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「不自然な癖を自然の中で浄化させる」 《さよなら商業デザイナー(22)》

── 前回「最後の時間たち」の続きです

商業デザイナー(委託制作グラフィックデザイナー)としての自分もあと約3日に迫った本日ですが、しかし既にもう別件で別の場所で、全く別のことをしている今日この頃でもあります。

この時期は、田舎にいるのです。この時期はメインでは田舎で農業系のことをしています。こういったことも、これまではあまり表には出しませんでしたが(あれこれと言ってくる人々がいるもので…)今後は、やっと自然に普通に言葉にできると思っています。

なので、時間はとれるかはわからないのですが、しばらくはそういう視点からなにかを書きたいなと思ってはいるのです。まぁ、ただの日記のようになるかもしれませんが、そんな日記的なことが最も私は苦手なので、それもまたいい機会かもしれないと思ってもいます。

自然の中にいると、本当は様々なことを感じています。そこにとても大切なものもいくつか感じたりもします。


あと、最近思っているのは「やっぱ本名だと素直に活動しづらいな…」ということです。一言で言ってやっぱり「怖い」んです(笑)考え過ぎかもしれませんが、やはりなにかを発言して、誰が見ているのかわかりませんからね。それで身内や身近な人にご迷惑もかけたりしたくないですからね。

だけれど、わがままなもので、こうして何かは呟いたり書いたりしたいものなのですよね。そこで、自然に発言できないジレンマやしがらみのような思いに、あてつけたくなったり、不自然に装ったりなどもなんだかとても健康に悪いし、もうそういう感じでは生きたくないですし、これからは世渡り的な要領なんて悪くて充分です(笑)

なので、最近は「別の名前」を考えています。決めたら突然変えちゃうかもしれないです。…って、それもまた自由なので、誰かにわざわざ告知する必要もないのかもしれませんが、そうこうして、こうして、自分のために言い訳や理由をあげて、言い聞かせているのでしょうね。人間ってめんどくさいですね(笑)


いやぁ、なんかですね。些細な事ですが、いろいろな人もいるもので、いろいろそういう小さな制限を用いて人為的に起こりうる危険性への回避行為的なことを重ねて来たものだなぁと、思っているのです。最近は引退が現実にやっとかなってきたので、なんだか自分の中で雪解けが起きている感じなのですよね。

一番思っていたのは「お客様に迷惑にならないように」という観念ですね。私は幸か不幸か幼少の頃から「あんたは変わり者だ」と言われ育ったこともあるので、「自分が変わっているせいで関わりある方々に迷惑をかけてしまってはいけない」と、ずっと思って来た心を持っているのです。

特に自分の観念や感性とあまりにも違う性質を感じていた「社会人」という方々に対して、仕事でどうしても関わらなければならないので、ご迷惑をおかけしないように言動は制限を強いて距離感をとても意識して来たのだなと、いまになって自分の中での謎がいろいろ解けてきているのですよね。(缶コーヒーCMのトミーリージョーンズさんみたいな感じかな 笑)

威風堂々としていればよいのですが、そうもいかないこともやはりあるものです。「こちらを立てればあちらが怒りだす」時代ですから、不機嫌を晒しだして他者へ向けてまでも恥もせずに「怒ることを権利や自由」だと思っているような人も多い時代ですからね。

それらを回避するために、私も社会の中で多くの「不自然な癖」を身につけてしまって、ここまで来たのだと感じています。本音を言えば、それが本当に煩わしかったのです。すごく残念に思っていましたし、そうなっていく自分に危険を感じていました。そんな自分もあと3日。


時の巡りにいつの時も相応しくあるのでしょうけれど、それはまたいつの時もすべて自分と自身の巡り会いのようなものでしょう。

こうしてこのタイミングでいま、自然の中で過ごせるのですから、自身もそうして自然のままでありたいものです。

社会の中で身に付けてしまった不自然な癖を、自然の中で浄化させるような感じですかね。


綺麗にして土に還す。

今朝は気温が低くとても寒いです。こんな日はビニールハウスの中で過ごしたい気分です。今日の写真はビニールハウスの中からビニール越しの御日様です。寒さとは違いますが、雨の日のビニールハウスの中はなんだか特殊な空間でとてもいいものですよ。

子供の頃、そんな雨の日のビニールハウスでひとり絵を描いたりしていて、雨音がまたとても特別で、いい思い出です。そんな環境にある方は少ないとは思いますが、私のお薦めスポットです。

それにしても寒いです。石油ストーブを背中に、いまこれを書いています。別に書きたいことがあるわけではないのですが、書いています。外は晴れているので徐々に気温も上がることでしょう。


商業デザイナー引退まで今日を含めあと約2日。2日と言っても、本日の真夜中から明日の朝にかけての最後の仕事で役目を終えます。とは言っても、その後も身内関係などのサポート的な案件はあるのですが、それは条件も気持ちの中でもまったく別のものです。

気を抜くと最後の最後に愚痴のようなボヤキとかネガティブな発言も溢れてしまいそうになる自分が本当はいることも気がついていますが、それもまた肯定すると、そこから学ぶことが数多にあることに気がつくものです。そしてこういう時に思うのが「思いを切る」ということ。望んでいたことなので、別に未練は全くないですが、その上でもやはり必要に感じる今日です。

心の中で「思いを切る」ような「気持ちを断つ」ことの必要を感じます。


紙媒体でもWebコンテンツでもなんでも、やはりものづくりではありますから、作ったものはより良く活用していただきたいという気持ちが、どうしてもあるのですよね。ドラマや映画などでの一瞬しか映らない小道具や消えものなんかでも、大道具としてなら細部を厳密に作ったけど、映らなかったというようなこともあるでしょうけれど、そこは割り切ってはいたとしても、やはり想いはありますから、出来れば充分に活用していただきたい。

広告などの宣伝アイテムにしても、特に最近のWeb系なんかは「機能」ですからね。その機能をいかに使用して活用できるかは、納品後のクライアント次第なのです。どんなに機能性が優れていても、活用しなければ無いのと変わらないですから、クライアント次第ではあるのです。

長年やっているとその点は、実に最初から割り切れるようになるのですが、そもそもそういう部分は、初見でのご担当者や代表の方の人としての性質、つまりは「お人柄」を捉えて、最初の時点で割り切るのです。 ——— とまぁ、そういう話は、引退後にでも改めて書く事に致しましょう。


今日はこれから、昨日に引き続き、体を動かして自然との触れ合いのような土いじりを一日するのですが、そんな今日の中で「気持ちを断つ」ことをしようと思います。それこそ断交を断行するということですね。感じで書くとなんだか大袈裟ですが(笑)

これまでは継続する関係性や仕事の中で、見守ったり、見過ごして出来ていたものも、今回ばかりは最後ですからね。建築などでもいつかは古くなって壊れたりするものですので、物というのは、その都度の手入れが必要なんですよね。物もデザインもなんでも同じで、これまではその都度の対応で保守やメンテナンスやリニューアルなどの手入れが出来ていたのですが、今回はもう見守るというよりも「見送る」しかできませんからね。

いやぁ、特にこの最後の一ヶ月はそういうことの学びがとてもありました。また時が経過してからなんか述べたくなるとは思いますが、とにかく今日、土いじりを黙々としながら、そんなもろもろを断ち切ることにします。


そういえば「土」は、すべてのものを還すものですよね。そこには微生物や細菌や水分や、時には太陽光や風や時間や、そんな様々なエレメンツが在ってこその循環システムです。農業やってると思い知るのですが、本当になんでも土は浄化して還してくれるのだと思い知りますよ。

ビニールやプラスチックや金属も、そういった人間が文明だとか技術だとかって、誇らし気にぬかしている全てを、何十年、何百年、何万年という歳月を経て、物言わずに平気な顔してすべてを土に還しますからね。それがまた石油や鉱物や宝石なんかにも変換しながら。

いや、どうでしょうね? 平気な顔してるけれど、平気ではないのかもしれないですよね。人間的に言えば、有毒物質や代表的な放射能なんかも、本当は結構無理してくれているのかもしれませんよね。人間の体だって、科学的な物質が結局は人体に悪影響を及ぼして、機能を壊したり、器官にとってマイナスに働きますからね。


人為的に言い換えるのならそれらはなんでしょうね? そう考えていくと、循環や消化や昇華できすにマイナスに留まらせてしまうような、人の感情や思考の癖や、激しすぎる怒りや執着しすぎた末の悲観など、そういったマイナスな氣や想念なんかが、それらに当てはまるのかもしれませんね。

病は氣からとは言いますが、そう考えると、土も大変だなと思えたり、人間は土にかなり負担をかけているなぁと、また思えたり、自然や微生物などに我々は尻拭いをしていただいているのだなぁという実像が見えてきますね。

そうですね。自分で望んで決めた引退ですから、そんなことくらいは、自分自身で処理できないといけませんよね。納品した我が子のような成果物も心配ではあるのもまた作り手の心でもありますが、今日この日に見送って、気持ちも断って、晴れて綺麗にして還しましょう。

土いじりの今日。そう思うと、今日にまた感謝ですね。


あ。わかった。ここまで書いて、いま、わかりました!

私は、これが嫌いだったんです。委託デザイン業務の引退の理由は幾つもあるのですが、その中で「もうこれ以上やることは避けたい」と思う、実践的な要因の最も大きい理由はここです。本当に嫌だったんですね。いまハッキリ自分でもわかりました。あと明日を残すのみの今日になって明確になりましたね。その理由が今日書いたまさにこの話です。

今日はもう長くなってしまいましたので、また明日、最終日ですが続きは明日にしましょうかね。(気が変わったら書かないですが…)
今は、土いじりが優先です^^

つづく ──

20180330 10:10

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