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#介護「自分で生活する手応え」

「私、もうお荷物やな〜」。

実家の洗濯物を畳む私の姿を見て、
背中が丸まったおかんは、
涙目になりながらボンヤリとつぶやいた。

2年前くらいから、おかんは生活に関する
ことがスムーズに出来なくなることが急激
に増えてきた。

初めの頃は、「俺がやるから、大丈夫、気
にしないで!」と優しく声をかけていた。
だが、涙目のおかんを見て、ハッとした。
それは、私にとって都合よく片付けたい作
業であり、おかんのために何かしてあげた
いという自分の気持ちを満たすだけのもの
だった。何気なくしていたことが、おかん
の気持ちを辛くさせていることに、ようや
く気付いた。

バリバリと動いていた頃のおかんは、真面目
で、人の手助けをしたい性格で、70歳くらい
まで看護助手の仕事をしていた。家のことも、
すべての用事を先に済ませてからじゃないと
落ち着かない人で、朝から庭掃除、部屋掃除、
洗濯など、せっせせっせと進めていた。料理
はあまり得意ではなかったようで、出来合い
の物を買ってくることが多かった。すべての
家の用事が済んで、ようやく一息つくという
感じで、テレビをつけて、ちょっと横になっ
たりしていたように思う。

そういう生活習慣だった母。

現在、81歳。認知症状も進んでいて、
歩行も支えがないと不安定になった。

もちろん、あの当時の動きはできない。

だからといって、全てができないわけではない。

朝も夜も、御飯の前に、ある程度は家の用事を
先に済ませるようにして、おかんの気忙しさを
取り除くようにした。時間がある時は、洗濯物
を一緒に畳むようにした。掃除も目の前のテー
ブルを拭いたり、椅子に座りながら、手の届く
範囲で箒で床を掃いてもらった。小さい庭の花
壇にも、座りながらホースで水をやってもらう。
食事についても、パンを袋から出して、皿にの
せて準備してもらった。水屋に椅子を用意し、
体に染みついたお米を研ぐ工程も任せた。
出来具合はどうだっていい。時間が許す限り、
おかんに任せた。ヘルパーさんにも、通ってい
るデイサービスにも、そう接してもらうように
お願いした。

体に染みついたことは、いまだに手際よく進め
るおかん。

「さすがやね〜、手つきが違うわ〜」
と自然と声をかける。

「これぐらいは自分でやらんとな〜」
と、笑顔で応えた。

自分の衰えについて、自分で認めないといけ
ない時はくる。ただ、「したい生活」のすべ
てを諦めることはない。本人を中心に、周り
のみんなで、知恵を出し合えばいいのだ。
工程分けすれば、部分的にできることもある。
工夫次第で、まだまだ自分で生活できる。

介護の仕事をしていながら、自分の親の
「生きる手応え」を奪ってしまっていた。
情けないが、これを活かすしかない。

自分で生活する手応え。

当たり前にしていたことが、どれだけ自分の
生きる自信につながっていたのだろうか。

日常の何気ないことで積み上がる、生きる自信が、
「笑顔」の土台の一つとなっているように思う。


スタエフの告知です↓

今回は「妄想」ではなく、「介護」がテーマです!

5月5日(金)21時〜 
(うりもスタエフにて)

アークンにお声掛けいただき、急遽、
スタエフライブ配信を企画すること
になりました。

我らのさぼさんがGW帰省中に、ご実家の
お父様の具合が悪くなり、介護のことで色
々と考えることがあったとのことで、その
ことをきっかけに、まさにタイムリーなテ
ーマの介護についてお話したり、オモシロ
話で笑って元気を出してもらおうというこ
とになりました。

アークンはご自宅でお母様の介護をされて
いますし、私も介護の仕事をしながら、
実家の母の介護もしています。

共通の「介護」の話題を中心に、真面目な
話とふきだす話のスペクタクルワールドを
お届けしようと思っています!
(ほんまかいなっ笑)

あなたにとっても、介護はジブンゴトにな
る日が来るかも!
今のうちから介護について一緒に考える機
会を少しずつ作っていきませんか?🍀。

気軽に、楽しく、深イイ話を!

うりもスタエフにてお待ちしております🎙。

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