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自由への旅路 第二章 ⑤ 霊能者と勉強会

  スピリチュアル、と一口に言っても、
 
一体どこから手を付けたら良いのかわからない

ほど、その世界はあまりにも広くて深い。

 初心者だった自分も、以前は手当り次第その

手の本を読み漁ったりしたが、世に出回ってい

る書籍やセミナーも様々で、


物質的豊かさを手軽に得られますよ、と言うも

のから、 カルマや転生、守護霊、シャーマニ

ズム(自然や精霊崇拝)、本格的な哲学書の様

なもの、さらには陰謀論や宇宙人まであらゆる

ジャンルで展開されていて、正直掴みどころが

ないと感じていた。

胡散臭いのも多いし、実際有名でも詐欺だと思

うものもある。

 そんなところに、いわゆる「ガチ」スピリ

チュアリストが目の前に現れたのは願ってもな

いことだった。

しかも無料(スピ系のセミナーはびっくりする

ほど高額)。

 自分よりも三十年以上齢を重ね、長い人生経

験の中で得た気付きならば、ホンモノに違いない。

ちょっとクセは強そうだけど大丈夫だろう、つ

いていってみよう。

 ところで、霊能者のF婦人を紹介してくれた

お姉さんとの付き合いは、細かい理由はさて置

きその辺りをさかいに自然消滅してしまった。

まるで自分を彼女に引き合わせるために出会っ

たかのようだが、これも後から考えるとやはり

必然だったのだと思う。


 さて、とりあえず言われた通り手渡された本

を読んでみた。
 
 それまでジェームス・アレンについて全く知

らなかったが、なるほどそれは全く隙のない、

魂の成長を促す素晴らしいものだった。

カルマとか前世とか宗教っぽいものは(割と)

少なくて、解説によれば自己啓発の祖と言わ

れ、聖書に次ぐベストセラーらしい。

 「人間は思いの主人であり、人格の製作者で

あり、環境と運命の設計者である」


 と言うふうに、現実世界で成功するための正

しい心の持ち方を、一切の無駄を削ぎ落として

書かれていた。

 ジェームズ・アレン本人が苦労人だったこと

にも好感が持てる。

 しかしながら、窮屈なのはエホバの証人だっ

たころ散々懲りてるので、正直説教臭いのは嫌

だなあと思ったが、なんせタダである(本まで

頂いてるし)。

 で、言われるまま割り当てられた部分を予習

して要点に線を引き、次の週の勉強会へと臨んだ。

  しかしその初っ端、

 「たくさん線を引き過ぎていて、要点がわか

りませんね」


 「あの、その、初めて触れる内容ですし、読

んでると全部大切に思えてしまって、つい…」

 「あなたは私の言うことに従えばいい

の!!」

 「は、はぁ… わかりました、次回から気を

付けます…」

 と、いきなりダメ出しから始まった。

まあ、機嫌を損ねると面倒くさそうだし、大人

しく従うこととしよう。

 実際、彼女のライフスタイルを見れば、

まるでジェームズ・アレンの教えを完璧にトレ

ースしているかのようにコントロールされてい

て、ぐうの音も出ない。

たしかにそれは今の自分に足りない事だった。

     本当に変われたら良いな…

 
そんな思いに後押しされて、以後数ヶ月に渡り

勉強会は続くこととなったが、その間も遺影の

中のご主人さんは、ずっと温かく見守りつづけ

てくれていた。

 
  

 
 
 

 

 

 

 


 

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