっかりと身につけて、そこから我流を見出し、型を破っていく。
その型破りな行動だけを見た素人は見えているところを真似しようとするけどなにもできない、「型なし」になってしまう。”
というお話です。

マニュアルの話に寄せると、マニュアルというのは支援や業務の「型」になってきます。だから新任職員はきっちり型を見つけて、身についた段階で、それぞれの支援へと広がっていきます。
だからマニュアルがあるとうまく支援ができないと言って我流を貫くことは、ある意味「型なし」であるとも言えると思います。

ただしマニュアルは聖典ではありません。間違えていることや古臭くなっていくのが世の常です。
それをバージョンアップしていくことも支援の大事な要素だと思います。

今日はこの辺で。
前回はコロナ対応ですっかり更新を忘れていました。すこし毎週更新のペースが落ちそうですが、定期的に木曜更新したいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?