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本の虫による読書のススメ①

はじめに

こんにちは。今回は古元素ではなく、「古元素の中の人」という立ち位置でお送りしていきたいと思います。今回何をするかと言うと、
「読書のススメ」
です。理由は二つ。新型肺炎が蔓延る最中、皆さんスマホと戯れている毎日でしょう。私もそうです。スマホを置いて、本を手に取ってみては、kindleをインストールするのはいかがかなと思いキーボードを叩いています。それが一つ目の理由。

もう一つの理由は先日の出来事。友人に会えないと寂しさを拗らせ、本名でInstagramのアカウントを作ったんですよね。ストーリーに質問箱を設けると、「おすすめの本を教えてください」と依頼されました。質問相手に沿った本を紹介していたら、次々に同様の質問が届きました。そこで、私の趣味全開で「こういう人に対するおすすめの本」として紹介してみようかなと思い、今に至ります。では行きます。

①音楽に触れたい方へ

まずはこれ。私が人生で一番面白かったと胸を張って言える作品です。昨年本屋大賞と直木賞を同時受賞したという、前代未聞の逸冊。ピアノコンクールを選考から本選まで取り上げた作品です。私自身ピアノを習っていた経験はないのですが、この本を読んでいるとこんな感覚に襲われます。
「文字を追っているのに音が聴こえる」
私自身、『のだめカンタービレ』に始まり様々な音楽関係の作品を嗜んできましたが、こんな感覚は初めてです。

この作品は四人の主人公が出てきます。天才と言われた少年少女、その二人が羨む存在の少年、そしてその三人と俺は違う、でも勝ちたいと頑張る男性。天才だけでなく、その男性のような存在がいるところも親しみやすいですよね。そんな四人の熾烈の争い、そしてその中で生まれる友情などを味わいたい方、是非お手に取ってみてください。

ただこの作品、文章量がとてつもなく多いです。耐えられんと思われる方は映画版や漫画版もございますので、そちらも是非。ちなみに私はサウンドトラックを友人から頂いたので、そちらに酔いしれる日々を過ごしております。ありがとう友人。

そしてこの作品にはまった方は、続編もございます。

②スポーツを取り上げたものを求める方へ

「速く」ではなく「強く」走るを掲げ、素人集団で箱根駅伝を目指す話です。メンバーの大半は「駅伝とマラソンの違いがわからない」「走る=きつい・だるい」と考えています。おそらく皆さんもそうでしょう。しかしこの本を読んだ後は、少しは「走る」ことに対する考え方を変えられるのではないでしょうか。長年陸上や駅伝を愛している人間としては、皆さんがこの本を通してそう感じていただけたら本望です。アニメや映画もありますので是非に。

もし走ることに対して私が考えていることを知りたいという方はこちらへ。

③文系の世界に触れたい方へ

二本連続三浦しをんさんですみません。三浦さん好きなんですよ。それは次回乞うご期待。こちらは某出版社で辞書編纂部として働く人々とその周囲の人々を取り上げた作品。私自身出版の世界とは、そこで働く人間とは、どんなものだろう。そう考えて読み始めました。そしたらとにかく濃い。三浦さんの作品に出てくる登場人物は皆濃い傾向にありますが、こちらは真骨頂のように感じます。ちなみにちょっとだけ恋愛シーンもあるので読み飽きることなく読了できると思います。是非。こちらも映画があるみたいです。

④理系の世界に圧倒されたい方・学問とは何かわからない全大学生へ

こちらは人生で二番目に面白かった作品。森博嗣さんという存在を知ったのは昨夏。友人が私のアルバイト先に訪れた際に買っていったことで知りました。ありがとう友人。森博嗣さんについてももっと語りたいのですが、これもまた次回。

この作品は、先程の『舟を編む』とは真逆の世界、かつ通ずるものもある世界を描いています。根っからの文系人間の私からすると真逆の世界。根っからの理系青年、橋場くんが主人公です。橋場くんやその周囲の人々による世界が紡がれていきます。

私には縁遠かった「理系」や「大学院」の世界を知って、世界が広がったような気分になれます。橋場くんの周辺の女性陣も個性豊かです。スピカとのやり取りは涙なしでは読めませんし、櫻居さんの考えも素敵です。

しかし一番感じることは、「大学での学びの尊さ」「学問に集中できる期間の尊さ」です。読後すぐ、適当に授業を受けていた私自身にいら立ちを覚えました。小学校から高校は、受験のための勉強。大学四年間だけが唯一、自分がしたいと思った勉強やそれに役立つ勉強ができます。その半分以上を無駄にしていたことを痛感しました。

これを読んで、学問とは何か考えてもらえたら本望です。

⑤異世界に触れたい・美味しいものが好きな方へ

全12巻。小学校の時にひたすら読んでいた記憶があります。稲葉くんが家賃格安のアパートに住んだら、そこは妖怪だらけだった!という話です。すごいざっくり話しました。稲葉くんやその親友との友情、稲葉くんと妖怪、妖怪たちを操る人間との交流、妖怪同士の人情、あらゆる観点から楽しむことができます。異世界を楽しみつつも、笑って泣いる作品です。YA作品なので読みやすいと思います。是非。ちなみにこの作品、アニメや漫画もありますよ。

私がひたすら好きな妖怪は「るり子さん」。顔や体がなく、唯一残っているのは美しい手のみ。その美しい手や彼女の過去を活かし、アパートで毎日毎食美味しい料理やお弁当を作ってくれます。香月日輪さん(ご冥福をお祈りいたします)の格別な表現で、るり子さんはさらに際立ちました。るり子さんはレシピ本も出しておりますので、そちらも是非。

⑥ひたすら笑いたい方へ

またまた三浦さんですね。でもこれは本当に面白い。抱腹絶倒とはまさにこの本のためにあると言っても過言ではありません。だってこれ「エッセイ」なんです。つまり全部実話。全部三浦さんの日常。なのにこんなに面白い。タクシーに乗るたびに運転手さんから好かれて名刺を渡され、また利用してと言われる三浦さん。実家へ帰ると、蛇口にフルーツが巻き付けられている三浦さん実家。

私はこの本を電車で読んでしまって毎回後悔してました。だって声を殺して笑おうとしても声が出てしまうんですもの。この本を読んで、ひたすら笑いましょう。「エッセイ」なので数ページで終わる話しか載っていませんので、読みやすさもばっちりです。

⑦人生におけるあらゆる質問を解決させたい方へ

正直これも「ひたすら笑いたい方へ」で紹介するか迷いました。けれど一つの部門だけ二冊編成なんて欲張りかと思いまして、この部門を立ち上げました。数か月にわたって村上春樹さんへの質問を募集し、回答を一冊の本にまとめたものです。たった数か月で、分厚い文庫本一冊出来上がる量の質問をする村上主義者(村上春樹ファンの方はこう呼ぶそうです。ハルキストではありません。)、恐るべしです。

この本では、本当にあらゆることが解決します。人生とは、時間とは、お金とは、恋愛とは、語学を学ぶこととは、など。村上主義者が投げるどんな変化球(下ネタ含む)でも、春樹さんはきちんと受け止め、しっかりとした球を返してくれる。そう感じました。つまりしょうもない下ネタでも丁寧に返していて、私はつい笑ってしまいます。ただ疑問を解消させるだけではなく、春樹さんの文体に酔いしれたい人、春樹さんの考え方を知りたい人にもおすすめです。

追記
私は中学の時に『1Q84』を齧ったもののギブアップし、それ以来の村上作品でした。ですがこれを読むたびに、春樹さんとの結婚生活を妄想しては幸せに満ち溢れます。またこの本を読む際に私は、適当なページを開いてしばらく読む、という手法を取っています。

⑧絵本を読みたい方・英語や翻訳に興味がある方へ

幼稚園時代毎日図書室で借り母に読み聞かせをせがみ、母を怯えさせた作品です。私の母は愉快な女性で、絵本の登場人物に全力でなりきってくれます。だとしても、毎日同じ本を読ませる当時の私は何を思っていたのでしょうか。当時の私にしかわかりません。今も母とその話をしては二人で首をひねっています。その影響と著書がアメリカ人だったことから、この作品で昨年英語での論文まで執筆しました。この作品の思い出は広く深いです。

この作品を推薦したのは、単に思い出深いからという理由だけではありません。とても考えさせられる作品だからです。ストーリーは簡単。少年の一生がとリンゴの木と共に描かれています。少年時代は共に遊んでいた二人(一人と一本)。それだけを切り取ればハッピーエンドです。しかし少年は大人になります。大人になった少年がリンゴの木に何を思い、願うのか。私自身、幼稚園時代何も考えていませんでした。中学時代ふと思い出して図書館で借りた際や昨年論文を執筆する際に読み返しても、毎回異なる解釈をしました。

そして、なぜ米文学専攻の私がこの作品を論文の題材にしたのか。簡単です。私はこの作品を単に読むだけではなく、比較をしたかったのです。この作品は原作はもちろん英語。そして最初に訳をしたほんだきんいちろうさんが亡くなったことで、私が慣れ親しんでいたほんだ訳は絶版。代わりに村上春樹さんが新しい訳をした版が発売されました。つまりこの作品は日本語を母語とする人間にとっては三種類。二人の訳はかなり異なっています。さらに原作を読んだ際、英語に忠実に訳をされていないとも感じました。私はこの論文執筆を機に、比較をしようと思ったのです。

一冊の絵本を通して思考を巡らせたい方は、是非お手にとってみてください。そして皆さんの解釈を私にお聞かせください。お待ちしています。

おわりに・質疑応答

今回は以上で終わりになります。皆さん、この機会に是非、読書を嗜んでみてはいかがでしょうか。私の投稿が、皆さんの読書の契機になることを切に祈っています。

ここで終わらせたら残る疑問があるでしょう。質問は事前に想定していたのでお答えしていきますね。

タイトルに「①」とあるのはどういうことか。
今の私の構想では、これを三部構成にしようと思っています。最初に書けと思われたらすみません。私自身三部にまでわたると思っていませんでしたので、悪しからず。私は根っからの本の虫であることが、この投稿でようやくわかりました。

②では、私が星の数ほど読んできた「恋愛小説特集」にします。今回の投稿を読んで、「この人恋愛小説好きじゃなかったっけ?」などと思ったことでしょう。そうです大好きです。だからこそ、恋愛小説を一つに絞ることができなかったのです。そこで次回は、様々な観点から恋愛小説を取り上げおすすめするという投稿をお届けします。


③では、私の好きな作家さんの紹介です。本は作家読みも面白いので。この作家さんはこういう文体で、こういう構成が好きなのか。などと人間観察ができて楽しいですよ。こちらも乞うご期待。

では次回、恋愛小説特集にて、またお会いしましょう。

追記
カバー画像毎回忘れる辺りに爪の甘さを感じます。今回のカバー写真は、私の部屋の本棚です。今回書いた作品でないものが多い気もしますが、それはおいおいね。

私の文章を好きになって、お金まで払ってくださる人がいましたら幸福です。