【小説】しあわせになってほしいといわれたから【ショートショート】2594字
「なんやそれ?誰に言われたん?」
僕は彼女に問いかける。
「大事な人」
彼女は嬉しそうに笑った。
「そうなんか、……若いのに変わったこという人もおるんやな」
そういって僕は手元のスマホに顔を戻す。
「土曜日、どこ行きたいかな?」
「日曜は家で寝てたいな」
的外れな返答にも彼女は気を悪くすることもなく続ける。
「そうだね、日曜は家で寝てようか」
「ん、家で寝れるってのは幸せなことやで」
学生の僕が平坦な声で茶化していうような言葉に、彼女は本当はどんな気持ちで僕の言葉を受け取って